JUFA 全日本大学サッカー連盟

インカレ
『MCCスポーツpresents 2022年度 第71回 全⽇本⼤学サッカー選⼿権⼤会』2回戦マッチレポート
2022/12/14


 全国9地域・24大学が参加する大学サッカーの冬の全国大会、『MCCスポーツpresents 2022年度 第71回 全⽇本⼤学サッカー選⼿権⼤会』は、関東・関西のシード6チームが加わり、12月11日に2回戦が行われた。しかし、関東王者の明大を始めシード校4校が初戦敗退する大波乱に。関東は6チーム中3チーム、関西は4チーム中実に3チームが本大会から姿を消した。かわりに残ったのは、東北、東海、北信越の各代表。2回戦は、誰もが予想できない結果となった。


[9]明治大 1(0ex1)2 仙台大 @味の素フィールド西が丘



 2019年度以来となる2大会ぶりの優勝を目指し、満を持して登場する関東リーグ王者・明治大学(関東地区第1代表)と、4発快勝となった1回戦の勢いのまま関東王者の撃破を狙う仙台大学(東北地区第1代表)の一戦。

 最初にチャンスを作ったのは、近年の大学サッカー界を牽引する関東地区第1代表の明大だった。明大は自陣からのビルドアップで右サイドにボールを展開。これを受けた2番・福田心之助が相手のプレッシャーを上手くかわし、大外でフリーとなった11番・正田徳大にパスを送る。11番・正田は、低く速いボールを中央に供給して好機を演出するが、これは仙台大DFが防ぎ、間一髪コーナーキックに逃れる。明大はここで獲得したコーナーキックから、13番・井上樹がヘディングシュートを放つものの、仙台大GK、23番・山本伊織ががっちりとキャッチ。対する仙台大もディフェンスラインからのビルドアップを試みるが、明大の素早いプレッシャーに苦しめられてなかなか敵陣でボールを握れない。だが9番・佐々木翔を中心に攻撃の糸口を探り、19分には23番・山本からのロングボールに9番・佐々木が反応。明大GK、1番・遠藤雅己のポジションを確認してロングシュートを放つ。これが仙台大のファーストシュートとなるが、ゴールには至らなかった。試合が動いたのは31分。仙台大は敵陣の好位置でフリーキックを獲得。キッカーの10番・冨久田和真が蹴り入れたボールに、18番・和田昂士が合わせたボールは一度相手DFに弾かれたものの、クリアボールに9番・佐々木がいち早く反応。右足をすばやく振り抜くとこれがゴール左隅に決まり、仙台大が先制する。この後スコアに動きはなく仙台大の1点リードで試合を折り返した。

 後半は試合を支配していた明大がさらに攻勢を強める展開に。すると57分、相手のパスミスをカットした11番・正田が右サイドの2番・福田に一度ボールを預ける。再び自らがボールを受けて、前半の好機と似たような低い弾道の高速クロスを供給すると、中央で20番・太田龍之介がワンタッチシュート。これにはGK・山本も反応できず、明大が同点に追いつく。この同点弾で勢いに乗った明大は、さらに逆転を狙って前がかりになるが、球際で強さを見せる仙台大DF陣の前に攻め手を欠く。結局1-1と同点のまま90分を終え、試合は延長戦に突入した。

 延長戦突入後も攻める明大、耐える仙台大の構図は変わらない。延長前半、明大が4本のシュートを放ったのに対し、仙台大は0本と苦しい状況。しかし仙台大は守護神の23番・山本を中心に、堅い守りを武器にワンチャンスを狙う。延長後半突入後も試合はこう着状態が続き、誰もがPK戦での決着を覚悟した。しかし、ラストのワンプレーにドラマが待っていた。延長後半アディショナルタイムの120+5分、仙台大はコーナーキックを獲得すると、先制点を演出した10番・冨久田がキッカーに。右足から供給されたアウトスイングのボールを、3番・山内琳太郎がヘディングシュート。明大DFがクリアしようと体に当てるが、ボールのこぼれた先にいたのは仙台大の30番・波田祥太。頭で押し込んだボールに明大GK、1番・遠藤の手は届かず、土壇場で仙台大が劇的な勝ち越しゴールを獲得する。その後に残された時間はほとんど無く、再開とともに試合終了のホイッスルが吹かれた。

