初戦の相手、マレーシアを2-0で下し、白星スタートとを切ったユニバーシアード日本代表。第2戦は翌々日となる8月21日(月)、16時キックオフでカナダとの対戦となった。
「ファーストラウンドはアジア、南米、欧州・北米系といろいろなタイプのチームと対戦する」として、対策を練っていた宮崎純一監督。なかでも欧州・北米系のカナダに対しては、予め「ある程度高さに対応できる選手、大柄な選手に対して細かい組み立てができる選手」を配するため「そのことも含めて、初戦のマレーシア戦のメンバーも決めた」という。
しかし、立ち上がりは「リーチが長くて体格のある海外の選手に対して、自分のプレースタイルをフィットさせるのに、少し時間がかかっている選手がいた」と同監督。そのため、前半はカナダに押し込まれる時間帯が続いたが、GK永石拓海と菊池流帆、坂圭祐の両センターバックが冷静なプレーでこれに対応。やがて、守田英正、戸嶋祥郎らが起点となり右サイドから攻撃を展開。いい形でカナダゴールに迫り始めたが、折からの雨が強まり、さらには雷雨となったために試合は一時中断となった。
雨が止んだ約20分後には再開されたものの、試合は再びカナダペースに。フィニッシュの精度の低さからゴールにこそつながらなかったものの、25分にはシュート、そして29分にもフリーキックを許すなど、日本はなかなかリズムを取り戻せない。
34分には、右サイドバック・守田の突破からゴール前にクロスが上がり、ジャーメイン良がヘディングで合わせる。しかしシュートは枠外に。決定的なチャンスを逃した日本は逆にその2分後の36分、カナダにペナルティエリア右の好位置でフリーキックを与えてしまう。しかしこのフリーキックは、GK永石がパンチング。こぼれ球からのシュートもしっかりとキャッチし、相手の決定機を防いだ。
39分には戸嶋がシュートを放つなどしてチャンスをつくろうとする日本。41分には、左サイドに開いたジャーメイン良選手から三笘薫、戸嶋手とつなぎ、最後は右サイドから名古新太郎がドリブルで突破。豪快なミドルシュートを突き刺し、ついに日本が待望の先制点を挙げ、1-0リードで前半を折り返す。
前半はやや苦戦を強いられた形となった日本だが、後半はワンサイドゲームといえる内容で、カナダを圧倒した。
まずは後半開始直後の48分、先制点を挙げた名古が三笘からのパスに反応。縦に突破してシュートを放つがこれはクロスバーを叩く。跳ね返りをジャーメインが詰めるも、こちらもゴールとはならなかった。
しかし立ち上がりからいいリズムをつかんだ日本はその直後に再びチャンスをつかむ。50分、左サイドからペナルティエリアに侵入したジャーメインが、カナダDFのファウルを受けてペナルティエリアを獲得。「相手が振り切れないと思ったので、(ファウルを受けやすいよう)少し体を前に倒した」という“狙いどおり”の展開に、ジャーメイン自身がPKを決めて2-0とリードを広げる。
日本はカナダの裏のスペースを狙い、三笘らが起点となって攻撃を展開。65分には、戸嶋が左サイドでボールを奪うと、エンドラインぎりぎりまで粘ってマイナスのパスをゴール前に出す。「(狙っていた位置とは)ずれてしまった」(戸嶋)というボールだったが、これをジャーメインが確実に蹴り込んで3点目。日本がカナダを突き放す。
日本は戸嶋に変わって旗手怜央を投入する。初戦2ゴールの旗手は、ピッチに送り出されるとすぐに躍動。ボールを奪って何度か攻撃を仕掛けると、75分には左サイドの守田に大きくボールを展開。守田がゴール前にクロスを入れると、これを柴戸海がダイレクトで合わせてゴール。日本がダメ押しの4点目で、スコアを4-0とする。
勝利を確信し、選手を入れ替え始めた日本だったが最後まで攻撃の手を緩めず、アディションナルタイムに突入した90+2分には、中野が後ろに流したパスに脇坂泰斗選手が反応。ワントラップしてボールを収めると、そのまま右足を振り抜いて5点目を決め、その直後に試合はタイムアップ。
序盤の苦戦や雷雨による一時中断などもあったが、終わってみれば5-0と日本が大勝。宮崎監督は「先制点のあとは、得点を重ねるごとに彼ら本来の力を出し切れるようなプレーがでてきていた。全体を通して言えば、いいチャレンジができたといえる」とチームを評価。大会直前に怪我でメンバーが入れ替わるなどがあった日本だが、「今は本当にチームがうまくいっていて、20人全員で戦えている」とGK永石が語るように、2戦目にして選手個々の力でチームを支える、“宮崎ジャパン”らしいサッカーを見せつけた。
【監督、選手コメント】
