JUFA 全日本大学サッカー連盟

インカレ
「平成28年度 第65回全日本大学サッカー選手権大会」決勝マッチレポート
2016/12/21
 12月18日(日)、浦和駒場スタジアムにて『平成28年度 第65回全日本大学サッカー選手権大会』(インカレ)の決勝戦、大学サッカーの今季最後の試合が行われ、青空が広がる中で多くの観客が大学サッカーの日本一が決定する瞬間を見届けた。


○就任2年目となる鈴木政一監督のもと、インカレ決勝進出、そして35年ぶりの優勝を狙う日本体育大学(関東第3代表)と、8年ぶりの決勝進出で9回目の優勝を狙う筑波大学(関東第2代表)との関東対決となった決勝戦。


 日本一をかけた頂上決戦は、誰もが予想をしない結果になった。試合序盤、ペースを握ったのは日体大。準決勝で試合終了間際の決勝点を叩き込んだエース、10番・高井和馬を累積警告で欠く日体大だったが、17番・平川元樹を中心にエースの欠場を感じさせずに主導権を握る。日体大は、初戦以降怪我で欠場していた横浜F・マリノス内定左サイドバック、2番・高野遼が戦列に復帰。11分には、その2番・高野がインターセプトからミドルシュートを放ち先制点を狙う。クロスバーに嫌われて先制点こそならなかったが、「あれが決まっていたら、どう転んでいたかわからなかった」と筑波大・小井土正亮監督が振り返る決定機だった。
 対する筑波大は、10番・北川柊斗を今大会初スタメンに起用11番・中野誠也と並んで2トップを形成すると、その10番・北川を起点に試合を動かし始める。すると28分、10番・北川がボールを奪って25番・西澤健太へつなぐと、25番・西澤が左足を振り抜く。その強烈なミドルシュートは、相手GKの頭上を越えてネットに突き刺さる。「いいボールきたから、思い切り振り抜くだけだった」(25番・西澤)というゴールで筑波大が先制すると、そこから筑波大が勢いに乗り始める。8分後の36分には、右サイドを崩した14番・会津雄生がファーサイドにクロスをあげると、そこに走り込んだ25番・西澤が頭で合わせ、追加点。25番・西澤の2ゴールで、筑波大がリードを2点に広げる。さらにアディショナルタイムにさしかかった前半終了間際には、相手DFに競り勝った11番・中野がドリブルで突破し、GKとの1対1を冷静にゴールに流し込んでゴール。11番・中野の4試合連続ゴールで筑波大が3点目をあげ、0-3で前半を折り返す。

 迎えた後半も、筑波大の勢いは止まらない。53分、11番・中野が相手DFを振り切ると、右足を振り抜いて4点目。日体大は11番・太田修介を投入して反撃を試みるが、筑波大の猛攻を止めきることができない。61分には24番・山川哲史のロングボールに抜け出した10番・北川がゴール左隅にシュートを突き刺し、5点目を挙げる。ここから、10番・北川がゴールを連発。70分には3人を抜き去ると、華麗なキックフェイントから左足シュートを決めて6点目。さらに80分、日体大GK12番・福井光輝のはじいたこぼれ球を、またも10番・北川が詰めて、筑波大が7点目を挙げると同時に、10番・北川がこの試合3点目を決め、ハットトリックを達成。そして試合終了間際の89分には、主将の9番・高柳昂平のパスから背後に抜け出した11番・中野が少し浮かせたシュートでゴール。11番・中野もハットトリックとなる3点目を決めて、ダメ押しの8点目。誰もが予想しなかった0-8という大差で筑波大が勝利し、13年ぶり9回目となるインカレ優勝をはたし、大学サッカーの頂点に輝いた。
 それと同時に、「早川史哉とともに」をスローガンとして掲げた筑波大学は、インカレ優勝という最高の結果を、現在急性白血病と闘病中の昨年度主将、早川史哉選手(現アルビレックス新潟)に届けた。

 決勝で敗れた日本体育大学は準優勝。第3位には大阪体育大学と阪南大学の関西の2チームが入賞した。

 個人賞は筑波大学が総なめする結果となった。最優秀選手には、大会最多の8得点を挙げチームを優勝に導いた3年・中野誠也が受賞。ベストGKには、1年生ながら最後尾での的確な指示で1失点に抑えた阿部航斗、ベストDFには、常にDFラインを統率し続けた2年生・小笠原佳祐、ベストMFには、決勝戦で2ゴールを決めた2年生・西澤健太、ベストFWには、ハットトリックを達成した3年生・北川柊斗が選ばれた。

 筑波大学の優勝で幕を閉じた「平成28年度 第65回全日本大学サッカー選手権大会」。筑波大学は大会を通じて、18得点1失点と数字のうえでも圧倒的な強さを見せた。しかし小井土監督は「1試合も楽な試合はなかった」と大会を振り返る。それでも「選手たちは試合ごとに成長し、たくましくなっていった」とコメント。日本体育大学とはリーグ戦でも対戦し、いずれも僅差での勝負となっていたが、「この試合では課題としていた守備の修正しきれていないところが出た」(日体大・鈴木監督)ことから大差がつく結果に。筑波大学の成長とともに、トーナメントならではの怖さ、勢いが決勝の大舞台で明確となったが、11番・中野は「これはまだまだ始まりにすぎない」と、早くも来季を見据えて気を引き締めていた。