 多くのピンチを凌いだ仙台大が、最終盤に少ないチャンスを活かし、次のラウンドに駒を進めた。一方、王座奪還を目指す明大にとってはあまりに早い悲劇的な幕切れ。明大は2014年度第63回大会でも仙台大と対戦しており、そのときも仙台大に敗れて初戦で敗退。今回の対戦でもまた"鬼門・仙台大“を破ることができなかった。


[10]阪南大 0(0-0)1 国士舘大 @AGFフィールド


 1回戦で延長戦にまで及ぶ広島大学との激闘を制した、昨年度大会準優勝の阪南大学(関西地区第3代表)と、総理大臣杯に続き、夏冬全国二冠を狙う国士舘大学(関東地区第6代表)の一戦。

 立ち上がりから激しく球際の攻防戦を繰り広げる中、最初にチャンスを作ったのは国士大。8番・東條敦輝が放った低弾道のコーナーキックは、相手DFにクリアされるものの、20番・弓場堅真がすかさずこぼれ球を狙う。しかし、左足で放ったシュートはミートしきれず、ゴールから大きく外れてしまう。一方の阪南大もコーナーキックからチャンスを作る。6番・早川海瑠の高精度のボールは一度弾かれるが、クリアボールを再度ゴール前に放り込む。これも相手GKがパンチングで逃れるが、こぼれ球を13番・康起甫、2番・髙田椋汰と立て続けにシュート。だが国士大の堅い守備を前にゴールを割ることはできない。両者ともセットプレーからチャンスを作ったものの、決めきれず、0-0のまま前半は終了した。

 なかなかシュートまで持ち込めなかった前半とは一転、後半はオープンな展開となった。開始早々の48分、国士大は前線から激しいプレスをかけてボールを奪うと、8番・東條、14番・布施谷翔と繋ぎ、最後は関東リーグチーム内得点王の11番・古川真人にボールが渡る。右足で振り抜いた強烈なシュートは、しかし僅かにゴール外に。すると68分、遂に試合が動いた。国士大は右サイドを14番・布施谷がドリブルで打開。DFをかわすと早いグラウンダーのクロスをゴール前に入れる。これを11番・古川が右足ワンタッチで合わせ、GKの頭上を越すシュートをゴールに突き刺した。同点に追いつきたい阪南大は80分、コーナーキックのこぼれ球から再度クロスを上げると、これを10番・松原大芽が胸トラップ。素早く右足でシュートを放つが枠を捉えきれない。阪南大は終了間際の90+4分にも、10番・松原がバイタルエリア内フリーでボールを受け、狙い澄ました左足のシュートを放つも、国士大GK、1番・飯田雅浩がビックセーブ。最後まで決定機をものにできないまま、0-1で試合終了。

 両チームチャンスは作り出したものの、決定力で上回った国士大に軍配が上がる結果に。前回大会準優勝の阪南大は、昨年のリベンジならず2回戦で敗退となった。一方、夏の王者・国士大は3回戦に駒を進め、関東王者を倒した仙台大学(東北地区第1代表)と対戦する。


[11]中京大 2(5PK4)2 筑波大 @AGFフィールド


 1回戦で福岡大学相手にPK戦までもつれ込む激戦を制し、勢いに乗る中京大学(東海地区第3代表)と、総勢約150人の応援が駆け付け、チーム一丸となって優勝を目指す筑波大学(関東地区第3代表)の一戦。

 試合が動いたのは20分、ペナルティーエリア左側で中京大の11番・進藤克樹が、14番・有働夢叶のパスを受けてクロスを上げる。ゴール前にいた19番・永田貫太はこれを受けると、相手DF前に身体を入れ落ち着いてトラップ。そのまま右足を振り抜き、豪快にゴールへと突き刺した。中京大に先制を許したものの、依然ボールの主導権は筑波大。積極的に中京大ゴールに迫るが、スコアは動かないまま1-0で前半が終了。

