JUFA 全日本大学サッカー連盟

インカレ
『MCCスポーツpresents 2022年度 第71回 全⽇本⼤学サッカー選⼿権⼤会』決勝マッチレポート
2023/01/05


 ついに決勝戦を迎えた『MCCスポーツpresents 2022年度 第71回 全⽇本⼤学サッカー選⼿権⼤会』。2023年1月1日、国立競技場のピッチに立ったのは新潟医療福祉大学と桐蔭横浜大学になった。全国9地域のリーグ戦で上位の成績を残し、本大会に出場したのは24大学。優勝候補が次々と敗れる波乱の中、熾烈な戦いを勝ち抜いた2大学は、どちらも勝てば初優勝となる。悲願の初優勝、大学日本一の栄冠を手にしたのは果たして――。


[23]新潟医療福祉大学2(2-1)3桐蔭横浜大学 @国立競技場



 1回戦から着実に勝ち進み、創部以来初、そして北信越地区としても初の決勝戦進出を果たした新潟医療福祉大学(北信越地区第1代表)と、2019年以来2大会ぶりとなる決勝戦の舞台で、今度こそ日本一を掴み取りたい桐蔭横浜大学(関東地区第4代表)の一戦。ともに勝てば初優勝となる注目の決勝戦。

 最初のチャンスは新医大だった。6分、コーナーキックの流れから9番・田中翔太が胸トラップから左足でシュートを放つ。だが、ボールはバーの上へ。やがて桐蔭大が主導権を握り始め、18分には右サイドを22番・井出真太郎がドリブル突破。中央に入れたボールのこぼれ球を11番・寺沼星文が落とすと、5番・高吉正真がペナルティーアーク付近から右足で狙いすましたシュートを放つ。しかし、これは新医大GK12番・桃井玲がファインセーブ。その後も桐蔭大が積極的に攻撃を仕掛けるが得点には至らない。すると23分、新医大は左サイドのリスタートから24番・坂岸寛大がクロスを入れる。これは桐蔭大DFがクリアするが、そのこぼれ球を11番・オナイウ情滋が拾い、ペナルティーエリア手前から強烈なシュート。相手DFに当たってコースが変わったボールを、ファーサイドにいた9番・田中がトラップ。そのまますかさず左足を振り抜いてゴールネットを揺らす。新医大が先制点を決めるが、すぐさま桐蔭大も反撃に出る。その3分後の26分、桐蔭大は右サイドから2番・羽田一平がゴール前にクロスを送る。相手DFに当たったボールは大きくバウンド。そのボールに対し、9番・山田新がオーバーヘッドキックで対応するもシュートはバーを直撃。だが、そのこぼれ球に11番・寺沼が反応し、相手DFの間をぬうように右足でシュートを押し込む。これが決まり、桐蔭大が同点に追いつく。試合は振り出しに戻ったが、新医大はさらに攻勢を強める。その5分後の31分、新医大は右サイドから13番・神田悠成がロングスローでチャンスを作る。ゴール前に送ったボールは、ニアサイドで4番・秋元琉星が頭でそらし、最後は5番・二階堂正哉がダイレクトで右足のボレーシュートを叩きつける。新医大が再びリードを奪い、2-1で前半を終えた。




 後半は、1点を追う桐蔭大がボールを保持し、新医大が守る時間帯が続く。しかし、新医大は堅い守備と確実なボール回収で追加点を狙い、桐蔭大もなかなか決定機を作ることができない。流れを変えたい桐蔭大は72分に2回戦で2得点を挙げた22番・井出に代え、7番・笠井佳祐を投入。するとこの交代が奏功し、直後の76分にスコアが動く。桐蔭大は丁寧にボールを動かしてラインを上げると、右サイドから3番・中野就斗がクロスを入れる。これを中央で7番・笠井が頭でそらし、10番・水野颯太がパスでつなぐ。11番・寺沼がスルーしたボールを、ゴール前に上がっていた7番・笠井が左足で押し込み、桐蔭大が2点目を挙げる。安武亨監督の交代策がピタリと的中し、桐蔭大が再び同点に追いついた。全体的に運動量が落ちてきた新医大は、72分に18番・長谷川夢作、78分に16番・松谷昂輝を投入して立て直しを図るが、桐蔭大からボールを奪うことができない。対する桐蔭大も89分に25番・神田洸樹をピッチに送り出し、拮抗状態を打開しようとする。しかしどちらも追加点を決められないまま90分が経過し、試合はアディショナルタイムに突入。すると終了間際の90+3分、思わぬドラマが待っていた。交代直後の25番・神田が、11番・寺沼からのパスを受けて左サイド中央からドリブルで突破し、9番・山田へと丁寧なパスを送る。9番・山田がドリブルで相手をかわし、ペナルティーエリア手前から振り抜いた右足のシュートは、そのままGKの頭上を越えてネットに突き刺さる。今季チームを牽引してきたエースが、試合を決定づけるゴールを挙げ、ついに桐蔭大が逆転に成功。その後間もなく長いホイッスルが鳴り響いてタイムアップ。桐蔭大が終了間際の劇的なゴールで、悲願の初優勝、大学日本一に輝いた。

 新医大は2度のリードを奪いながらも、最後の最後に桐蔭大にゴールを許して準優勝に。北信越に優勝カップを持ち帰ることはできなかったが、総理大臣杯でベスト8、そして今大会で準優勝と、その実力を十二分に発揮。後半は押し込まれる展開となったが、セカンドボールへの素早い対応、セットプレーからの決定力など、自分たちの武器を存分に披露。堂々たる準優勝といえるだろう。

 安武監督の交代起用が奏功し、鮮やかな逆転勝利で初優勝を果たした桐蔭大。2大会前の決勝進出時は延長戦までもつれこんだ末に明治大学に敗れたが、今回は劇的な逆転ゴールで“90分内優勝”を達成した。今大会に出場した4年生は、全員が3年前の決勝をスタンドで観戦していた。「とにかく悔しかったことしか覚えていない」(3番・中野)。午前中の同会場では、『全日本大学サッカー新人戦』の決勝戦が行われ、3番・中野らは三連覇を懸けて試合に臨んだものの敗戦。新人戦、インカレ、ともに準優勝という結果に終わった。その雪辱を果たして手にした優勝に、全員が喜びを爆発させていた。