大学サッカーの夏の全国大会、『2016年度 第40回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』の2回戦が8月8日に行われ、1回戦を勝ち抜いた16チームがベスト8を目指して熱戦を繰り広げた。
■桐蔭横浜大 3 (0-0,EX2-0) 1 常葉大浜松キャンパス
試合が動いたのは終盤に差しかかった80分。桐蔭横浜大がコーナーキックからボールをつなぎ、浅川隼人が頭で押し込み先制点を挙げる。残り時間もわずか。この1点で逃げ切りたい桐蔭横浜大だったが、常葉大浜松キャンパスも意地を見せる。終了間際の88分、大野耀平からのパスを受けた前田直輝が相手をかわしてシュートを放ち、1点を返す。常葉大浜松キャンパスの土壇場の同点弾で試合は延長戦へと突入した。
延長戦に入ると、桐蔭横浜大が早々に追加点を挙げる。延長戦開始早々の92分、石川大地がドリブルで突破してチャンスを作ると、最後は鈴木国友が落ち着いて決め勝ち越し点。さらに延長前半戦終了間際の99分には、イサカ・ゼインが1回戦に続くゴールを決めて3-1と突き放す。終了間際に追いついた常葉大浜松キャンパスだが、延長戦では思うようなプレーができず、結局追加点を挙げられないままタイムアップ。桐蔭横浜大が準々決勝進出となった。
■筑波大 1 (1-2) 2 立命館大
全日本大学選抜に多くの選手を擁する強豪・筑波大と、10年ぶりの出場となる古豪・立命館大の対戦。試合は、得点が前半に集中する展開となった。
先制点を挙げたのは筑波大。開始早々の4分、右サイドバック・浅岡大貴のクロスに野口航が頭で合わせてゴールを奪う。しかし、筑波大はボールをキープしながらもシュートまでもちこめず、追加点が遠い。対する立命館大は25分に中野匠、28分に木藤舜介が立て続けにゴールを決めて、2-1に。前半のうちに逆転に成功する。
後半に入っても一進一退の攻防が続くが、立命館大の好守もあり両チーム得点を奪えず。結局、2-1のスコアのまま試合は終了。立命館大が、タレントぞろいの筑波大を下して、ベスト8入りの名乗りをあげた。
■明治大 1 (0-0、PK5-3) 1 東海学園大
1回戦で阪南大を下し、“番狂わせ”を演じた東海学園大の2回戦の対戦相手は、昨年度準優勝の明治大。優勝候補のひとつでもある明治大相手に、東海学園大が奮闘を見せた。
前半は圧倒的な力を見せる明治大に対し、東海学園大が耐える展開となった。粘り強い守りで前半を0-0で折り返すと、後半に反撃を開始。75分には、東海学生リーグ得点ランキングトップの畑潤基が先制点を挙げる。東海学院大の2試合連続のジャイアントキリングかと思われたが、アディショナルタイムに突入した90分+1分、明治大は交代出場丹羽詩温がゴールを決めて試合を振り出しに戻す。
延長戦でも決着はつかず、1-1のスコアのまま勝負はPK戦に委ねられることとなった。先攻の明治大は3人目までを成功させるが、東海学園大の3人目のキッカー、竜田和哉のキックを明治大GK・服部一輝がストップ。4人目は両チームきっちり決めたものの、明治大が5人目も決めたため、PK戦5-3で明治大が準々決勝に駒を進めた。
■関東学院大 0 (0-3) 4 大阪体育大
シュート数17対4という数字が物語るとおり、大阪体育大が終始、関東学院大を圧倒する試合となった。
先制点は試合序盤の18分。関東学院大のクリアボールを古城優が押し込んで先制すると、26分に池上丈二のフリーキックから菊池流帆がヘディングシュートを叩き込み追加点。さらに37分にも、古城優が自身の2点目となるゴールを決め、前半だけで大阪体育大が3-0とリードを広げる。
対する関東学院大も早めのタイミングで選手交代をして流れを変えようとするがゴールまで結び付けられず、アディショナルタイムに突入した90分+2分には、大阪体育大の大田賢生に4点目を決められ、そのままタイムアップ。4-0というスコアで、大阪体育大が関東学院大に快勝した。
■早稲田大 2 (2-0) 1 中京大
1回戦では終了間際のゴールで薄氷の勝利となった早稲田大だったが、この日は開始早々に試合を動かした。ゴール前の混戦からボールを拾った鈴木裕也が、GKの頭上を狙ったシュートを放ち先制点を挙げる。その後も中京大にシュートチャンスを作らせず、前半終了間際の45+1分に、相馬勇紀のコーナーキックを、熊本雄太が頭で合わせて追加点。2-0と早稲田大がリードして前半を折り返す。