 後半は開始早々にスコアが動いた。49分、筑波大のパス回しのスキを狙い、中京大の7番・藤井皓也がボールを高い位置で奪取。それを14番・有働が持ち出し、ペナルティーエリア外からシュートを放つ。筑波大GKの1番・髙山汐生はこれに反応するものの、一歩届かずボールはゴールネットを揺らして2-0に。2点のリードを許した筑波大だったが、関東第3代表の意地をみせ猛攻を仕掛ける。すると65分、筑波大は直接フリーキックを獲得。キッカーの8番・竹内崇人の内巻き気味のクロスボールに、11番・和田育が頭で合わせて1点を返す。この得点で一気に火が付いた筑波大は81分、左サイドから2番・三浦雅人がパスを入れると、これに抜け出した27番・山崎太新が、そのままゴール中央の8番・竹内に鋭いパスを送る。仙台大もDFがスライディングで防ごうとするが、8番・竹内はこれをかわし、体勢を崩しながらも同点ゴールを決める。その後は中京大が、逆転を警戒しながらも果敢に攻めるが、筑波大の堅い守備をこじ開けられず、試合は延長戦へと突入した。

 15分ハーフの延長戦は筑波大が攻め続け、幾度となく得点のチャンスが演出するが、あと一歩のところで決め切ることができず、2-2のまま終了。両チーム堅い円陣を組み、勝負を決めるPK戦へ。会場の熱気も最高潮を迎えていた。

 PK戦は4人目が蹴り終わった段階で4-4の接戦に。勝負がついたのは5巡目だった。筑波大のキッカー、9番・庄司夢ノ介が放ったシュートを、中京大GK、17番・福本悠が左手1本で止める。対して中京大の5人目のキッカー、21番・岡本晟也は堂々とゴール右上へ決めて勝負あり。5-4で中京大がPK戦での勝利を収めた。

 2試合連続PK戦での勝利となった中京大は、ベスト8に進出。3回戦では、2回戦で逆転勝利を収めた新潟医療福祉大学(北信越地区第1代表)に挑む。夏の全国大会・総理大臣杯の2回戦でも対戦し、0-3と完敗を喫した相手だ。夏の雪辱を果たし、今度はその上を狙いたいところ。一方、シードで出場した筑波大は2点のビハインドを負いながらも後半で追いつくなど粘り強さを見せたが、PK戦に敗れ初戦で姿を消す結果となった。


[12]びわこ成蹊スポーツ大2 (2-1)3 新潟医療福祉大
 @ブリオベッカ浦安競技場


 3大会連続6回目の出場を果たしたびわこ成蹊スポーツ大学(関西地区第2代表)と、1回戦で3-1と快勝し、好調のまま2回戦に臨む新潟医療福祉大学(北信越地区第1代表)の一戦。

 夏の全国大会・総理大臣杯の3回戦でも対戦した両チーム。そのときは2-1でびわこ大が勝利し、新医大の全国大会初のベスト4入りは潰えた。今年度2度目の対戦となるこの試合では、リベンジに燃える新医大が序盤からボールを保持する展開となった。すると26分、相手のパスミスを逃さなかった新医大10番・小森飛絢が、相手陣内でボールを奪取。そのままドリブルで抜け出すと、相手GKをかわし、角度のないところからシュートを流し込む。先制した新医大のペースで進むかと思われたが、31分にびわこ大が反撃。11番・泉柊椰が相手のクリアボールをペナルティーエリア内で拾うと、そのまま新医大ゴールに突き刺し、すぐさまびわこ大が同点に追いつく。びわこ大はさらに33分、11番・泉が左サイドから攻撃を仕掛けペナルティーエリア内に侵入。パスを受けた10番・石橋克之がシュートを放つが、これは右ポストを直撃。だが跳ね返りを6番・高見柊真が押し込んで2-1に。びわこ大がヴィッセル神戸内定、11番・泉を起点に、わずか3分間で逆転に成功する。前半はこのまま、びわこ大が1点リードのまま終了した。

