元日国立での決勝まであとひとつ――。『MCCスポーツpresents 2022年度 第71回 全⽇本⼤学サッカー選⼿権⼤会』の準決勝が12月25日に行われた。準決勝まで残ったのは関東2、北信越1、関西1と3地域の代表。国立の舞台に立つのは、夏の王者・国士舘大学か、3年前に逃した優勝を目指す桐蔭横浜大学か、関西の覇者・関西学院大学か、それとも北信越勢として初の優勝を狙う新潟医療福祉大学か――。
[21]国士舘大学 0(0-1)1 新潟医療福祉大学 @カンセキスタジアムとちぎ
ここまで無失点で勝ち進み、夏冬ニ冠を目指す総理大臣杯王者・国士舘大学(関東地区第6代表)と、北信越代表として初のベスト4入りを果たした新潟医療福祉大学(北信越地区第1代表)の一戦。
試合は序盤から動いた。12分、新医大は5番・二階堂正哉がロングパスを入れると、11番・オナイウ情滋がこれに反応。ペナルティーエリア右でボールをキープし、ドリブルで相手をかわすとゴール前にクロスを上げる。このボールに9番・田中翔太がヘディングで合わせ、新医大が先制する。その後も新医大は、右サイドの11番・オナイウを起点に相手ゴールに迫るが、国士大も次第に攻撃のペースを掴み始める。23分には国士大の10番・棚橋尭士が右サイドからゴール前まで持ち上がり、左足で狙いすましたシュートを放つ。だがこれは新医大GK12番・桃井玲がストップ。前半終盤は国士大がゴールに攻め立てるが、新医大の堅い守備に阻まれ、スコアは動かず0-1で前半は終了した。
ビハインドを負う国士大は後半の頭から9番・高橋尚輝を左サイドに投入。その後も早め選手交代で巻き返しを図る。すると65分、国士大は途中出場の19番・布方叶夢が左サイドからゴール前にクロスを入れる。これに走り込んだ3番・望月海輝がヘディングで合わせるが、新医大GK12番・桃井がまたもや好セーブ。その後も国士大が攻め込む時間帯が続くものの、新医大は12番・桃井を中心とした守りでゴールを死守。国士大はアディショナルタイム、10番・棚橋が右サイドからゴール前に入れたクロスに、2番・菊地駿斗がフリーでシュートを放つが、これも新医大12番・桃井に阻まれる。さらにそのこぼれ球に19番・布方がボレーで合わせるも、ゴールを大きく外れ、そのまま試合終了。
新医大のシュートがわずか3本だったのに対し、16本ものシュートを放った国士大だか、最後までゴールを決めることができず。ニ冠は達成できず、夏の王者は準決勝敗戦となった。一方新医大は試合開始早々の1点を守り切り、創部以来初の、そして北信越勢としても初となる決勝進出を決めた。
[22]桐蔭横浜大学 2(1ex0)1 関西学院大学 @カンセキスタジアムとちぎ
3回戦で東京国際大学との関東代表対決を制し、2大会ぶりの決勝進出を狙う桐蔭横浜大学(関東地区第4代表)と、関西学生リーグ2連覇、押しも押されもせぬ関西の王者・関西学院大学(関西地区第1代表)の一戦。
関学大は試合の序盤に予想外のアクシデントに見舞われる。関学大は13分、3回戦で決勝点を挙げた9番・山田剛綺が負傷交代。怪我あがりのエース、10番・木村勇大が急遽投入される事態となった。そんな状況ながら、試合の主導権を握ったのは関学大。16分、17番・倍井謙が前線でボールを受けてペナルティーエリア手前でパス。これを、投入されたばかりの10番・木村が右足で振り抜くが、ボールはわずかバーの上へ。30分にも関学大にチャンスが訪れる。29番・濃野公人が右サイドをドリブルで駆け上がり、裏へと抜け出した5番・根木洸希にスルーパスを送る。受けた5番・根木は右サイド、角度の無い位置からシュートを放つが、わずか左に外れてゴールならず。関学大は続く34分にも右からのコーナーキックを獲得。7番・竹村健汰のクロスに、23番・美藤倫がニアに飛び込んで頭で合わせるが、これは桐蔭大GKの1番・北村海チディが正面でセーブする。さらに弾かれたこぼれ球も、桐蔭大のディフェンスラインがクリアしてゴールを死守。関学大はボールを握り、ゴールに迫るシーンを多く作りながらもゴールを割ることができない。一方、決定的なチャンスを作れないままアディショナルタイムを迎えた桐蔭大。だが、コーナーキックの流れから8番・山内日向汰が右サイドでボールを受け、キックフェイントから相手DFを抜き去る。そのままペナルティーエリア内にドリブルで侵入し、放った右足でのシュートがゴール左上に突き刺さる。8番・山内の個人技と目の覚めるようなシュートで桐蔭大が先制点を挙げる。数少ないチャンスをモノにした桐蔭大が、アディショナルタイムの得点で1点をリードし前半を終えた。
1点を追う関学大は、後半もボールを保持しながら桐蔭大ゴールに襲いかかる。66分、関学大は前線でボールを繋ぎながら、17番・倍井が左サイドからカットイン。そのまま右足でシュートを放つものの、これは桐蔭大GK1番・北村ががっちりセーブ。関学大は55分に11番・岡島温希、68分に13番・髙木大輝を投入して攻撃のギアを上げる。すると73分のカウンター攻撃で、投入されたばかりの13番・髙木が躍動。センターライン付近から左サイドをドリブルで切り込み、ペナルティーエリア深くまで入ると中央へと折り返す。そのボールに17番・倍井がダイレクトで合わせるが、これも桐蔭大GK1番・北村がファインセーブ。桐蔭大が手堅い守備で同点ゴールを許さず、このまま逃げ切ると思われた。しかし終了間際の90分、関学大はコーナーキックの混戦から途中出場の12番・稲田翔真が倒されてペナルティーキックを獲得。これを10番・木村がしっかりと沈め、関学大が土壇場で同点に追い付いた。試合は1-1のまま、15分ハーフの延長戦へと突入することとなった。
延長戦は前後半とも、両チーム一歩も譲らず拮抗した展開に。試合は120分を経過して1-1のまま。ペナルティーキック戦に突入するかと思われたが、延長戦終了間際に試合は動く。桐蔭大は先制点を決めた8番・山内が、ハーフウェーライン近くから正確なクロスを前線に入れる。これを後半途中から出場の22番・井出真太郎がキープ。ペナルティーエリア内の左側から、右足のアウトサイドでグラウンダーのパスをゴール前に入れると、こちらも途中出場の14番・白輪地敬大が滑り込みながら押し込む。最後の最後に桐蔭大が勝ち越しゴールを決めると、間もなく長い笛が鳴り響いて試合終了。桐蔭大が劇的な決勝点で120分にわたる死闘を制した。
元旦国立への切符は桐蔭大が獲得した。関学大は後半終了間際の同点ゴールで粘りを見せたが、土壇場でゴールを許し準決勝敗退となった。一方、桐蔭大は悲願の初優勝へ向け、2大会ぶり2度目となる決勝進出。3年前は、延長戦にもつれこみながら敗れ、目前で逃した優勝を今度こそ手に入れることができるか。