JUFA 全日本大学サッカー連盟

デンソーカップ
『デンソーカップサッカー2017』記者会見レポート
2017/02/14
 2月13日にJFAハウスにて、『デンソーカップサッカー2017』の記者会見が行われました。
 会見には、公益財団法人日本サッカー協会・田嶋幸三会長、一般財団法人全日本大学サッカー連盟・松本健一副会長、同連盟・中野雄二技術委員長、そして特別協賛社の株式会社デンソー総務部部長・松下恭規氏が登壇。また、参加チームを代表して全日本大学選抜の宮崎純一監督、中野誠也選手、小島亨介選手も登壇し、本大会に向けての抱負を語りました。


 以下、登壇者のコメントの一部と質疑応答をご紹介いたします。


■公益財団法人 日本サッカー協会 会長 田嶋幸三

 デンソーカップサッカーは歴史も古く、大学サッカーの大きな強化の一部となっています。昨年の大会では、関東選抜と関西選抜、東西の頂上決戦となりました。今年はどのような大会になるのか、非常に楽しみです。特に今年は台湾でユニバーシアード競技大会が開催される年でもあります。よりいっそう選手のモチベーションに高まっていると思いますので、ぜひ多くの方に見ていただきたいと思います。

 Jリーグの半分近くの選手が、大学出身の選手です。そういう意味では日本のサッカーのベースを支えているのは大学サッカーといっても過言ではありません。大学生たちはデンソーカップサッカーを通じて切磋琢磨し、海外の経験をする場を与えられています。この大会について、我々は常に「世界基準で」ということを意識しています。日本は大学の位置付けが非常に高いと考えています。大学の次はJリーグ、代表、そして世界に夢がつながっています。選手諸君には上に行くいう気持ちを大切にし、世界を目指してがんばってほしいと思います。

 8月に行われるユニバーシアード競技大会で、日本は過去5回優勝していますが、ここ数回は3位に甘んじています。ぜひまたユニバーシアードでの優勝を目指してほしい。その選手の中から日本代表につながる選手が出てこなければいけないと思いますし、Jリーグで活躍する選手はもちろん、世界を目指す選手に出てきてほしいと思います。


■株式会社デンソー 総務部 部長 松下恭規 様

 株式会社デンソーは1992年から本大会に特別協賛をさせていただいております。私どもは社会貢献の大きな柱として青少年育成を掲げておりますが、かつては社内にサッカーチームをもっていたという縁もあり、大学サッカーをサポートさせていただくことになりました。
 このような重要な大学サッカーの大会を、26年間も協賛させていただいているということを、大変光栄に思っております。また、今年は本社のある愛知県刈谷市で本大会を開催していただけるということで、大変うれしく思っています。刈谷という街は、以前からサッカー熱の高い地域です。かつては刈谷高校が全国を制覇し、愛知県で国体が開催された際には刈谷がサッカー会場になるといった経緯もございます。小さなお子様からお年寄りまでサッカーを愛してやまない方がたくさんおります。本大会では、そうした方々に、大学サッカーの素晴らしいプレー、クリーンでファイトあふれるプレーを見せていただき、今後サッカーの人口が増え、いい選手が増えるようになればと思います。
 また本大会で大変感心しているのが、学生たちを中心とした運営です。キビキビとした中に温かみのある対応をしていただき、毎年感心しております。本大会を東海地区で開催するのは久しぶりということで、当該地区の学生も含めいい大会運営を広く普及してもらえればと思います。


■一般財団法人 全日本大学サッカー連盟 副会長 松本健一

 本大会は1987年に全日本大学サッカー地域対抗戦としてスタートし、そこで選ばれた優秀選手が東西対抗戦を行うという形で実施しておりました。第5回の1992年に、当時の日本電装様、現デンソー様にサポートしていただき、地域対抗戦、東西対抗戦に加えて海外遠征を行う形になりました。以来、デンソー様には26年の長きにわたりご支援をいただいております。
 1997年にはデンソー様が社名変更をされるのに伴い、国内で『チャレンジサッカー』大会を行った後、海外キャンプを行い、さらに帰国後に日韓戦を行うことになりました。それからは選手も実力がついて、Jリーグなどでも活躍するようになりました。
 1997年から2003年までは日本国内で大学選抜の日韓戦を行っていましたが、2004年からは韓国とホーム&アウェーで大学日韓定期戦を行うことになりました。今年で14回目になります。今後もひとりでも多く、大学から日本代表に選手を輩出していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


