冬の大学王者を決める『MCCスポーツpresents 2023年度 第72回全日本大学サッカー選手権大会』。その2回戦は、シード校となっていた各地域リーグ戦の王者が加わり12月10日(日)に全8試合が行われた。
2回戦 全結果・トーナメント表
筑波大学(関東第1代表) 2(2-0)1 鹿屋体育大学(九州第2代表)
関東王者・筑波大学の初戦の相手は、1回戦で東海第2代表の常葉大学を下した鹿屋体育大学。筑波大は立ち上がりから試合の主導権を握り、積極的に鹿体大ゴールを狙う。筑波大は30分にコーナーキックを獲得。13番・高山優が蹴り入れたボールを9番・半代将都が落とし、バウンドしたボールを4番・福井啓太が頭で押し込んで先制する。筑波大は37分にも、主将の7番・山内翔のロングパスに半代が抜け出し、ゴール左隅に流し込んで追加点。2-0リードで試合を折り返した。鹿体大は後半頭から24番・新倉礼偉をピッチに送り出して試合の立て直しを図る。すると後半早々の47分、鹿体大は14番・吉川敬進がフリーキックを直接ゴールに突き刺して1点を返す。ここから反撃に移りたい鹿体大だったが、筑波大の守りを崩すまでには至らず2-1で試合終了。1失点を喫したものの、筑波大が関東王者らしい安定した試合運びで初戦を突破した。
日本大学(関東第4代表) 0(0-0)1 中京大学(東海第1代表)
初戦では4ゴールを挙げて快勝した日本大学だが、この試合では東海チャンピオンの中京大学に苦戦。対する中京大も日大のゴールを割ることができず試合は膠着した状態に。0-0のまま90分が過ぎアディショナルタイムに突入。多くが延長戦を予想した90+3分、試合は劇的な展開を迎える。中京大は細かなパスをつなぎ右サイドでボールをキープ。いったん中盤に戻したボールを10番・小酒井新大が受けて前線にスルーパス。これに7番・藤井皓也が抜け出すと、ゴール左にシュートを突き刺してゴール。終了間際のこの得点が決勝点となり、中京大が劇的な展開で勝利し3回戦へと駒を進めた。
広島大学(中国代表) 1(1-0/EX0-2)3 仙台大学(東北第1代表)
1回戦で総理大臣杯優勝校の富士大学に快勝を収め、その勢いのまま2回戦に臨んだ広島大学。前半の16分には、富士大と同じ東北代表の仙台大学相手に先手を取る。10番・倉惟雲のパスに11番・酢谷元哉が抜け出しそのまま右足シュートでゴールネットを揺らす。仙台大は何度かチャンスを掴みながらも決めきれず1-0のまま後半へ。すると67分、仙台大は13番・得能草生が放ったシュートがポストに跳ね返りゴール前に。これを4番・玉城大志が頭で折り返し、最後は9番・佐々木翔が押し込んで同点に追いつく。試合は1-1のまま延長戦に突入するが、試合は仙台大が主導権を握る展開に。98分にコーナーキックを得た仙台大は、玉城の折り返しを18番・和田昂士が頭で叩き込んで逆転に成功。延長前半アディショナルタイムの101+5分にも、同じくコーナーキックから14番・根岸恵汰が決めて1-3と広島大を突き放す。試合は1-3で終了し広島大の連勝ならず。仙台大がベスト8進出を決めた。
明治大学(関東第3代表) 5(5-1)3 関西学院大学(関西第3代表)
ともにインカレ優勝を経験している強豪同士の対戦は派手なゴールの奪い合いとなった。2回戦屈指の好きカードは、しかし立ち上がりから明大が関学大を圧倒する展開となった。明大は開始早々に8番・熊取谷一星が左からペナルティーエリア内に侵入したところを倒されてペナルティーキックを獲得。これを11番・太田龍之介が決めて先制点を挙げる。明大は8分にも、熊取谷の上げたクロスにファーサイドの12番・ 内田陽介が頭で合わせて追加点。さらに14分、再び熊取谷が倒されてペナルティーキックを獲得。先制点と同様、これも太田が決め、あっという間に3-0と明大がリードを広げる。しかし明大の攻撃は止まらない。34分に熊取谷、38分に太田がスルーパスに抜け出してゴールを決めて5-0と関学大を大きく突き放す。太田はこのゴールでハットトリックを達成するなど、まさに明大のワンサイドゲームとなった。関学大も前半終了間際の45+2分に、11番・望月想空が鮮やかな切り返しからゴールネットを揺らすが、前半の関学大のシュートはこの1本のみ。前半だけで5-1と大きくスコアが動く展開となった。4点のビハインドを追った関学大は前半終了間際に17番・髙木 大輝、後半の頭から9番・渡邉颯太、25番・佐伯清之助の2人を投入。試合の流れを変えようとする。それが奏効し後半は関学大のペースに。63分には交代出場、高木のフリーキックを望月が押し込んで2点目をマークするが、広げられた点差を詰めるまでは至らない。終了間際の90分にも10番・倍井謙がゴールを決めて5-3とするが反撃はここまで。前半に大量5得点を挙げた明大が勝利し、昨年の初戦敗退を払拭する勝利で3回戦進出を決めた。
東京国際大学(関東第2代表) 3(1-0/EX2-0)1 大阪学院大学(関東第4代表)
