ユニバーシアード日本代表の対戦相手は、“因縁の相手”イタリアです。過去の大会で5回対戦し、通算成績は2勝3敗(うちPK戦で1勝1敗)と負け越していますが、2回の勝利はいずれも決勝戦で、日本は5度の優勝のうち2回でイタリアを下して金メダルを手にしています。一方で、準決勝、準々決勝での対戦では勝ち星がなく、今回こそはそのジンクスを払拭したいところです。
例年、イタリアはセリエBやCに所属するプロ選手を中心に、固い守りを武器にチームを構成してきます。過去の大会で日本は、この固い守備力に苦しめられてきました。しかし、選手をローテーションで起用し、コンディションを調整しながら戦ってきた日本に対し、イタリアはレギュラー選手を固定。11人の選手がこれまでの全試合に出場、ほぼ4試合フル出場が8名いる一方で、1試合も出場していない選手が3人いるなど、この高温多湿の気候の中、後半の体力低下が想定されました。
そのため、前半は無理な攻撃は仕掛けず、ゆっくりとボールを回しながら相手の出方をうかがいます。イタリアのカウンターやサイドチェンジを警戒しながらも、20分過ぎからは次第に攻撃のチャンスを掴みます。21分には左サイドバックの高橋諒選手のクロスが風にのり、そのままゴールに入るかと思われましたが、相手GKがギリギリのところで弾いてゴールならず。また36分にはニアサイドぎりぎりのところを狙ったMF端山豪選手のキックも、相手GKの攻守に阻まれてしまいます。
「もうひとつ攻撃のギアをあげないと、あのディエンスを崩せない」という、ハーフタイムの神川明彦監督の指示を受け、日本は後半立ち上がりからラインを押し上げて攻撃を仕掛け始めます。50分には端山選手が左サイドを突破してゴール前に切れ込み、54分にはMF重広卓也選手のパスから端山選手がシュートを放つなど、いい形の攻撃が連続します。特に左サイドの端山選手を起点に重広選手がうまく絡み、日本が主導権を握って優勢に試合を進めます。しかし、堅守を誇るイタリアのゴールはなかなか割れず、日本は早めに交代のカードを切ることを選択しました。MF長谷川竜也選手、端山選手、岡選手を下げ、MF和泉竜司選手、MF小林成豪選手、FW呉屋大翔選手といった「これまで、このチームで点をとってきた選手」(神川監督)を送り込んで先制点を狙います。
62分には小林選手の右CKから重広選手がボレーシュート。「完全に狙っていた」(重広選手)という決定的なシーンですが、これも相手GKがブロック。74分の和泉選手のミドルシュートもゴールには結びつきません。イタリアの高さ、強さだけではなく、寄せの早さや足の長さなどにも苦戦し、ラストプレーが決められない日本。思ったようにボールを収めることができず、逆に試合終盤にはイタリアの猛攻を受けて防戦一方になってしまいます。
粘り強い守りでイタリアの攻撃を跳ね返すものの、そこから主導権を握って攻撃の形を作ることができません。残り5分のところでPK戦を覚悟したという神川監督は、アディショナルタイムにPK戦のキッカーとしてDF田上大地選手を投入します。試合は両チーム無得点のまま試合は終了。大会規定により延長戦は行わず、勝敗はPK戦に委ねられることになりました。
大会前の合宿はもちろん、大会中も何回もPK戦の練習を準備をしてきた日本。絶対の自信をもってPK戦に臨みましたが、1番目のDF湯澤聖人選手のシュートはバーに当たり、2番目のキッカーである田上選手のシュートも相手GKに止められてしまいます。3番目のMF奥山政幸選手がようやくPKを成功させますが、対するイタリアは3人全員が成功。さらに日本は、4番目のDF新井一耀選手のシュートがポストを叩いてしまいます。この結果、日本はPK戦に1-3で敗戦。決勝へと駒を進めることはできませんでした。前回大会と同じく、準決勝敗退となり、3位決定戦にてユニバーシアードブラジル代表と銅メダルをかけて戦うことになりました。3位決定戦は13日16:00から、Naju Pablic Stadiumで行われます。
■試合結果詳細
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