 1点を追う新医大は、後半に入ると攻撃のギアを上げる。新医大は63分、直接フリーキックを獲得。キッカーを務めるのは3番・沼田皇海。3番・沼田が浮き球のボールをゴール前に上げると、9番・田中翔太がヘディングで合わせてゴールに押し込む。新医大が2-2の同点に追いつき、試合を振り出しに戻した。勢いに乗る新医大は、一気に攻勢を強めて勝ち越しを狙う。だが、びわこ大の集中したディフェンスを前に、なかなかゴールを決めることができない。しかし76分、新医大は24番・坂岸寛大が自陣でボールをカットし、ドリブルで相手陣内まで持ち運ぶと10番・小森へスルーパス。これに反応した10番・小森が、ダイレクトシュートをゴールに流し込んで2-3に。新医大が勝ち越しに成功する。再びリードを許すことになったびわこ大は、相手陣内にボールを蹴り込んでチャンスをうかがうが、なかなか決定機を作ることができない。

 そのままスコアは動かず、2-3で試合終了。新医大が夏のリベンジを果たす形でびわこ大を下し、3回戦へと駒を進めた。次の対戦相手はこの試合とは逆に、夏の総理大臣杯2回戦で勝利を挙げた中京大。雪辱に燃える相手にどう戦うか。クラブ史上初の全国大会ベスト4が懸かる大一番となる。


[13]東京国際大 3(0-0)0 高松大 @流通経済大学龍ケ崎フィールド



 4大会ぶりの出場で、この試合が初戦となる東京国際大学(関東地区第2代表)と、1回戦で北陸大学(北信越地区第2代表)に競り勝ち、勢いに乗る高松大学(四国地区代表)の一戦。

 立ち上がりから、試合は東国大が支配する形で進んだ。東国大はロングボールを中心にゴールへ迫るが、高松大DFの奮闘もあり決定機を作り出せない。また16分には、東京ヴェルディ内定の9番・佐川洸介が負傷で退くアクシデントも。すかさず柏レイル内定の10番・落合陸がピッチに送り出されるが、早い時間帯の交代による混乱も若干見られた。対する高松大は、ボールを奪ってからリスクを負わず前線へ蹴り出すが、どうしても攻撃が間延びしてしまい、前線でボールを収めることができない。結局、両チーム得点を挙げることなく0-0で試合を折り返した。

 後半に入ると、東国大は15番・村木龍晟、 11番・師岡柊生をピッチへ送り出し、一気に攻勢を強める。すると、この交代采配がピタリと的中する。まずは62分、15番・村木がドリブルでペナルティーエリア内に侵入すると、たまらず高松大のDFがファウルでこれを止め、ペナルティーキックを献上。このチャンスに、15番・村木が自らゴール右下に沈めて東国大が先制する。先制点で勢いに乗った東国大は73分、裏に抜け出した15番・村木が再びペナルティーエリア内に進入すると、ゴール前の11番・師岡へと繋ぐ。受けた11番・師岡は、冷静にゴール右隅へと流し込み、東国大が追加点を挙げる。さらに東国大は85分、GKの21番・林祥太郎のロングフィードからテンポよくボールを繋ぎ、最後は15番・村木が左足で押し込んで勝負あり。

 試合は東国大がリードを広げたまま3-0で終了。前半は膠着状態となる時間帯もあったが、後半の選手交代で一気に流れを引き寄せ、ゴールを重ねた東国大が3回戦進出を決めた。対する高松大は、全国大会初となる2回戦に臨んだが、後半はシュート0本と見せ場を作れずに敗退となった。




[14]北海道教育大岩見沢校 1(1-1)3 桐蔭横浜大
 @流通経済大龍ケ崎フィールド



 夏の総理大臣杯に続き初戦突破を果たした北海道教育大学岩見沢校(北海道地区代表)と、2大会ぶり2回目の出場、前回大会では決勝戦で逃した優勝を目指す桐蔭横浜大学(関東地区第4代表)の一戦。