2点のビハインドを負う中京大は後半に入り反撃を開始。61分に猪木遼平のゴールで1点差に詰め寄ると、積極的にゴールを狙いにいくが、どうしても守りを固めた早稲田大を崩すことができない。結局、中京大の攻撃を防ぎきった早稲田大が1点差を守りきり、2回戦突破となった。
■日本体育大 0 (0-0、PK5-4) 0 鹿屋体育大
悪天候による延期日程のため、1回戦と2回戦が連戦となった日本体育大と鹿屋体育大。疲労による影響は小さくなく、両チームともに決定的なシーンをなかなかつくれない。それでも前半は鹿屋体育大が攻め込む時間帯もあったが、最終的にはスコアレスドローで90分を終えることとなった。
試合は延長戦に突入したが、延長戦でもゴールは生まれず勝負はPK戦へと持ち越された。PK戦では、先攻の鹿屋体育大の4人目のキッカー、福本将也のキックを、日本体育大GK・長谷川洸がストップ。対する日本体育大は5人のキッカー全員が決め、PK戦5-4で日本体育大が準々決勝に進出することとなった。
■国士舘大 0 (0-0) 1 びわこ成蹊スポーツ大
互いの持ち味が発揮された試合展開となった。ボールをキープし、相手を崩してチャンスを作ろうとする国士舘大に対し、びわこ成蹊スポーツ大は粘り強く守りながらも、高い位置でボールを奪い、一気にシュートチャンスに結びつける。しかし、どちらも決定的なチャンスを作りながらも、ゴールを奪えず、前半は両チーム無得点で折り返した。
後半に入ると両チームともに早めの選手交代で流れを引き寄せようとするが、試合は意外な形で動いた。63分、ドロップボールを奪いとったびわこ成蹊スポーツ大がそのままゴール前へ。交代出場の清川流石がそのままシュートを放ち、先制点を決める。1回戦に続く清川のゴールに、望月聡監督は、「清川は、このところ交代で入ると点を決めるということが続いていて、チームにとっても本人にとってもいい形になっている」と満足顔。
その後は、同点に追いつきたい国士舘大が猛攻を仕掛けるが、びわこ成蹊スポーツ大がゴール前を死守し、得点を許さない。結局「4-0というスコアでもおかしくない相手に粘って粘って」(望月監督)1点を守り切ったびわこ成蹊スポーツ大が勝利した。
■順天堂大 2 (0-0) 0 関西大
前半は両チームともにシュートチャンスを作るが決めきれず、0-0のまま前半を折り返した。試合が動いたのは55分。名古新太郎からペナルティエリア内の貫場貴之へとボールが渡ったところで貫場が倒され、順天堂大がPKを獲得。このPKを、毛利駿也が冷静に決めて順天堂大が1-0とリードする。
関西大は61分、塩谷仁に代えて平尾柊人を投入。その平尾が攻撃を仕掛けようとしたところを、順天堂大の坂圭祐が止めようとして警告を受けるが、これがこの試合2枚目の警告となり坂が退場。順天堂大は残り20分以上を、10人で戦うこととなった。
数的有利に立った関西大は、一気に攻勢に転じる。黒川圭介、竹下玲王、布施周士らが次々と決定的なシュートを放つが、順天堂大GK・中村研吾のファインセーブでゴールならず。関西大に一方的に攻め込まれる展開に「とにかく落ち着かせようと思っていた」という中村だが、一方で「(FWの旗手)怜央なら、ワンチャンスはあると思っていた」と追加点への準備を前線に指示し続けた。
その狙いが得点に結びついたのは、アディショナルタイムも終盤に差し掛かった90分+4分。右サイドで受けた佐野翼から室伏航を経由して旗手怜央の足元へボールが渡ると、旗手は1回戦のゴールを彷彿とさせるようなドリブルで右サイドを疾走。そのままゴール前に切れ込むと関西大GK・前川黛也との1対1を冷静にかわしてシュートを放ち2点目を挙げる。
結局、このゴールが試合を決定づけ、順天堂大が関西チャンピオンの関西大を下して、準々決勝に駒を進めた。
この結果、ベスト8には関東5チームと関西3チームが残り、東海と九州の各チームは2回戦で姿を消すこととなった。準々決勝では、早稲田大対日本体育大の“関東対決”もあるだけに、単純な“東西対決”にはならないが、最終的にはやはり東と西のぶつかりあいになるのか――。ベスト4をかけた準々決勝は、8月10日(水)に開催される。
■試合結果詳細(関西学生サッカー連盟ホームページ)
2回戦の写真は以下でご覧いただけます(会員登録不要です)。
国士舘大対びわこ成蹊スポーツ大
順天堂大学対関西大