ユニバーシアード日本代表の最終戦、3位決定戦の対戦相手はファーストラウンドでも対戦したユニバーシアードブラジル代表です。以前対戦したときは、ブラジルにボールをキープされる時間がありながらも、後半に端山豪選手のフリーキックで挙げた1点を守り切って勝利しました。
再戦となったこの試合は、お互い手のうちを知るもの同士、拮抗した展開が予想されました。しかし試合日本が序盤から主導権を握る展開となり、両サイドを起点にたびたびブラジルゴールに攻め込みます。
7分には、MF和泉竜司選手からのパスを受けたMF小林成豪選手がミドルシュートを放ち、16分にもCKからMF木本恭生選手がヘディングシュート。29分には、左サイドバックの室屋成選手が狙いすましたミドルシュートでブラジルゴールを脅かしますが、これは惜しくもバーを叩きます。39分にも、和泉選手のスルーパスに小林選手が抜け出しシュートを放つも、枠をとらえきれません。前半終了間際には、フランス戦での得点シーンを彷彿させる位置、時間帯でフリーキックを獲得。このチャンスに、DF田上大地選手がキッカーを務めますが、こちらもシュートはバーの上に。
前回と違い、明らかに日本が圧倒的に優勢に試合を進めながらも、課題とする決定力不足を克服できないまま無得点で前半を折り返します。
後半に入ると、日本はディフェンスラインをさらに押し上げてゴールを狙います。53分には、田上選手のクリアーをMF八久保颯選手がつないで前線のFW呉屋大翔選手へ。しかし、タイミングがあいません。56分には、室屋選手からのパスに和泉選手がゴール前に飛び込み、相手DFに倒されますがこれはノーファウルの判断。少しずつラフなプレーが増える中、ボランチの木本恭生選手やセンターバックの萩間大樹選手が前線につけるパスを出しますが、日本はなかなかゴール前でボールを収めることができません。
そこで60分には、八久保選手に代えてFWの澤上竜二選手を投入。呉屋選手の1トップから澤上選手を加えた2トップにシステムを変更して局面の打開を試みます。
その直後には、ブラジルに立て続けにCKのチャンスを与えるなどやや押し込まれる時間帯に。しかし、これはGK福島春樹選手を中心としたディフェンスラインがカバー。逆に77分にはフリーキックから萩間選手のヘディングシュート、86分には田上選手のロングキックに澤上選手が合わせるなど、惜しいシーンはありましたが決めきれないまま90分が終了。勝敗は、準決勝と同じく延長戦なしのPK戦に委ねられました。
後攻となった日本の最初のキッカーは呉屋選手。「これまで期待されていたのに点を取れなかったので、せめて(PKで)仕事をしようと思った」と志願して1番手に名乗り出ました。呉屋選手がPKをきっちりと決めると、2番手の長谷川竜也選手、3番手の室屋成選手、4番手の松下選手、5番手の木本選手と、日本は次々とPKを成功させていきます。一方のブラジルも5番手までは成功させ、PK戦はサドンデスに突入しました。ブラジルの6人目が成功し、日本の6人目は田上選手。イタリア戦でPKに失敗した雪辱を晴らすように、今度はきっちりと蹴り込みます。
それまで、ブラジルのキックを止めることのできなかった福島選手ですが7人目のキッカーの「顔を見た瞬間、止められるような気がした」との言葉どおり、左側に蹴ったシュートを読みきってストップ。その後は、「PKを止めたら、次は自分が蹴る」とPK戦前に話していた通りに、自らペナルティアークへと向かいます。そして「1年8ケ月分の思いを込めて」(福島選手)キックをゴールの真ん中に蹴り込んでPKに成功。7-6で、日本がPK戦に勝利しました。
この結果、日本は3位が確定。目標とする金メダルには届かなかったものの、準決勝での敗戦から気持ちを切り替えて銅メダルを獲得しました。準決勝後には、神川監督と選手ひとりひとりが個別に話し合い、「選手たちの自主性を信じて」(神川監督)この試合に臨んだとのこと。最後まで決定力不足という課題を修正しきれずに苦しんだ日本ですが、全員が一丸になるという強い気持ちでPK戦に勝利し、銅メダルをもぎ取りました。
■試合結果詳細