 序盤は互いに慎重な入りとなったこのゲーム。岩教大は細かくボールを繋いで攻撃を組み立て、桐蔭大は、長身FWの11番・寺沼星文をターゲットにし、攻撃に厚みを持たせてゴールへと迫る。桐蔭大が多くのチャンスを作る中、しかし先制点を挙げたのは岩教大だった。23分、10番・河合悠人が桐蔭大DFの裏へボールを送ると、これに26番・石山風吹が抜け出してゴール前へ。最後はGKをかわしてシュートを流し込む。岩教大が前半に放ったシュートはこの1本のみ。わずかなチャンスを確実にモノにした岩教大が先制点を挙げた。一方の桐蔭大も攻勢を強めるがゴールを決められず。1-0で前半終了かと思われたが、アディショナルタイムに突入した45+2分、再びスコアが動いた。桐蔭大は2番・羽田一平が相手のボールを奪い、ゴール前にクロスを入れる。これは岩教大のGKに弾かれるものの、こぼれ球を9番・山田新がオーバーヘッドキック。シュートはGKの頭上を越え、そのままゴールへと吸い込まれる。川崎フロンターレ内定、9番山田のスーパーゴールで桐蔭大が追いつき、前半は終了した。

 しかし、後半に入ると拮抗状態が続き、試合はなかなか動かない。両チーム交代カードを切り、試合の流れを引き寄せようとするが果たせないまま迎えた87分、ついにスコアが動く。桐蔭大は中央からの突破を仕掛けた8番・山内日向汰が倒されてゴール前、絶好の位置でフリーキックを獲得する。キッカーは途中出場の22番・井出真太郎。22番・井出が右足で放ったキックは左ポストを直撃するものの、跳ねたボールがゴールを割り、桐蔭大が勝ち越しに成功する。さらに試合終了間際の90+3分、相手コーナーキックのこぼれ球を22番・井出が拾い、ドリブルで持ち上がる。最後のチャンスに相手GKが前線に上がっていたため、無人となったゴールを見定めると、ハーフウェーライン付近から狙い済ましたロングシュート。これがゴールへと吸い込まれ、試合を決める3点目を挙げる。

 終わってみれば1-3と桐蔭大が逆転勝利を収め、3回戦進出を決めた。粘り強い守備と鮮やかな攻撃で桐蔭大を苦しめた岩教大だったが、先制点を守り切れず2回戦での敗退となった。




[15]静岡産業大 1(0-1)2 関西学院大 @味の素フィールド西が丘


 爆発的な攻撃力で1回戦を突破した静岡産業大学(東海地区第1代表)と、関西リーグ2連覇を達成し、今大会の初戦に臨む関西学院大学(関西地区第1代表)。東海と関西、チャンピオン同士の一戦。

 立ち上がりは拮抗した展開となり、両者なかなかフィニッシュまで持ち込むことができない。ファーストシュートが生まれたのは、前半も半ばに差し掛かった19分だった。静産大は2番・長島武が供給したクロスに、9番・服部功汰が中央で合わせてヘディングシュート。だがこれは不完全なミートとなり、相手GKがキャッチ。静産大が先に決定機を作ったものの、先手をとったのは関学大だった。33分、関学大は後方から丁寧にボールを繋ぐと、主将の27番・山本祐也がロングボールを前線に入れる。これを9番・山田剛綺が納めて5番・根木洸希に落とすと、5番・根木が浮かせたボールを23番・美藤倫へ。さらに落としたボールに走り込んだのは9番・山田。ダイレクトで右足を振り抜くと、これがゴール右下に決まる。関学大が1本のロングボールで試合の流れを変え、鮮やかな連携から先制点を挙げた。その後も落ち着いたボール回しで試合の主導権を握った関学大が、1点リードのまま試合を折り返した。