■一般財団法人 全日本大学サッカー連盟 技術委員長 中野雄二

 当連盟ではユニバーシアード競技大会に向け、全日本大学選抜に海外キャンプで経験を積ませたいとの狙いがありましたが、どうしてもトレーニングマッチやフレンドリーマッチが中心となり、なかなか強化ができないという経緯がございました。そこで、2011年の第25回大会からは、『デンソーカップチャレンジサッカー』に全日本大学選抜が出場することとなりました。そのため、A・Bと2チームあった関西選抜が1チームになりましたが、結果的によりチーム力がアップし、1チームとなった後は関西選抜が2回優勝しております。
 実力的にいえば、全日本選抜が優勝することが妥当だとは思われますが、昨年には3-0から追いつかれ、PKの末敗れるという波乱がありました。それだけに、今年はしっかりと全日本大学選抜に実力を発揮していただきたいと思います。また、海外キャンプ後の大学日韓(韓日)定期戦では、お互いにホームでは負け無し、アウェーでは勝てないという五分の状況が続いております。今年は、この日韓戦でもぜひこれまでの結果を覆すようにしていただきたいと思います。

 この全日本大学選抜がベースとなり、8月に行われる世界大会、第29回ユニバーシアード競技大会(2017/台北)に臨みます。先ほど田嶋会長がおっしゃったように、日本は過去、この世界大会に5回優勝していますが、この10年間では一度しか優勝していません。4大会は3位、もしくは5位です。しかし本大会で負けたゲームはほとんどありません。優勝できていないのはいつもPK戦で敗れているからです。「たら、れば」となってしまいますが、もしPK戦で勝っていれば、もっと優勝回数は増えていたことでしょう。しかしイタリア、フランス、ウクライナ、そしてイギリスといったヨーロッパのライバルチームは“守る”という文化に優れ、日本の戦力を徹底的に分析し、守りきることでPK戦を狙ってきます。
 そんな状況の中、日本はいかにつくられたブロックを突破するかということが課題になるでしょう。ボールを奪ったあとのケアをいかにするか。そうした課題をクリアできれば、日本の6回目の優勝は十分にあり得ると思います。



■全日本大学選抜・宮崎純一監督

 ユニバーシアード競技大会は、先人の皆さんが本当にご苦労されて栄光を勝ち取ってきた大会です。ぜひ結果を残し、日本サッカーの発展に大学サッカーが貢献していることを、きちんと証明したいと考えています。
 選手がより良い環境でプレーすること。そしてその準備を監督、あるいはスタッフがきちんと整えることが代表スタッフの使命だと思っています。本大会が素晴らしい大会になるように、まずはチームとして環境を整えたいと思います。そしてその後に、日韓戦を前に行われる海外キャンプで素晴らしい成果をあげられるよう、試合環境やトレーニング環境、文化的な交流がなされるような環境を整えることを目的として、デンソーカップ日韓戦までの活動を続けていきたいと思います。

 ここに登壇しているふたりは、昨年の会見でも登壇した選手です。話題性のある選手を選んだ結果、このふたりになりました。昨年、中野誠也は「香川真司似の筑波大のストライカー」、小島亨介は「U-19代表に選出されるかわからないけれど、候補になっている早稲田大のGK」とご紹介させていただいたと記憶しています。しかしあれから一年を経てここに座っているのは、インカレを制し、ジュビロ磐田に内定してあと一歩でJリーガーとなり、世界を目指すという選手・中野誠也と、アジアチャンピオンとなり、この5月には韓国で行われるワールドユースに出場するU-20代表の守護神、小島亨介です。

