「アパマンショップPresents 平成27年度第64回全日本大学サッカー選手権大会」1回戦マッチレポート
2015/12/09
アパマンショップPresents 平成27年度第64回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)
1回戦マッチレポート
12月8日(火)、2015年度の大学サッカーを締めくくる大会、『アパマンショップPresents 平成27年度第64回全日本大学サッカー選手権大会』(インカレ)が開幕した。1回戦はプレーオフを勝ち抜いた3校を含む、全16チームが登場し、熱い試合を展開した。
@相模原ギオンスタジアム
第1試合は高知大学(四国地区代表/22年連続31回目)と愛知学院大学(東海地区第2代表/3年連続13回目)の一戦。
初戦の影響もあってか立ち上がりは両チームともにロングボールを多用し、牽制しあう展開となった。フィニッシュに今一つ精彩を欠く両チームであったが、均衡を破ったのは高知大。前半35分、後方からのロングボールを高知大11番・藤川真也が懐に収め、相手のファウルを誘いペナルティエリア付近でのフリーキックを獲得する。そして高知大7番・下園直輝が相手GKの逆をつく鮮やかなキックをゴールに沈め先制する。
後半は開始早々から愛院大ペースに。高知大陣内に押し入る展開の中、後半から途中出場の愛院大10番・森川龍乃介が後半26分に裏へのスルーパスに反応し、GKとの1対1を冷静に流し込み同点とする。その後も流れは愛院大にあったが、後半39分、高知大8番・岡田千裕が一瞬の隙をつくミドルシュートを決め勝ち、越しに成功。そのまま終了のホイッスルが鳴り響く。苦しい時間帯を耐え凌ぎ、一瞬の隙を逃さない強かさを持つ高知大に軍配が上がった。この強かさで、次戦の関東王者・早稲田大に一泡ふかすことができるか。
第2試合は桃山学院大学(関西地区第3代表/3年ぶり7回目)と北海道教育大学岩見沢校(北海道地区代表/2年連続5回目)の一戦。
前半戦は岩教大のパスワークと桃学大の個人技による一進一退の攻防が繰り広げられた。両者ゴールに迫るシーンは見られたものの、無得点で前半を折り返す。後半に入り、試合の流れをつかんだのは桃学大だった。サイド攻撃を執拗に仕掛け、虎視眈々とゴールを狙っていく展開に、岩教大は防戦一方を強いられる。先制点は後半35分、サイドからの大きいクロスの折り返しを中央でフリーになった桃学大9番・岡佳樹が押しこんでゴール。先制を許し、反撃の狼煙をあげるべく奔走する岩教大であったが、選手間の距離が遠くなり、思うようにボールが支配できない展開が続く。そして90+2分にも相手のミスから桃学大の7番・堂園和馬がゴールを奪って勝負あり。終盤まで自分達の強みを発揮し続けた桃学大が2回戦へと駒を進めた。
@千葉県立柏の葉公園総合競技場
第1試合は福山大学(プレーオフ枠/2年連続9回目)と、鹿屋体育大学(九州地区第2代表/7年連続19回目)の対戦。
試合立ち上がり8分、鹿屋大はセットプレーから、5番・寺田匡史が相手DFのクリアボールを流し込んで先制する。試合はそのまま鹿屋大のペースとなり、20分にも10番・松田天馬の左CKから、8番・中原優生が頭で合わせる。「リーグ戦でも何度もあった得点パターン」(青木竜監督)という狙いどおりの形で2-0とした鹿屋大だったが、福山大もこのままでは終われない。次第にリズムを取り戻すと、前半終盤の41分に7番・前原翼の右CKに9番の國師龍也が合わせて1点を返し、1-2で試合を折り返す。しかし後半に入っても鹿屋大が優勢に試合を進める状況は変わらず、65分にみたびCKから2番・藤山智史がゴールをあげると、その2分後には途中出場の26番・片井巧が鮮やかなミドルシュートで4-1と引き離す。さらに78分、ゴール前で切り返した片井がゴールを突き刺してダメ押しの5点目をあげ、試合を決定付けた。鹿屋大は中盤でうまくボールを捌いてリズムをつくり、3得点に絡む活躍を見せた10番・松田と、後半からの出場ながら2得点を挙げた26番・片井の2年生が躍動。2回戦では関西第2代表の阪南大学と対戦するが、この勢いのまま、昨年涙をのんだ2回戦を突破して上位進出なるか。
