JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
第40回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント 準々決勝戦レポート
2016/08/11
 大学サッカーの夏の全国大会、『2016年度 第40回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』の準々決勝が8月10日に行われ、ベスト4をかけて関東5、関西3の計8チームが接戦を展開した。


■桐蔭横浜大 0 (0-0、PK6-5) 0 立命館大

 初出場ながら関東第1代表で総理大臣杯に出場した桐蔭横浜大。1、2回戦を突破しベスト8入りすることで関東1位の責を果たしてきた。その桐蔭横浜大と準決勝で対戦するのは、2006年以来となる10年ぶりの優勝を狙う立命館大。2回戦では関東でもタレント豊かなチームのひとつである筑波大に逆転勝ちし、勢いに乗るチームだ。

 試合は、その勢いのままに立ち上がりから立命館大が主導権を握る展開となった。連戦の疲れもあってか「みんな、体が重かった」(八城監督)という桐蔭横浜大は、スピーディにボールを動かす立命館大に「披露させられた」。それでも「前半は危ない(シーンの)イメージがなかった」と指揮官が振り返るように、立命館大に決定的なシーンは作らせない。逆に石川大地、鈴木国友、今関耕平、佐藤碧らが積極的にシュートを放つなど、チャンスを多く作ったのは桐蔭横浜大。しかし、両チームともにゴールをあげられないまま、前半を折り返す。

 後半は「背後をつかれてミドルシュートを放たれるようになった」(八城監督)というように、立命館大がチャンスをつかみはじめる。13分には、桐蔭横浜大センターバック・眞鍋旭輝のミスから立命館大の佐當慧がボールを奪い、木藤舜介にボールを送る決定的なシーンが訪れるが、木藤のシュートはポストを叩きゴールならず。試合終盤には桐蔭横浜大がシンプルにゴール前にボールを運んでチャンスを作るが、こちらも佐藤のシュートがわずかにバー上を超えるなど、得点に結びつかない。桐蔭横浜大は86分、2試合連続ゴールのイサカ・ゼインを投入して得点を狙うが、スコアレスのまま延長戦へ突入。延長戦でも一進一退の攻防が続き、勝負はPK戦にもちこされた。

 特にPK戦の練習をしてきたわけではないが、関東予選の決勝戦もPK戦で勝ち抜いてきただけに「GKがPKを止められるだろうという自信はあった」と八城監督はいう。関東予選の決勝でPK戦に臨んだのは三浦和真だったが、この試合でPK戦に挑んだのは田中雄大。「PKには自信があった」と指揮官の言葉をなぞるように、後攻の立命館大の4人目のキッカー・清水航輔のシュートをわずかに触り、ポストへと逃す。しかし立命館大GKの白坂楓馬も、桐蔭横浜大5人目のキッカー・眞鍋のシュートをストップする。
 立命館大5人目のキッカーは、キャプテンの大田隼輔。「真面目な人だと聞いていたから、チャラチャラしたシュートは打たないと思った」(田中)と読んでボールに触ったが、シュートはそのままゴールイン。両GKの活躍により、PK戦はサドンデスに突入。両チームとも6人目のキッカーは成功したものの、立命館大の7人目のキッカー・佐々木宏太のシュートを、桐蔭横浜大GK・田中が真正面でキャッチ。この瞬間、桐蔭横浜大の初の準決勝進出が決まった。

 準決勝の相手は明治大。八城監督は「いちばんやりたくない相手。個々の選手も素晴らしいし、チームとしても強い」と顔をしかめる。しかし関東の前期リーグでの対戦は1-1と引き分けているだけに「苦手意識はない」。「ウチのセンターバックふたりと、相手のFWが勝負できるので、少しでも相手に脅威を与えられれば」と目論む。一方、この試合の殊勲者の田中は「PK戦では3本シュートを止めて初めて、チームに貢献したといえる。今日は2本しか止めていない。たまたまみんなが決めてくれたから」とコメント。初出場にして準決勝進出という結果に「ここまでくればどのチームも強い。相手がどうこういうよりも、最高のパフォーマンスができるようにしたい」と次戦に意気込んだ。



■明治大 3 (1-0) 0 大阪体育大

 2年連続の決勝進出で、今年こそ初優勝を狙う明治大と、2011年以来、5年ぶりの優勝を目指す大阪体育大の対戦。ともに、総理大臣杯ではベスト4の“常連”ともいえる実力をもつ。

 先制点は意外なゴールだった。18分に明治大が左コーナーキックを獲得。ゴール前に入れたボールは一度は弾かれるものの、混戦の中からボールを拾った、大宮アルディージャ内定の河面旺成がさらにゴール前へとボールを送ると、これが大阪体育大DFにあたってオウンゴールとなり、明治大がラッキーな形でリードを奪った。立ち上がりから、ともにチャンスシーンを作っていたとはいえ、やや大阪体育大が押しこむ時間帯が多かっただけに、「いい時間帯に河面がえぐってくれたので、チームとしてもずいぶん楽になった」と、明治大・栗田大輔監督は振り返る。

