ついにベスト8が出揃った『MCCスポーツpresents 2022年度 第71回 全⽇本⼤学サッカー選⼿権⼤会』。12月17日、12月18日の2日間にわたって行われた3回戦では、関東・関西の強豪を下した東北・東海勢がそろって敗戦。しかし新潟医療福祉大学が北信越勢として史上初のベスト4に進出を果たし、関東・関西勢に食い込む結果となった。
[17]仙台大学 0(0-2)3 国士舘大学 @AGFフィールド
2回戦で関東王者・明治大学を延長戦の末に撃破し波に乗る仙台大学(東北地区第1代表)と、2回戦で昨年度インカレ準優勝の阪南大学を下し、総理大臣杯との夏冬二冠を狙う国士舘大学(関東地区第6代表)の一戦。
試合は序盤から国士大がボールを握る展開となった。しかし仙台大も守護神、23番・山本伊織を中心に体を張った守りを見せる。2回戦では、明大から16本ものシュートを浴びながらもリードを守りきった堅守で、国士大の攻撃をはね返した。しかし26分、国士大のエース10番・棚橋尭士が突破口を開く。国士大は3番・望月海輝が、スピードのあるドリブルでハーフウエーラインから前線に疾走。ゴール前に走り込んでいた10番・棚橋にパスを送ると、10番・棚橋がダイレクトでシュートをゴール左隅に決めて国士大が先制する。その後も国士大の猛攻は止まらない。38分には、10番・棚橋が左サイドから入れたクロスを、5番・牧山晃政がゴール前でうまく合わせて追加点。0-2とリードを広げた国士大が、優位な状況で試合を折り返した。
2点を追う仙台大は、2回戦で劇的な決勝ゴールを決めた30番・波田祥太を含む3人の選手を後半から一気に投入。これが奏功し、後半の立ち上がりは仙台大が試合のペースを握る。しかし、スコアを動かしたのはまたしても国士大。53分、混戦の中から5番・牧山、11番・古川真人とパスを繋ぎ、最後は左サイドから走り込んできた20番・弓場堅真が左足でシュートを放つ。これが決まり、国士大が0-3と仙台大を突き放す。まずは1点を返したい仙台大は72分、自陣でボールを受けた10番・冨久田和真が、前線に走り込んでいた2番・宮嶋俊弥にパス。2番・宮島はこれを受け、ペナルティーエリアまでドリブルで持ち込むと右足でシュートを放つが、国士大GK、1番・飯田雅浩がスーパーセーブでゴールを許さない。その後も仙台大は猛攻を仕掛けるが、国士大GK、1番・飯田が立ちはだかり0-3で試合終了。
関東覇者・明大を破る大金星を挙げた仙台大だったが、国士大のゴールを割ることはできず3回戦で敗退。一方、国士大は安定した試合運びで準決勝に進出。夏冬全国二冠に向け、大きな一歩を踏み出した。
[18]新潟医療福祉大学 1(5PK4)1 中京大学
@相模原ギオンスタジアム
夏の総理大臣杯で逃した全国大会初のベスト4を目指す新潟医療福祉大学(北信越地区第1代表)と、夏の総理大臣杯で敗れた相手に雪辱を期す中京大学(東海地区第3代表)の一戦。
試合は立ち上がりから、両チームとも果敢にゴールへと攻め込む展開となった。まずは2分、中京大の13番・桒田大誠が、15番・多田風太からのロングスローを頭で合わせ、6番・押富大輝の足元に落とす。これを6番・押富が収めて豪快なミドルシュート。しかし、新医大GK、12番・桃井玲の好セーブで得点には至らない。すると11分、今度は新医大が反撃。13番・神田悠成のロングスローを8番・沼田航征が頭で逸らし、最後は10番・小森飛絢がワンタッチでシュートを放つ。だが、こちらも中京大GK17番・福本悠がゴールを守りきる。序盤から激しく攻め合う展開らしく、スコアも早い時間帯に動いた。17分、中京大は31番・武藤寛が相手DFのクリアを拾うと、7番・藤井皓也にスルーパスを供給。7番・藤井はそれを収めると、相手DF、GKをかわして左足のシュートをゴールに流し込む。これが決まり、中京大が先制。その後も両チーム攻撃的な姿勢を崩さなかったものの、スコアは動かず中京大の0-1リードで試合を折り返した。
何としても追いつきたい新医大は、後半に入り攻撃のギアを上げる。79分、新医大は11番・オナイウ情滋の右サイドからのロングスローを、4番・秋元琉星がヘディングでつなぎ、5番・二階堂正哉がオーバーヘッドシュート。これは中京大GK17番・福本に弾かれるものの、そのこぼれ球をすかさず9番・田中翔太が押し込む。新医大が同点ゴールを決めたかに思われたが、これはオフサイドの判定でノーゴールに。その後も両チーム譲らぬ攻防戦を繰り広げるが得点には至らず、中京大が先制点を守りきって終了かと思われた。だが後半のアディショナルタイムに試合が動いた。90+1分、新医大は右サイドのコーナーキックを獲得。11番・オナイウのキックを4番・秋元が頭で逸らし、ゴール前の密集地帯を6番・野開ディランがワンタッチで押し込み新医大が同点に追いつく。試合終了間際の新医大ゴールで、試合は延長戦へと突入した。
15分ハーフの延長戦は、両チーム決定機をつかむことができず、前後半を終了。結局、1-1のままペナルティーキック戦へもつれこむこととなった。1回戦、2回戦をPK戦で勝ち抜いてきた中京大にとっては、これが3度目となるPK戦。だが、先攻の中京大は3人目が新医大GK、桃井に止められたのに対し、後攻の新医大は4人目までの全員が成功。5人目のキッカーは劇的な同点弾を決めた6番・野開。これをキッチリと成功させ、新医大がPK戦で中京大を下して全国大会初のベスト4入りを決めた。
