2回戦を迎えた『2023年度 第47回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』は、シード8校が参戦し9月3日(日)に行われた。地元東北のチャンピオン、仙台大学や本大会の昨年度王者で関東2連覇を果たした国士舘大学、関西チャンピオンの関西学院大学などが1回戦を勝ち抜いたチームと対戦。ベスト8を懸けて戦った。
国士舘大学 6(2-0)0 静岡産業大学 @セイホクパーク石巻フットボール場
関東に続き、本大会でも2連覇を狙う関東第1代表の国士舘大学が初戦を迎え、1回戦で日本文理大学を下した静岡産業大学と対戦した。序盤は両チーム互角の戦いを見せていたものの、次第に国士大が主導権を握り始める。坂巻日向のマイナスのヒールパスを受け、9番・古川真人がGKの頭上を越す技ありのループシュートで先制。40分にもコーナーキックから3番・望月海輝がヘディングシュートを叩きつけて2-0とリードを広げる。これで勢いに乗った国士大は後半にその攻撃力が爆発。59分に10番・大西悠介、69分に布方叶夢、84分に井野佑優が得点を重ねて5-0と大きくリード。国士大は最後まで攻撃の手を緩めず、アディショナルタイムに入った90+4分に23番・東川続が倒されてペナルティーキックを獲得すると、これを古川が決めてフィニッシュ。6-0で国士大が圧勝し、2連覇に向けての第一歩を踏み出した。
法政大学 1(1-0)0 阪南大学 @松島フットボールセンター1
1回戦で関西大学を下した法政大学は、2回戦も同じ関西のチーム、関西第2代表の阪南大学と対戦。試合は法大が積極的に攻撃を仕掛けながらも決めきれず前半の終盤へ。しかし前半終了間際の45+6分、法大は8番・渡邉綾平のコーナーキックを、27番・小湊絆が頭で合わせて先制する。1回戦に続いてゴールを決めた小湊は、後半に入ってからも躍動。54分にもGKの弾いたボールを押し込むが、これはオフサイドでノーゴールに。するとここから試合の流れは阪南大に。68分には、スローインの流れからゴール前で20番・中田有祐が倒されて阪南大がペナルティーキックを獲得。しかし、10番・金本毅騎のキックは法大GK、1番・中川真がガッチリとキャッチ。阪南大は絶好の得点機を逸したままゴールを割ることなく試合終了。法大が小湊の挙げた1点を守りきり、3回戦へとコマを進めた。
中京大学 4(1-0)1 鹿屋体育大学 @松島フットボールセンター1
東海チャンピオンの中京大学と鹿屋体育大学の一戦は、後半に大きく動く展開となった。ともに丁寧にボールをつないで崩すチームらしく、前半はよくボールの動く展開となった。そんな中、中京大は39分に鮮やかなパスワークで前線に切り込むと、最後は2番・武藤寛がうまく左足をあわせて先制。武藤は後半開始早々の48分にもドリブルで一気にゴール前まで持ち込みシュート。中京大が2-0とリードを広げる。その後は両チーム早めの交代で流れを引き寄せようとするが、先に選手起用が奏効したのは鹿体大だった。63分、15番・渡辺怜歩の右からのクロスに、交代したばかりの11番・廣田勇心が頭で合わせて鹿体大が1点を返す。このゴールを反撃の狼煙としたい鹿体大だったが、その3分後には中京大が追加点。66分、中京大は相手のパスミスから7番・藤井皓也がボールを奪うと、ゴール前の12番・碓井聖生が決めて3-1に。中京大は82分にも、10番・小酒井新大がコーナーキックを頭で合わせて勝負あり。4-1と大勝を収めた中京大が危なげなく初戦を突破した。
富士大学 3(0-2)2 日本経済大学 @セイホクパーク石巻フットボール場
地元の東北代表・富士大学は九州チャンピオンの日本経済大学と対戦。試合は、前半と後半で大きく流れが変わる展開となった。まず先手を取ったのは日経大。立ち上がりから積極的に攻めると、22分に28番・後藤颯汰が相手DFのクリアボールを広い、倒れ込みながらゴールに突き刺す。日経大は38分にも、24番・長崎偉大がミドルシュートを決めて 追加点。2点をリードして試合を折り返した。しかし、後半に入ると一転して富士大が攻撃を仕掛ける展開に。富士大は後半開始早々の49分、24番・寺崎朋範が2試合連続となるゴールを決めて1点を返すと、その4分後にコーナーキックからのこぼれ球を30番・本宮周東が左足で叩きつけて同点に追いつく。さらに3分後の56分、またもやコーナーキックから、今度は10番・菅原新が頭で合わせて3点目。富士大が、わずか7分間で3ゴールを奪い、逆転に成功する。日経大も直後の57分に選手2人を一度に投入して流れを変えようとするが、得点にまでは至らず3-2で試合終了。後半、一気に流れを掴んだ富士大が初のベスト8進出を決めた。
立正大学 3(3PK5)3 順天堂大学 @いわぎんスタジアムB面