 「大阪体育大は縦に速いと分析をしていたので、それなら力と力のぶつかり合いでいこうと話しをしていた」という明治大は、後半の立ち上がりに、一気に勝負に出る。まずは50分、中盤でボールを受けた丹羽詩温が前線まで一気にドリブルで突破し、そのまま豪快にシュートを叩き込んで追加点。大阪体育大のお株を奪うかのような、シンプルで速い攻撃で2-0とする。さらにその2分後には、木戸皓貴のパスを受けたヴァンフォーレ甲府内定・道渕諒平が、左サイドから切れ込んでシュート。3点目を挙げ、大阪体育大を突き放す。

 追いつきたい大阪体育大は攻勢に出るが、明治大の堅固な守備と冷静な対応にどうしても最終ラインが突破できない。「3-0になって相手が攻めてくるのはわかっていたし、後半は相手も疲れて間延びしてくる。でも、そこで自分たちがいいサッカーをしようとすると、逆に失点してしまう」と栗田監督。「相手の土俵でサッカーをするのではなく、自分たちのサッカーは変えずにいこう」と指示した結果、大阪体育大に1点も許すことなく3-0で大阪体育大を下した。

 昨年で主力選手の多くが卒業し、今年度のチームはメンバーががらりと変わった。それ故にシーズン当初、今年の明治大に期待する声はそう大きくはなかった。「それが逆によかった。自分たちは強いチームではないという認識のもと、それぞれが何をすべきか謙虚な気持ちで向き合えた」と栗田監督。本大会直前の天皇杯東京都予選で、東京都リーグの立正大に3点を先取されて敗れるという経験も、結果的にはチームを引き締めた。「自分たちは決して強いチームではないということを、もう一度認識した。そして全員攻撃、全員守備という、基本的なベクトルを合わせられた」。1回戦、2回戦ではともに先制点を許すなど、確かに以前のような強さはない。しかし「苦しい戦いを3つ積み上げているので、チームとしてはのっている」と栗田監督。2試合連続ゴールの丹羽など、去年はトップチーム入りしていなかった選手が活躍するなど、チーム層の厚さも明治大の強みだ。昨年のリベンジをはたすため、まずは準決勝に勝って、ファイナリストを目指す。


■早稲田大 0 (0-1) 3 日本体育大

 準々決勝唯一の関東対決となった、早稲田大と日本体育大の試合は、予想外に点差のつく結果となった。

 相手をよく知る同士の対戦だった。それだけに、“対早稲田大”を徹底した日本体育大の作戦勝利だったといえるだろう。日本体育大は、早稲田大の武器であるセットプレーとカウンターへのケアを徹底。36分に、渡邊龍の左からのクロスに平川元樹が頭で合わせて先制をする。

 早稲田大も後半頭から“切り札”の飯泉涼矢を投入して反撃を仕掛けるが、逆に58分に太田修介の左からのクロスに原田亘が右足で合わせて追加点。さらにその2分後の60分にも渡邊龍のシュートがゴールを突き刺し、日本体育大が3-0と早稲田大を突き放す。

 早稲田大も怪我明けのエース・山内寛史を投入するなどして巻き返しを図るが、得点には結びつかず試合終了。日本体育大が1997年以来、19年ぶりに準決勝へと駒を進めた。



■びわこ成蹊スポーツ大 0 (0-0) 1 順天堂大

 2回戦を僅差で勝ち抜いたびわこ成蹊スポーツ大と、前試合でゲームキャプテンの坂圭祐を退場で欠きながらも勝ち上がった順天堂大の対戦。

 「順天堂大さんはうまいので、次も今日のように粘り強く守ることになるだろう」(びわこ成蹊スポーツ大・望月聡監督)。その言葉どおり、試合は序盤から順天堂大がびわこ成蹊スポーツ大ゴール前に攻め込む展開となった。しかしびわこ成蹊スポーツ大は、その攻撃も想定内とばかりに必死に守りでゴールを許さず、前半は無得点のまま終了。びわこ成蹊スポーツ大は2回戦同様、ワンチャンスに賭けて後半を迎えた。

 しかし、先制点をあげたのはやはり順天堂大だった。52分、旗手怜央がボールをキープしてドリブルで独走すると、強烈なミドルシュートを放ち、3試合連続、自身の本大会4点目となるゴールをあげる。びわこ成蹊スポーツ大も、その後立て続けに交代選手を投入するなどして巻き返しを図るが、どうしてもゴールを割ることができない。結局、旗手のゴールを守りきった順天堂大が1-0でびわこ成蹊スポーツ大に勝利。1年生2トップが躍進し、攻撃力には定評があるものの、関東リーグ戦前期では1部12チーム中最多失点で「守備が課題ということは、いつも意識の中にあった」(GK中村研吾)という順天堂大。しかし本大会では3試合連続無失点勝利で、こちらも1998年以来、18年ぶりとなるベスト4入りを決めた。


 この結果、関西代表の3チームは準々決勝ですべて敗退となり、ベスト4は関東の4チームが占めることとなった。ベスト4を関東勢が占めるのは、1997年の第21回大会以来19年ぶり。リーグ戦でも対戦し、互いによく知る相手どうしの準決勝となるだけに、運だけではない、実力と試合のマネージメント能力が必要となることは間違い。はたして、決勝に駒を進めるのはどのチームか。熱い夏の戦いは続く。


■試合結果詳細(関西学生サッカー連盟ホームページ)


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桐蔭横浜大対立命館大

明治大対大阪体育大