 人の進歩はびっくりするくらい早く、このふたりは実に着実な成長を遂げています。彼らのほかにも、やはり大変な成長をして全日本選抜に入った選手が多数おります。また、各地域選抜にも、全国の大学生を代表するような選手が数多く選出されています。ぜひ大会そのものにも注目していただき、本大会を通じて各チームの選手たちがどんな成長を遂げるのか見届けていただければと思います。

 全日本大学選抜の活動の概要を紹介させていただくと、今年度から活動をスタートした全日本大学選抜は、昨年末に約40名の選手を全国から招集して選考会を行いました。そこから選出された21名が、今回の全日本大学選抜チームになります。2/1~2/4には宮崎県・西都市で強化合宿を行い、トレーニングと強化試合を行いましたが、2/2には大宮と対戦し1-1、2/4にセレッソ大阪と2試合を行い、1-1、0-1という結果を残しました。コンディション的に難しい中、選手たちは非常にがんばってキャンプ中のJリーガーたちを迎え撃ち、ほぼ互角の試合を行いました。
 先ほど中野技術委員長からいろいろと宿題をいただきましたが(笑)、課題といたしましてはいかに僅差の試合をものにするか、また得点をとって勝ちという結果を残すかということだと、合宿でも再度認識いたしました。
 この後、全日本大学選抜はデンソーカップチャレンジサッカーに参加し、その後、ドイツキャンプを行います。デンソーカップチャレンジサッカーを経て現在選出されている21名を再編成し、改めて22名を選出してドイツに向かう予定です。
 このスケジュールの中で、選手たちがどれだけ成長するのか。その結果、初の日韓戦アウェーでの勝利を手にするメンタリティーと力強いサッカーを手にしてくれるのではないかと期待をしております。


■全日本大学選抜・中野誠也選手(筑波大・3年)

本大会に向けての抱負は、優勝しかないと思っています。昨年は1回戦で敗れて、自分自身も悔しい思いをしました。今年の8月にはユニバーシアード競技大会がありますが、まずは今回選ばれたメンバー21名で、デンソーカップチャレンジサッカーの優勝を目指したいと思います。全日本大学選抜として一致団結し、隙を作らず、90分間を通して戦い続ける姿勢を見せたいと思います。個人のプレーの特徴としては、オフ・ザ・ボールの受け方と、武器であるスピードの部分を見てもらえればと思います。


■全日本大学選抜・小島亨介選手(早稲田大・2年

昨年も全日本大学選抜の一員としてデンソーカップチャレンジサッカーに参加しましたが、結果は残念ながら初戦敗退でした。自分自身も悔しい思いをしましたし、いろいろな方々の期待に応えられなかったという思いもあります。今年、本大会に優勝するためには、一戦一戦集中して臨むしかありません。その中で、自分の強みであるシュートストップを活かして、安定した守備をしてチームの勝利に貢献したいと思います。


■質疑応答

――全日本選抜の特徴と武器は?

中野 選手ひとりひとりが様々な特徴をもっているので、その特徴を理解することで自分たちが最大限の力を発揮できると思います。それに加えてもっと一致団結できれば、強いチームになるかと思います。

小島 僕が後ろから見ていて感じることは、ひとりひとり個性のある選手が多いということです。その個性が突出するだけではなく、うまく噛み合っているということはすごく感じているので、そこが全日本のいいところだと思います。

――初戦の対戦相手である九州選抜の印象は?

中野 自分は2年前、関東選抜Bとして九州選抜として戦いました。その時はPK戦の末に敗れているので、九州がいいチームだということはわかっています。全日本として構えて戦うのではなく、自分たちから攻めていくという姿勢をもって戦いたいと思います。

小島 初戦は九州選抜ということで、どういうサッカーをしてくるのかはわかりませんが、じぶんたちのやることは変わらないと思います。中野選手が言ったように、受け身になるのではなくチャレンジャー精神で勝ちたいと思います。