第2試合は大阪体育大学(関西第5代表/3年連続18回目)と、IPU・環太平洋大学(中国地区代表/3年連続3回目)の対戦。
両チームとも慎重な試合運びで始まったこの試合。「ボールを大事にして、しっかりビルドアップして攻撃をしかける」(桂秀樹監督)という環太大がボールをキープする展開に「前半は相手のミスでしかボールを奪えなかった」と大体大の9番・澤上竜二は振り返る。それでも29分、左サイドの11番・久保田駿斗からのクロスに、10番・澤上が反応。頭で合わせたシュートはバーに阻まれるも、跳ね返りを一度納め、今度は右足できっちりと放って先制点を得る。
後半、なんとか追いつきたい環太大もチャンスを作るが、大体大の早いボールへのプレッシャーの前に、自分たちの攻撃がなかなか出来ず苦しい展開に。そんな中、77分には6番・池上丈二からの左CKに、澤上が頭で合わせて大体大が2点目をマーク。エース・澤上の活躍で、大体大が試合をけっていづけた。
大体大は次戦、関東第3代表の慶應義塾大学と対戦。堅い守りと評判高い慶大を、大学屈指のストライカー澤上を中心とする攻撃で大体大がどう崩すか。2年ぶりの優勝に近づくためにも、負けられない一戦になる。
@町田市陸上競技場
第1試合は、北陸大学(北信越地区代表/3年連続3回目)と、常葉大学浜松キャンパス(東海地区第1代表/2年連続9回目)の対戦。
前半、常浜大は11番・遠藤維也と9番・大野耀平の強力なフィジカルを生かしチャンスを量産。常浜大からの厳しいプレッシャーを受ける北陸大は、25番・横山暁之と10番・越博康が中心となり攻撃の形を作るも、ラストパスの精度に欠け、得点を挙げることができない。試合序盤は常浜大のペースだったものの、徐々に北陸大もペースを掴み、前半を0-0で終える。
試合が動いたのは51分、北陸大10番・越、9番・金睦燦がボールを繋ぎ、最後は8番・大澤敬が冷静に決めて貴重な先制点を挙げた。その後も北陸大は中盤の細かいパス回しからサイドへと展開する攻撃を見せると常浜大ゴールを脅かす。後がない常浜大は、長身の2トップへとシンプルにボールを入れ続け、終了間際には決定的なチャンスを迎えるも、北陸大GKのファインセーブに阻まれ得点ならず。結局、1-0のまま試合終了となった。
2回戦へと駒を進めた北陸大は前年度王者・流通経済大学と対戦となる。インカレ初勝利を収め、自分たちのスタイルを貫き、闘う北陸大がチャンピオンチームにどう挑むのかに注目だ。
第2試合は、九州産業大学(九州地区第3代表/2年連続17回目)と、札幌大学(プレーオフ枠/5年連続40回目)の対戦。
試合開始の5分、九産大は13番・末永巧のクロスから3番・月成幸輝が頭で合わせ、早くも先制。その後も九産大のペースで試合は進むが、17分にペナルティエリア付近で不用意なファウルを与えてしまう。このファウルで得たFKを、札大の39番・岡部航大が右足で直接決め、試合は振り出しに戻る。同点に追いついて勢いに乗った札大はさらに30分、39番・岡部のCKを29番・大友一就が頭で決めて逆転に成功。1-2で前半を折り返す。
1点を追う九産大は、後半半ばには激しいプレッシャーで札大の攻撃を許さず、60分に、3番・月成がこの試合2点目となるゴールを決めて再び2-2の同点に。激しい点の取り合いとなった試合は、終盤に差し掛かると両チームともに一進一退の攻防戦が繰り広げられる。延長戦に突入するかと思われたアディショナルタイム3分、途中交代で入った札大12番・平塚悠知のCKから29番・大友一就が頭で押し込み札大が勝ち越し点。2-3で札大が劇的な勝利をおさめた。
