準決勝、対イタリア戦後のユニバーシアード日本男子代表の監督、選手コメントです。
【監督、選手コメント】
■神川明彦監督
今日の試合は1点勝負だと思ったので、先制点をとられたら厳しいだろうと思っていました。そのため、0点で抑えながら攻守の切り替えのところでギアをあげていけばチャンスになると伝えていました。ハーフタイムには、「もうひとつ攻撃のギアをあげないと、このままでは崩せないぞ」と言いました。
後半はいい時間帯がありました。特に端山のサイドから何回かチャンスがあったのですが、残り10分間はイタリアが試合巧者ぶりを見せて、そのあたりはやはり強いなと感じました。エネルギーのかけどころを知っているチームでした。
選手交代については、間があいてきたのと、長谷川のところで引っかかってしまうことが多かったので、イラン戦同様に和泉を出して勝負に出ました。長谷川も後半、いい形があったのですが、フィニッシュのところで和泉のほうがパワーもあるし、相手DFの5番選手が足にきているイメージがあったので、和泉のスピードにかけました。基本的には、このチームでいちばん点をとっている呉屋、小林、澤上と和泉という4人を揃えて、ある程度カウンター気味でもいいのでチャンスを作れればと思っていました。最後に田上を入れたのは、単純にPK戦を考えてキッカーを増やしたかったというところです。田上は、練習でも確実にPKを決めていましたので。
今日のメンバーはコンディション重視で、この高温多湿の中で相手より動ければという期待を込めて送り出した選手たちです。交代のカードを含め、想定していたとおりで、その部分での悔いはありません。ただ、スコアが0-0だったので、カウンターを警戒して前掛かりになれなかった。90分間で勝ちに行くかどうかを考えて、ラスト5分のところでPK戦で勝つことを選択しました。ファイナリストになってメダルを確定させたかったのですが、それができず残念です。僕の力不足でした。
■前川黛也(関西大・GK・3年)
PK戦では相手のGKが堂々としていたので、自分もそれに負けないよう、冷静に相手に威圧をかけてPKを止めようと思ったのですが止められなかったのは残念です。PK戦が始まる前には、自分がヒーローになってチームを勝たせると言っていたのですが、こういう結果になってしまい、自分の力不足を感じました。
■重広卓也(阪南大・MF・2年)
やはり決めるべきところで決めないと、こういう試合になってしまうと思いました。前半は守備に徹底して攻撃に体力を使わず、後半は自分の持ち味である裏に出るプレーを出そうと思っていました。後半は相手の足が止まってくるのがわかっていたので、とにかく1点をとろうと前からいったのですが、クロスの質や精度が低く、シュートに対する反応がイタリアより遅れていたので、決めきることができませんでした。相手のほうが1枚上手だったと思います。
今大会、ブラジルやイタリアという世界のトップクラスの選手とプレーできたことで、自分自身のプレー幅をもっと広げられるんではないかと思いました。足りないところとも出てきたし、できると思える部分も出てきた。その両方を自分の中でしっかり受け入れて、これからもやっていきたいと思います。
■奥山政幸(早稲田大・MF・4年)
イタリアは非常に守備の固いチームでした。ある程度のところまではボールを持たせてくれるのですが、ゴール前や最後の勝負をするところでは規律正しく守ってくる。引かれた相手に対して、ボールを持てるのは当たり前だと思います。自分は守備力を買われて選ばれたと思うのですが、前線の選手に対してやらせない、というところではある程度できたと思います。ですが、相手の嫌がるところ、危険なところへのパス、顔出しができませんでした。もっと積極的に前に出て、チャンスを作らないといけないと思いました。
イタリアの先発メンバーは長時間出場している選手ばかりだったので、前半は0-0で折り返し、後半で勝負というプランを立てていまいた。前半の展開に関しては狙い通りだったと思います。相手もやられたくないのか真ん中を締めてきた印象はありますし、自然とスピードアップできるサイドへのパスや、サイドチェンジによる攻撃が多くなったのかな、と思います。