先制を許した新医大だが最後まで粘り強く戦い続け、試合終了間際に劇的な同点弾。さらにはPK戦を制し、創部史上初のベスト4、北信越勢としても初の準決勝進出を決めた。対する中京大は、勝利を目の前にしながらまさかの失点。総理大臣杯で敗れた相手に雪辱を果たすことできなかった。
[19]東京国際大学 0(0-1)1 桐蔭横浜大学
@流通経済大学龍ケ崎フィールド
攻守ともに安定感を見せて初戦を危なげなく突破した東京国際大学(関東地区第2代表)と、逆転勝利を収めて勢いに乗る桐蔭横浜大学(関東地区第4代表)の一戦。
関東地区代表同士の対戦となったこの試合は、立ち上がりから桐蔭大が主導権を握る展開となった。5分、桐蔭大は右コーナーキックを獲得すると、8番・山内日向汰が意表をついたグラウンダーのボールを後方に送る。これを待ち構えていた10番・水野颯太がシュートを放つが、東国大DFがブロック。続く6分、混戦の中から3番・中野就斗が放ったシュートはわずかにボールポストをかすめ、得点には至らない。試合開始から20分までの間に計5本のコーナーキックを獲得するなど、序盤からゲームを支配する桐蔭大。対する東国大は、攻撃の糸口を見つけることができないまま試合が進んでいく。42分、桐蔭大はまたもや右からのコーナーキックを獲得。8番・山内のボールを、ニアに走り込んだ3番・中野がそらすと、ファーサイドで待ち構えていたのは4番・吉田和暉。これを右足で押し込み、桐蔭大がついに先制点を挙げる。前半は先制した桐蔭大が1-0とリードのまま終了した。
後半に入っても桐蔭大の勢いは止まらない。58分、12番・楠大樹が11番・寺沼星文とのワンツーからペナルティーエリアに侵入。パスを受けた9番・山田新が落ち着いてゴールに流し込み、リードを2点差に広げる。桐蔭大はさらに60分、ゴール前に走り込んだ5番・高吉正真が決定機を迎えるが、シュートはわずかにゴール外へ。ダメ押し弾とはならなかった。1点を返したい東国大は、交代出場の8番・重野祥輝がチャンスを演出。66分、果敢にドリブルで切れ込むと、相手DFのファールを誘い好位置でフリーキックを獲得する。しかし、ゴールにつながることはなく、試合はアディショナルタイムに突入。東国大は終了間際にコーナーキックを獲得すると、8番・重野のキックをファーサイドで9番・佐川洸介がヘディングで合わせるが、これは桐蔭大GK1番・北村海チディの正面に。試合は0-2のまま終了し、桐蔭大が勝利を収めた。
関東決となった一戦は、第4代表の桐蔭大に軍配が上がる結果に。勝利した桐蔭大は準決勝に進出。優勝を逃した2019年度以来となる決勝の舞台を懸け、関西覇者・関西学院大学と対戦する。
[20]常葉大学 0(0-1)1 関西学院大学
@相模原ギオンスタジアム
2回戦では大差で法政大学に勝利し、勢いに乗る常葉大学(東海地区第2代表)と、東海王者の静岡産業大学を2回戦で下した関西覇者・関西学院大学(関西地区第1代表)の一戦。
試合が動いたのは前半開始早々の9分だった。関学大は6番・長尾優斗が相手のスローインからボールを奪うと、すぐに5番・根木洸希との短いパス交換から前線へとボールを放り込む。すると9番・山田剛綺がこれに反応。サイドでボールを拾うと、そのままゴール前までドリブルで持ち込み、相手をかわして左足で鮮やかなシュートを放つ。これがゴール左隅に突き刺さり、関学大が先制点を挙げる。しかし、その後は互いにチャンスを作りながらも決め切れず、0-1で試合を折り返した。
後半に入っても、依然チャンスを決め切ることのできない両チーム。交代カードを切って試合の流れを引き寄せようとする中、74分に関学大は先制点を挙げた9番・山田に代えて、エースの10番・木村勇大を投入。すると直後の79分に5番・根木がセカンドボールを拾い、ドリブルで持ち上がる。10番・木村はこれに反応。5番・根木のパスを受けてペナルティーエリア内に侵入すると、そのまま左足で強烈なシュート。だが、常葉大GK、17番・中島佳太郎の好セーブに阻まれる。関学大は84分にも、7番・竹村健汰が倒されペナルティーエリア近くでフリーキックを獲得。7番・竹村自身が直接ゴールを狙うが、ここでもまた常葉大GK17番・中島のセーブを見せ、得点には至らない。試合も終盤に差し掛かり、アディショナルタイムに突入。このまま関学大が逃げ切るかと思われたが、常葉大はコーナーキックからのす速いリスタートで10番・古長谷千博が右サイドからクロスを上げる。これをペナルティーエリア内で待っていた23番・深澤空が頭で合わせるが、シュートはわずかにゴール左へ。その後も常葉大は10番・古長谷を中心にゴールに迫るものの、最後までゴールを割ることはできず0-1でタイムアップ。関学大が勝利を収めた。
関学大は前半に獲得した1点を守り切り、準決勝に進出。大会に旋風を巻き起こした東海勢の一角、常葉大のインカレは3回戦で幕を閉じた。