札大は2回戦、今年度総理大臣杯優勝校の関西学院大学との対戦。勝利しか許されないトーナメント戦で夏の王者を相手に勝利をものにすることができるか見ものだ。
@ゼットエーオリプリスタジアム
第1試合は8年振りの出場となった大阪学院大学(関西地区第4代表/8年振り2回目)と、プレーオフを勝ち上がった順天堂大学(プレーオフ枠/2年連続20回目)の対戦。
序盤、積極的に仕掛けたのは大院大だった。長身FW、3番・瀧谷亮をターゲットに置き、順大を徐々に押し込んでいく。そして37分、瀧谷が右サイドからのセンタリングを冷静に沈めて1-0。大院大が先制する。対する順大は、前半こそ中々チャンスを作ることができずにいたが、迎えた後半に息を吹き返す。10番・長谷川竜也がポジションを下げてボランチの位置に入ると、長谷川が中心となって試合の主導権を奪取。59分には11番・米田隼也の左からのクロスを9番・佐野翼が右足で押し込んで同点に追いつく。さらに73分、後半から入った29番・名古新太郎が、9番・佐野からのパスをダイレクトで合わせてついに逆転。止まらない順大は、86分に10番・長谷川がダメ押しとなるゴールを決めて3-1に。順大が後半の華麗な逆転劇で、1回戦を突破した。
次戦は九州地区第1代表の福岡大。順大のパスワークと、堅い守備と速さと鋭さのある攻撃を身上とする福岡大のサッカーが正面から激突するのか。見逃せない展開になりそうだ。
第2試合は中京大学(東海地区第3代表/2年振り37回目)と仙台大学(東北地区代表/15年連続32回目)の対戦。
前半からボールを支配したのは中京大だった。しかし対する仙台大は守備的な布陣でこれに対応し、速攻でチャンスを作る。まずは29分、敵陣深い位置でボールを奪うと、14番・宮澤弘からのパスを28番・田代爽弥が決めて先制。さらに35分、7番・蓮沼翔太がセンターライン付近でボールを奪うとそのまま独走。ドリブル突破からゴールを奪い2-0とリードを広げる。
後半に入り反撃に転じたい中京大だったが、中々チャンスが作れない。しかし68分、反撃の狼煙を上げるゴールが生まれる。10番・橋本裕貴が芸術的なミドルシュートを決めて1点差とすると、76分、途中出場の24番・小西洋平からの浮き球を、3番・猪木遼平がヘディングシュートで決め同点に追いつく。勢いに乗った中京大は直後の79分、24番・小西がGKと1対1を冷静に沈めて逆転ゴール。スコアを3-2とし、試合はそのまま終了となった。
0-2から劇的な逆転勝利を収めた中京大は、2回戦で強豪・明治大学と対戦。この勢いでJ内定者多数のタレント集団に、意地を見せたい。
1回戦を勝ち抜いた8チームは、2回戦からはシード校として登場する関東、関西、九州の各上位校と対戦する。Shonan BMW スタジアム平塚では桃山学院大学と関東第5代表の国士舘大学が対戦。第2試合は19年ぶりに関東を制した早稲田大学と、四国チャンピオンの高知大学が戦う。江戸川陸上競技場は、第1試合が関西の強豪・阪南大学と鹿屋体育大学、第2試合が大阪体育大学と関東第3代表の慶應義塾大学。
江東区夢の島競技場では、第1試合に昨年度チャンピオンの流通経済大学が登場。インカレ初勝利をあげた北陸大学と対戦する。また第2試合では、総理大臣杯・関西リーグの2冠をとった関西学院大学が札幌大学との初戦を戦う。川口市青木町公園総合運動場では、第1試合で九州王者の福岡大学と順天堂大学が対戦。第2試合では、初戦で劇的な逆転勝利をあげた中京大と、関東第2代表の明治大が激突。今年度最後の“大学チャンピオン”の座をかけて、いずれの会場の熱い戦いが繰り広げられるだろう。