第28回ユニバーシアード競技大会の直前合宿5日目は、午後に国内合宿の総仕上げとして産業能率大学とのトレーニングマッチが行われました。
20分×3本の練習試合には、怪我で別メニューの木本選手、長谷川選手を除く18名の選手が全員出場しました。大会を想定し、引いて守りながらカウンターを狙ってくる相手に対してどのように戦うのか、選手たちの判断力が問われる試合となりました。
1本目の試合では、サイドからの攻撃で相手を崩しながらもラストプレーでの正確性に欠き、なかなか得点を決めきれません。激しい雨の中、相手の体を張った守備に苦戦します。それでも16分に、松下選手の右CKから田上選手が頭で合わせてゴール。前日には、チームの課題として時間を割いて練習していたセットプレーからの得点に、神川監督も「非常にうれしかった」と顔をほころばせます。
2本目も立ち上がりはなかなかリズムをつかみ切れず、相手に押し込まれるシーンもありました。しかし、ディフェンスラインが冷静に対応。次第に高い位置でボールを奪うと29分、端山選手からのスルーパスを受けた岡選手がゴールします。さらにその2分後の31分にも、端山選手が右サイドを突破。ゴール前に抜けだした岡選手が、端山選手からのボールを冷静に決め、スコアを3-0とします。
1、2本目は4-3-2-1のシステムで戦いましたが、3本目だけは5-4-1と5バックの布陣でスタート。3月に韓国大学選抜と対戦して敗れた反省から、相手がロングボールやパワープレーで攻撃したときに、いかに対応するかをテーマとして臨みました。序盤から両サイドバックがアグレッシブに攻撃に参加し、49分には右サイドバック・室屋選手のクロスがフリーで前線に上がっていた重広選手の下へ。重広選手はGKを1対1でかわすと無人のゴールに押し込み、4点目をマークします。
しかし、56分にはセットプレーから相手にゴールを許し、この試合初の失点を喫してしまいます。それでも2分後には、再び室屋選手のクロスに、今度は呉屋選手が合わせて5点目を挙げ、試合終了となりました。
試合後にはPK戦が行われ、全員がPKを成功させこちらも5-4で勝利。セットプレーからの失点という課題は残ったものの、大会を見据えた試合の中で結果を出して国内合宿を仕上げることができました。
ユニバーシアード男子代表は27日に都内に移動し、28日に韓国に向けて出発。現地での調整を経て、7月2日のグループリーグ初戦、イラン戦に挑みます。
【監督、選手コメント】
■神川明彦監督
今日の試合では大会を想定、産業能率大さんに1、2本目は引いて守りを固めてカウンター狙い、3本目は前に人をかけて、ロングボールによるパワープレーでゴールを狙うような試合をしてほしいとお願いをしました。それに対して、選手たちが瞬時にどう判断をし、コミュニケーションをとって解決するかというのが、今日の試合のテーマでした。特に3本目については、デンソーカップサッカー日韓戦で韓国に敗れたことによる反省も含めての対応です。
1本目のセットプレーからの得点は非常にうれしかったです。セットプレーからの得点は特に課題としていたところですし、クロスが少しずつ合わず、相手も元気な状態でなかなか点が取れないという中、ああいう形で点を取ることの重要性を、選手たちも認識できたと思います。
2本目は岡が2得点。もう1点取れたと思いますが(笑)、彼はこのチームに復帰してまだ間もないので、ああいう得点をすることで自信につながったのではないかと思います。
韓国では、まずフィジカル、メンタルのコンディションをしっかりと整えることが大切だと思っています。今日は木本と長谷川が別メニューになってしまったので、彼らが1日でも早く戻ってきたもらうことが第一でしょう。また今日の試合では、クロスボールに合わせるポイントや失点の原因になったセットプレー時の守備、ロングボールに対して下がるタイミングが遅いといった課題が明確になりました。韓国では今日出た課題をしっかりと修正していきたいと思います。
■湯澤聖人(流通経済大・DF・4年)
ユニバに向けての最後の合宿ということで、今までよりもひとりひとりのチームに対する意識が高く、充実した合宿になっていると思います。そんな中、個人的には今年入ってからはあまりコンディションがよい状態とはいえず、自分的にも悩みながらこの合宿に合流しました。けれどコンディションを上げるためにいろいろな工夫をしてきたし、少しずつ調子も上向きになってきたような気がします。あとはしっかりとチームに貢献できるよう、いい準備をできればいいと思っています。
以前よりもチームのみんなが自分の動きを理解して、うまく使ってくれるようになってきました。今日の試合では、そういった部分が出せたと思います。大会ではスタメンであるかどうかに左右されず、チームとしてどうすれば優勝できるかを常に考えていきたいと思います。試合に出られたら自分のやるべきことをやり、縦に強くいくという自分の武器を出してチームにパワーを与えたいです。
■萩間大樹(専修大・DF・4年)
今日の試合の3本目は5バックというより3バックに近い部分もあり、(所属する)専修大と同じというやりやすさはありました。それだけに、この形に慣れていないほかの選手をもう少しうまく動かして、引っ張っていかなければならないと思いました。今回の合宿ではセットプレーをはじめとするかいろいろな課題が出たので、それを初戦までに改善していきたいです。特に今日のようなセットプレーからの攻撃は、大会でも必ずあるシーンなので、しっかり修正しないといけないと思いました。
初戦の相手のイランはどんなチームかわからないので、試合が始まってから相手をしっかりと分析していきたい。分析し、みんながコミュニケーションをとって試合を進められれば、負ける相手ではないと思っています。
ユニバで得たいものは“自信”です。今、自信がないというわけではないですが、ユニバで金メダルをとることで、自分にとってはさらなる自信につながると思っています。
■岡佳樹(桃山学院大・FW・3年)
今日の試合は、相手が高い位置できたので裏に抜けやすかったと思います。いい形でボールが入って、点がとれてよかったです。でも、守備でプレスやセットプレー時の守備、攻撃の連携といった部分での課題も出たので、それを初戦までに修正していきたと思います。自分はFWなので、チャンスがあればゴールを決めてチームの勝利に貢献したいです。得点王とまでは言わなくても大量得点を狙いたいです。
■重広卓也(阪南大・MF・2年)
得点シーンは、(室屋)成さんがいい形でボールをくれたし、GKもうまくかわせたので冷静に打っただけです。常に裏への飛び出しは狙っているし、そこは自分の持ち味だと思っています。ユニバーシアードでも、しっかり周りとコミュニケーションをとれていれば、今日みたいなシーンが生まれるのではないかと思っています。
個人的には、自分が前に走ったらサイドハーフの人が中に絞ったりという形で、コミュニケーションが取れるよう意識をしています。特に今日は、僕が引いても相手の状況は変わらないと思ったので、できるだけFWに近い位置でプレーすることを心がけました。
この合宿では、これまでの合宿に比べてすごく深いところで“仲間”になれたのではないかと思っています。ASEという野外活動の時にも思ったのですが、チームの一体感をより一層強く感じるようになりました。ユニバーシアードは世界大会なので、しっかりと世界というものを肌で感じたい。今の自分にとっては、それが何よりの財産になると思っています。
■試合結果詳細