■宮崎純一監督
得点が入るまではお互いに拮抗した試合でした。日本は初戦とほぼメンバーを入れ替えたため、これが初戦というメンバーも多く、緊張感とプレッシャーがある中でどれだけできるかというところでした。
試合前には、20人全員で戦おうということで児玉進二GKコーチがモチベーションビデオをつくって見せてくれたのですが、そのメッセージをしっかりと受け取り、全員が最後まで、この大会を勝ち抜くという気持ちを持ち続けてくれました。
初戦では多くのチャンスがありながら2得点に終わりましたが、この試合ではその修正点をきちんと得点という結果に結びつけられました。ただ、体格のある海外の選手に対して、自分のプレースタイルをフィットさせるのに、少し時間がかかっている選手がいましたが、このあとの試合は、いろいろなタイプのチームと対戦することになります。相手を見て、それにどう対応できるようにしておくかが、この先のゲームを勝ち抜いていくうえで大切になると思います。
■ジャーメイン良(流通経済大・FW・4年)
カナダは真ん中を固めてきたので、その分、左サイドの薫のところでチャンスを狙っていたのですが、最初はそれがうまくいかず苦労しました。1点を取ったら相手も崩れて、最後はサイドのところで起点をつくりました。結果的には2点を決められましたが、前半は自分と名古選手のところでチャンスをつくれていたにもかかわらず、なかなか得点につなげられませんでした。ここから先は先制点のチャンスをどう決めるかが大事になってくるので、意識して臨みたいと思います。
得点シーンについては、相手のディフェンスが自分のタッチにひっかかったので、振り切れないだろうと思って少し体を前に倒しました。狙いどおりに倒してくれて、そういう意味では、狙いどおりにPKをもらえたのかな、と思います。2点目は、戸嶋選手からプレゼントされたゴールだと思っています。本当に決めるだけでした。
■永石拓海(福岡大・GK・4年)
高さのあるカナダに対して、自分も含めディフェンスラインも高さをもって対応でき、無失点で終えられたことで自信につながりました。ただ、得点をもっと奪えるチャンスはあったので、トーナメント戦に向け、次のウルグアイ戦はもっと点がとれるように。あとは僕たちが失点しないようにしていきたいと思います。 うしろが無失点で終われたことは自信につながります。今はチームワークがうまくいっていて、ベンチを含めた20名で戦えているので、次のグループリーグ最終戦も全員で勝ちきりたいと思います。ただ、ゴール付近でのファウルが多かったのと、セットプレーで相手が得点を狙うシーンも多かったことは課題。そのあたりは賢く、ファウルをしないようなディフェンス、簡単に飛び込まない守備をすることで、相手のチャンスを潰していけると思う。自分からも声で発信していきたいと思います。
■守田英正(流通経済大・MF・4年)
初戦に比べると緊張感もほぐれて、全員が自分の役割をはたせたことが、5-0という勝利につながったと思います。決めるべきところで決める得点力と、前から守備にいくところの連携がうまくいったところが、この試合の収穫です。個人的には、海外の選手に対人のところで負けてしまうところが多かったので、そこをしっかり対応できるようにしたい。グループを1位で抜けると2位で抜けるのでは違うので、次の試合にしっかり勝って1位でトーナメントに臨みたいと思います。
■戸嶋祥郎(筑波大・MF・4年)
もう少し苦戦するかと思ったのですが、2試合とも日本のペース、ほぼボールを握ってという戦いはできたと思います。勝つのが当たり前と思われている中、しっかり2勝できたのはよかったです。ただ、勝つことが前提と考えたとき、個人的にはもう少し結果を残したかったと思っています。
3点目につながったシーンについては、自分で持ち込もうか迷ったのですが、3点目は大事だという判断をして、確実さのあるパスに切り替えました。(パスは)けっこうずれてしまったのですが、ジャーメインがよく決めてくれました。正直、自分でゴールしたいという気持ちはかなりあります。特に初戦では、自分が決定機を決めていれば、もっと楽にサッカーをできていたと思うので。ただ、カナダ戦のように試合を決定づけることのできる得点に絡むことも大切なので、ああしたプレーをもっと増やしていきたいと思います。
【試合結果詳細】
http://www.jufa.jp/news/news.php?kn=673
【フォトレポート】
https://goo.gl/photos/YN4HV1PMmDqQNNot7