PK戦は緊張しましたが、ふだんからPK戦の練習はしてきたし、神川監督からもこれまで105回、PKの練習をしてきて何回成功したという具体的な数字が出て、自信をもって蹴ろうという話になりました。だから、自分自身を信じて蹴るだけでした。結果的に決めることができてよかったです。
次はこのチームで戦える最後の一戦です。チーム一丸となって戦い、必ず勝って銅メダルを持って帰りたいと思います。
■新井一耀(順天堂大・DF・4年)
後半は主導権を握って攻め込んでいたのですが、そこで1点をとれなかったため、PK戦という形になってしまいました。最後に自分たちの甘さ、弱さが出てしまったと思います。
イタリアは、これまで戦ってきた相手と、あまり変わらずごく脅威的なチームという印象はありませんでした。後ろではミスをせず、セーフティーにプレーできていたと思うのですが、いい形でボールを前に入れられなかったので、いい攻撃の組み立てもできなかった。自分としては、そこが不甲斐ない試合だったと思います。イタリアはGKも含め最後のところで人数をかけてきて、体をはって、集中力をもって守ってくる。そこで1点決めきれなかったのは自分たちの課題で、最後まで克服できなかったのが負けてしまった要因だったと思います。
PK戦はずっと準備をしてきたのですが、練習で決められても本番で決められないのは、それが本当の今の実力だということです。相手GKの位置を見て、サイドのほうを狙いすぎて外してしまいました。力みすぎて、平常心ではいられなかったことが、いちばんよくなかったと思います。みんなには申し訳ないですし、このことをしっかり見つめなおさないといけないと思います。
でもまだメダルのチャンスはあります。しっかりとメダルを日本に持ち帰るというところが、自分たちに課せられた使命だと思うので、全員で勝ち切って日本に戻りたいです。
■高橋諒(明治大・DF・4年)
全体的に攻撃の形があまり作れず、自分もなかなかオーバーラップすることができませんでした。まずは0点で抑えようと意識していた前半と違い、後半はこの45分間で点をとりにいこうと、回数は少ないながらも何度かチャンスを作れたと思います。ただ、日本ではとられないようなファウルも多く、相手からボールを奪うとほとんどがファウルと判断されてしまうことが難しかったです。
負けたショックは大きいのですが、前回大会もしっかり3位決定戦で勝って銅メダルをとって帰ってきています。明日1日、しっかりと切り替えて、次の3位決定戦に勝って銅メダルを日本に持ち帰りたいと思います。
■和泉竜司(明治大・MF・4年)
自分は得点に絡むプレーを期待されていたと思うし、正直自分でも(ゴールを)狙っていたのですが、途中から試合に出て、30分間あった中で結果を出せなかったということで、自分の力不足を感じました。ラストプレー精度やクロスの質、日本とは違う足の長さや伸び……。相手も、ゴール前の守備に対しての執念がすごかったし、そこを崩せなかったのが自分たちの課題だと思いました。
試合が進むにつれてスペースは空き出したのですが、最後の部分での粘り強さというか、マリーシアを崩せなかった。これはイタリアだけではなく、どのチームもそうでしたが、ファウルぎりぎりのところを狙ってくる。たとえばクロスを蹴ろうとした時に、引っ張っていかせないようにしたり。そういう最後のところでやらせないためのずる賢さ、海外の基準といったものは、日本人にない勝負へのこだわりだと思いましたし、もっと学んでいいことだと思いました。
ただ、0-0でPK戦で勝つという形も、自分たちのプランとしてはありました。PK戦はずっと練習をしてきて、みんな自信をもって臨めたと思うのですが、結果的に5人中3人が外してしまった。やはり、最後の部分でいつもどおりという部分が出せなかったのかもしれません。ただ、下を向いている時間はありません。試合に出たメンバーも、出ていないメンバーも全員、この敗戦に大きなダメージを受けているとは思いますが、銅メダルを日本に持ち帰るという目標に切り替えて、ここまで積み上げてきたコンディション、メンタルといった部分をやっていくしかないと思います。
■試合結果詳細
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