東京国際大学と大阪学院大学の東西対決は、東国大が早い時間帯に先手をとった。7分、東国大は8番・竹間永和のコーナーキックを20番・平川周汰が頭で合わせて先制する。その後は両チームチャンスを決めきれず1-0で前半を終了。後半に入ると、1点を追う大院大が主導権を握り東国大を猛追する。それでもなかなか決めきれない大院大だったが、80分に丁寧なパス回しから活路を開くと、最後は9番・閑田隼人がゴール前の切り替えしでDFをはがしてシュート。これが決まり、大院大が同点に追いつく。試合は1-1のまま延長戦に突入。すると今度は東国大が優位に試合を進める。延長戦序盤こそ攻めあぐねるシーンもあった東国大が、96分に29番・依田籟木が豪快なミドルシュートで追加点を挙げると流れは一気に東国大に。さらに延長前半終了間際の105+1分、交代出場の7番・関本真尋が角度のないところからのシュートを決めて3点目を挙げて勝負あり。延長戦で2ゴールをマークした東国大が、昨年大会に続くベスト8入りを決めた。
流通経済大学(関東第5代表) 2(1-0)1 新潟医療福祉大学(北信越代表)
昨年度準優勝校、北信越地域初の決勝進出を果たした新潟医療福祉大学の初戦の相手は関東の強豪、流通経済大学。流経大は開始早々の8分にキャプテンの7番・八木滉史が負傷退場するアクシデント。しかし徐々に落ち着きを取り戻すと、26分、八木の代わりにキャプテンマークを巻いた9番・宮田和純が粘り強い切り返しとフェイントからシュートを流し込み、流経大が先制する。1点を追う新医大は後半の頭から6番・坂岸寛大、25番・大塚亮介のふたりを一気に投入。坂岸の左サイドの突破を起点に、波状攻撃を仕掛けるがなかなか決めきることができない。しかし84分、新医大は流経大GKの弾いたボールを坂岸が拾い、8番・松本天夢を経て9番・田中翔太へ。田中はこれを豪快にゴールに突き刺し、新医大が1-1に追いつく。延長戦突入かと思われる中、アディショナルタイムの90+10分、流経大は右サイドからペナルティーエリアに侵入した11番・松永颯汰が倒されてペナルティーキックを獲得。これを宮田がきっちりと決めて流経大が土壇場で勝ち越しに成功。ほどなくしてタイムアップの笛が鳴り、2-1で流経大が勝利。昨年度準優勝の新医大は初戦で姿を消すこととなった。
東洋大学(関東第6代表) 0(0-2)2 京都産業大学(関西第1代表)
関西王者・京都産業大学の初戦の相手は、4大会ぶりの出場ながら1回戦を快勝した東洋大学。試合は序盤からスコアが動いた。7分、京産大は中盤でボールを奪うと細かくパスをつないで13番・中田樹音にパス。中田がゴール前に抜け出して放ったシュートは東洋大GKが弾いたものの、そのボールが東洋大DFに当たってゴールネットを揺らす。オウンゴールで先制した京産大だったが、その2分後の9分には、11番・夏川大和が鮮やかなミドルシュート決めて追加点。あっという間に0-2とリードを広げた。失点もあり、前半はなかなかチャンスを作れなかった東洋大は後半に入り京産大を猛追。しかし、京産大も粘り強いまもりで東洋大の攻撃を防ぎ、2点のリードを守りきったまま試合終了。関西勢最後の生き残りとして3回戦に駒を進めた。東洋大は4大会前と同様、2回戦突破ならず。
関西大学(関西第2代表) 2(1-3)4 福岡大学(九州第1代表)
関西と九州、西の強豪同士の対戦は激しい点の取り合いとなった。先制したのは"鬼門"の1回戦突破を果たした福岡大学。10分、7番・橋本悠のフリーキックを9番・中山桂吾が頭で落とし、跳ね返ったボールを5番・伊藤颯真がゴールに叩きつける。福岡大は21分にも3番・磯谷駿がトラップからのシュートを決めて追加点。一方、これが初戦となる関西大も37分、3番・木邨優人のロングパスに9番・西村真祈が抜け出してそのままゴール。福岡大を1点差に追い詰めるが、福岡大は前半アディショナルタイムに6番・重見柾斗が関西大のルーズボールに詰めたところを倒されてペナルティーキックを獲得。これを7番・橋本が決めて1-3とし、再び関西大を2点差に引き離して前半を終了した。関西大、福岡大ともハーフタイムに新しい選手を投入して後半に臨む。すると50分、関西大は後半から投入の7番・堤奏一郎の右サイドからのクロスに8番・8 菊地孔明が頭で合わせて2点目をマーク。2-3と、再び福岡大に1点差に迫った。両チーム一進一退の攻防戦を繰り広げる中、試合を決定づけるゴールは思わぬ形で生まれる。72分、福岡大・橋本が右サイドから切り替えして上げたクロスを、関西大DFがクリアしようとしてそのままオウンゴールに。福岡大が4点目を挙げスコアを2-4に。関西大も最後まで追いつこうとするが、スコアは動かず2-4でフィニッシュ。福岡大が2大会ぶりのベスト8入りを決めた。
2回戦の結果、ベスト8に残ったのは関東4チームと、東北、東海、関西、九州がそれぞれ1チームずつ。昨年度準優勝の新潟医療福祉大学に加え、総理大臣杯準優勝の関西学院大学も2回戦で大会を去ることとなった。3回戦では関東王者・筑波大学と東海王者・中京大学が対戦。また九州王者の福岡大学と関西王者・京都産業大学の"西の強豪対決"も見どころのひとつとなるだろう。一方、明治大学は昨年大会で敗れた東北王者・仙台大学と激突。明大にとっては昨年のリベンジを果たす絶好の機会となるが、仙台大も東北代表として負けられない。唯一の"同地域対決"となったのが、流通経済大学と東京国際大学。リーグ戦では東国大が1勝1分と勝ち越しているが、流経大が"3度目の正直"なるか。各地域の強豪が激突する3回戦は、12月13日(水)の11:00に全会場一斉キックオフとなる。