 後半に入っても流れは関学大優勢。しかしどちらも追加点を奪えないまま、時間が経過していく。73分には、関学大の29番・濃野公人のクロスに9番・山田がダイビングヘッドで合わせる。しかしこれは静産大GK、16番・渡邉良和がファインセーブ。すると残り時間も少なくなってきた84分、静産大が意地を見せる。静産大は右サイドを崩すと、15番・志摩豪瑠がスルーパス。これを、中央に切り込んできた18番・加藤政哉が受けて左足を振り抜くが、シュートは相手DFに弾かれてしまう。だが、こぼれ球に30番・庵原篤人が反応。ダイレクトで中央にパスを送ると、最後は5番・馬場俊輔が、ワントラップから振り向きざまに右足で強烈なシュートを放つ。これがGKの頭上を撃ち抜き、静産大が試合を振り出しに戻した。しかし、同点からわずか3分後にこの試合の勝ち越しゴールが決まる。関学大はペナルティーエリアに侵入した17番・倍井謙が鋭い切り返しからクロスを入れようとする。だがこのボールは相手DFの手に当たり、ハンドの判定でペナルティーキックに。87分、関学大はこのチャンスを途中出場の絶対的エース、10番・木村勇大が落ち着いて沈め、勝ち越し弾。残された時間で同点を狙う静産大は、前線に人数をかけて猛攻を仕掛けるが、最後まで集中を保った関学大から得点を奪うことはできず1-2でタイムアップ。

 東海・関西チャンピオン対決は、関西王者に軍配が上がった。関学大は2015年以来となる6大会ぶりの全国制覇を目指し、また唯一残った関西地区の代表として、常葉大学(東海第2代表)との3回戦に臨む。


[16]法政大 0(0-0)5 常葉大 @県立保土ケ谷公園サッカー場



 6大会連続33回目の出場、この試合が初戦となる昨年度総理大臣杯覇者の法政大学(関東地区第5代表)と、1回戦の関西大学戦では4-4の激戦からPK戦を勝ち抜いた常葉大学(東海地区第2代表)の一戦。

 中盤でパスを繋ぎゴールに迫る法大と、ロングボールからのカウンターを狙う常葉大、対称的なゲーム運びながら拮抗した展開が続く。しかし、前半は両チーム決定機を作ることが出来ず、スコアレスで試合を折り返した。

 両チームメンバーを変えずに迎えた後半。だが、試合は後半に入るとにわかに動き始めた。まずは後半開始早々の49分、常葉大は13番・岸孝宗郎の右サイドからのクロスに、31番・金賢祐がピンポイントで合わせて先制する。このゴールで流れを掴んだ常葉大は、直後の52分に5番・速水修平からのロングボールに31番・金が抜け出し、そのままゴールへと冷静に流し込む。0-2とリードを広げられた法大は、25番・吉尾虹樹や17番・モヨマルコム強志を起点にチャンスを作り出すが、あと一歩のところで得点には至らない。すると61分、GK21番・近藤壱成のゴールキックが決定的得点機会の阻止と見なされて退場に。法大は数的不利な状況の中、ペナルティーエリア内での間接フリーキックを受けることになった。65分、常葉大は9番・前田翔茉が触ったボールを10番・古長谷千博がそのまま押し込み3点目を挙げる。勢いの止まらない常葉大はさらに76分、細かいパスワークからペナルティーエリアに侵入すると、最後は9番・前田の低弾道クロスを、19番・高瀬生聖がワンタッチで押し込んでダメ押しの4点目。その後も、常葉大の攻撃が続き、アディショナルタイムに突入した90+1分にも、31番・金が豪快なシュートをゴールに突き刺してハットトリックを達成。前半の拮抗した試合展開とは打って変わり、常葉大が後半に5得点を挙げ、0-5で試合終了。

 退場者を出し、数的不利な状況の中で戦った法大は1点も返せないまま初戦敗退に。一方、快勝を収めた常葉大は3回戦に駒を進めた。対戦相手は関西王者の関西学院大学。勝てばインカレ初のベスト4進出が決まる。