ともに関東2部リーグに所属する、立正大学と順天堂大学の対戦は両チーム最後まで一歩も譲らない大接戦となった。リーグ戦と地域予選での対戦成績は立正大が2戦2勝。リーグ戦での順位も立正大が上位だが、この試合で先にスコアを動かしたのは順大のほうだった。11分、8番・ 栗原諒のスルーパスに抜け出した7番・岩井琢朗が、GKをかわして無人のゴールに流し込んで先制。しかし立正大も31分、18番・榊原杏太のクロスに17番・川上航立が頭で合わせ、試合を振り出しに戻して前半を終えた。後半も、両チーム激しいゴールの奪い合いとなった。後半も先手を取ったのは順大。開始早々の47分、5番・坂本琉維のロングキックに29番・今井啓太が反応。ゴール前に入れたクロスに、23番・松本愛己が左足で合わせて再び順大がリードする。すると立正大は58分、15番・田中誠太郎のロングパスを、29番・宮崎海冬が巧みにコントロール。そのままゴールへと流し込んで2-2に。だが、順大も諦めない。76分、ゴール前に抜け出した岩井が、GKとの一対一を制してこの試合2点目となるゴールを決め3点目。順大がみたび勝ち越す。今度こそ順大がリードして終わるかと思われたが立正大も最後まで粘り強くゴールを狙う。アディショナルタイムに突入した90+7分、5番・中村優斗、7番・青野翔太とつなぎ、最後は32番・久永武蔵が倒れ込みながらもゴールへと押し込む。"途中出場"トリオが土壇場でゴールを決め、試合は延長戦へ。
しかし延長戦では両チームゴールを挙げることなく、勝負はPK戦に委ねられた。PK戦では両チーム2人目のキッカーまで成功させるが、立正大は3人目、14番・吉野陽翔のキックが左ポストに弾かれてしまう。対して順大は全員が成功し、激しいゴールの奪い合いとなった"関東対戦"は、順大が"3度めの正直"で立正大に勝利した。
常葉大学 0(0-3)9 新潟医療福祉大学 @いわぎんスタジアムB面
延長戦の末2回戦進出を決めた常葉大だが、昨年度インカレ準優勝・北信越第1代表の新潟医療福祉大学に完膚なきまでに叩きのめされる結果となった。試合は11分、新医大の9番・田中翔太がGKのこぼれ球を突き刺して先制。24分には5番・秋元琉星がフリーキックを頭で合わせ、新医大が2点を先取する。対する常葉大はなかなかシュートまで持ち込めない状況の中、30分には4番・河田波大が前線に抜け出した新医大の選手を倒して退場に。常葉大は残り60分をひとり少ない状況で戦うことになった。数的優位に立った新医大はさらに攻撃のギアを上げ、33分に28番・吉田晃盛が3点目を決めて0-3で試合を折り返した。常葉大も早い時間帯から選手を交代して流れを引き寄せようとするが、新医大の勢いを止めることはできなかった。後半に入ると新医大の攻撃力が爆発する。58分、ペナルティーキックで田中がこの日2点目となるゴールを挙げると、62分には11番・青木友佑がゴールを決めて0-5に。さらに64分と67分に田中が連続ゴールを挙げて、この日だけで4得点をマーク。81分に青木、90+6分には秋元が、それぞれこの試合2点目のゴールを決め、終わってみれば0-9と新医大が圧勝。退場者が出たとはいえ、シュート数は新医大の29本に対し、常葉大はわずかに1本。完勝を収めた新医大が昨年大会に続くベスト8入りを果たした。
仙台大学 1(2PK3)1 中央大学 @いわぎんスタジアムA面
初戦を迎えた東北王者・仙台大学は中央大学と対戦。だが、前半は両チームゴールのないまま0-0で後半へ。中大は1回戦で2得点を挙げた19番・持山匡佑が負傷交代を余儀なくされるなどのアクシデントにも見舞われていた。それでも優勢に試合を進めていた中大だったが、一瞬の隙をつかれて失点。仙台大は65分、中大のクリアミスを拾うとワンタッチパスでチャンスを作り、最後は15番・與那覇航和がゴールに突き刺して先制する。仙台リードのまま試合は終盤を迎えるが、アディショナルタイムに突入した90+2分、8番・山﨑希一がドリブル突破でチャンスを演出。右サイドから上げたクロスに18番・星野創輝が頭で合わせ、土壇場で同点に追いつく。
しかし延長戦では両チーム追加点なく勝負はPK戦へ。仙台大は3人目のキッカー、18番・和田昂士が外したあと、4番・玉城大志、6番・田中慶延のキックが中大GK、1番・猪越優惟に止められてしまう。中大も4人目のキッカーである星野が外したものの、仙台大は3人連続で外したこととなり、PK戦2-3で中大が3回戦進出を決めた。
早稲田大学 0(0-1)2 関西学院大学 @いわぎんスタジアムA面
早稲田大学は関西チャンピオンの関西学院大学と対戦。2回戦2つ目の"東西対決"は、定期戦でも戦っているライバル同士の一戦となった。試合は序盤から関学大が攻め立て、15分にはコーナーキックを受けた19番・小西春輝が、振り向きざまにシュートを放ち先制する。しかし、後半は両チーム一進一退の展開に。どちらもゴールを決められないまま試合は終盤に突入。すると84分、関学大は20番・吉田有志が相手のボールを奪い、前線の9番・渡邉颯太へ。これを渡邉が決めて関学大がリードを2点差に広げる。早大は残り時間も反撃することなく0-2で試合終了。関学大が3回戦進出を決めた。
シード校が出場した2回戦を勝ち抜いたのは東北1、北信越1、関東4、東海1、関西1の8チーム。2回戦では九州代表チームが姿を消すこととなった。また東北王者の仙台大学が敗退する一方で、東北第2代表の富士大学が躍進。地元代表の意地を見せている。3回戦ではこの8チームがベスト4を懸けて激突。はたして生き残るのはどのチームか。