『2016年度 第40回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』の決勝戦が、8月14日(日)にヤンマースタジアム長居で行われた。2年連続の決勝進出で、この4年間で3度目の出場となる明治大学が“3度目の正直”で初優勝を手にできるか、はたまた20年ぶりの決勝進出となった順天堂大学が、大会最多の7回目の優勝となるかが注目された。
■明治大 1(1-0)0 順天堂大
ともに関東代表として今大会に出場。それだけに、お互いの手のちもよく知るどうしに対戦だった。強い雨の中で始まった試合は、まず順大がボランチの名古新太郎選手を中心にボールを動かして攻撃を仕掛ける。「明治大には昨年のインカレでも、前期リーグ戦でも負けている。これ以上負けるわけにはいかない」(順大主将・矢部純也)という順大の意気込みが、序盤からいたるところで見られた。順大は4試合連続得点の旗手怜央が、鮮やかなミドルシュートを放つなどして揺さぶりをかけるが、明治大も冷静な守備でこれに対応。素早く攻守を切り替えてチャンスをつくるなど、互いの持ち味がよく出た立ち上がりとなった。
試合が動いたのは15分。順大DFのルーズなクリアーボールを明治大の左サイドバック、河面旺成選手が奪い、ペナルティエリア内の道渕諒平選手へ。「右サイドハーフでスタートして、左に流れれば相手はつかまえづらい」と中央からやや左に流れていた道渕は、そのボールをさらに前方に走りこんでいた富田へ。富田からリターンを受けると、ワンタッチでボールをゴール右スミに押し込む。「リターンがきたらいいと思っていたら(ボールが)きたので、あとは押しこむだけだった」(道渕)という狙いどおりのゴールで、明治大が先制点を挙げる。
すぐにでも追いつきたい順大だったが、明治大の厳しいプレスにあい、思うようにボールを動かすことができない。さらに24分には、右サイドバックの原田鉄平選手が負傷により退場。矢部純也をセンターバックに投入し、村松航太を右サイドに回すなどの対応にも追われた。
前半終了間際には、順大の浮田や旗手にパスが通るシーンもあったが「ショートパスの中に不用意に飛び込んでしまうと、スペースができてそこから崩される。2ラインをしっかり組んで、楔のところを消しながらゴールに侵入されないこと」(明治大・栗田大輔監督)という守備を徹底した明治大が、容易にはゴールを割らせない。
一方の明治大も30分にFWの木戸皓貴選手が負傷交代し、岩田拓也を投入。こちらも前半終了間際に岩田、丹羽詩温がシュートを放ち追加点を狙うが、ゴールネットを揺らすことなく前半は明治大が1点をリードしたまま終了となった。
後半に入り、先に動いたのは順大だった。52分に新田涼、54分には松島奨真を立て続けに投入。早めの選手交代で試合の流れを変えようとする。明治大の栗田監督は「順大はビハインドを負っているので、少しスタイルを変えてくるかもしれない」と伝えていたが、その言葉どおり、順大は高さのある松島選手を使うことで、高い位置でボールを動かせるようになる。71分にはその松島が決定的なシーンを迎えるものの、シュートミスでゴールならず。またその1分後にはペナルティエリア内で倒されるものの、こちらもノーファウル。78分の名古のフリーキックも合わず、あと一歩のところでゴールにつなげることができない。
一方、明治大も攻撃はカウンターやミドルシュートが中心となり、攻めこまれる時間のほうが多くなる状況に。それでも「相手にボールを持たせて、最後に競り勝てればいいと思っていた」(センターバック・小出悠太)という思惑どおりに試合は運び、1点を守りきった明治大が、2年連続3度目の決勝進出にして初の総理大臣杯初優勝。2度にわたって準優勝に甘んじていた明治大が、“3度目の正直”で、ついに夏の全国大会大学王者の座についた。
■試合結果詳細(関西学生サッカー連盟ホームページ)
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明治大対順天堂大