JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
2017年度第41回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント 1回戦レポート
2017/09/02
 全国9地域・24大学が参加する大学サッカーの夏の全国大会、『2017年度 第41回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』が9月1日に関西各地で開幕した。

 『第29回ユニバーシアード競技大会(2017/台北)』の開催期間(8/19~8/30)の関係もあり、例年より約1ヶ月遅い時期の開催となった本大会。初出場は九州第3代表の宮崎産業経営大学のみで、前大会では出場を逸していた流通経済大学、関西学院大学、福岡大学も出場するなど、全国大会の常連校が顔をそろえた。


■東海学園大学 3(1-0)1 宮崎産業経営大学

 今大会唯一の初出場チーム、九州第3代表の宮崎産業経営大学は、東海第3代表の東海学園大学と対戦した。
 先制点は東園大。13分、渡邉柊斗からのパスに、東海リーグ得点ランキングトップの武田拓真が走りこみそのままドリブルで突破し、ゴールを決める。宮産大もその後、山下浩也らがシュートを放つが得点につなげられない。東園大は73分、武田が放ったシュートを相手GKが弾いたところを上田泰雅が詰めて追加点。リードを2点差に広げると、さらに終了間際の86分にも武田、上田とつないで3-0とし、宮産大を突き放す。
 宮産大もアディショナルタイムに突入した90+2分に、モア徳彦がフリーキックを直接沈めて1点を返すが、反撃もここまで。上田が2得点、武田が3点すべてに絡む活躍で、東園大が初出場の宮産大を下した。


■関西大学 1(0-0)0 IPU・環太平洋大学

 2年ぶりの出場となったIPU・環太平洋大学は、関西第4代表の関西大学と対戦。試合は立ち上がりから関西大が圧倒したが、どうしてもゴールを決めきることができない。対するIPU大はシュート数わずか2本、コーナーキック1本と防戦一方の展開となったが、集中した守りで関西大の攻撃を90分間防いだ。
 試合はアディショナルタイムに突入。スコアレスのまま延長戦に突入かと思われた90+3分、ついに試合が動く。途中出場の塩見仁が放った右コーナーキックに、ディフェンダーの荒木隼人が頭で合わせてゴール。これが決勝点となり、関西大が2回戦に駒を進めた。


■北海道教育大学岩見沢校 1(0EX1)2 常葉大学浜松キャンパス

 ともに3年連続の出場となる、北海道第1代表の北海道教育大岩見沢校と東海第1代表の常葉大学浜松キャンパスの一戦。
 試合は後半開始早々に動いた。50分、北教大は 左コーナーキックを得た北教大は、遠藤祐馬のキックに重森剛司が合わせて先制点を挙げる。しかし常葉大も61分、こちらも土井智之の右コーナーキックから長島來雅が決めて同点に追いつく。
 試合はその後、一進一退の攻防を繰り広げ両チーム追加点を挙げることなく90分が終了。試合は延長戦に突入した。再び試合が動いたのは95分。常葉大は左サイドを崩すと、永野広夢からのクロスに途中出場の野ヶ山春輝がシュートを放つ。一度は弾かれたものの、野ヶ山自身が詰めてゴールネットを揺らし、常葉大が追加点。このゴールが決勝点となり、接戦を制した常葉大が2回戦進出を決めた。


■明治大学 4(1-0)0 松山大学

 前回大会優勝の明治大学は、関東地区最後の代表枠、関東第7代表として1回戦から出場。対戦相手は四国第2代表の松山大学だ。
 明大は前日に台湾から帰国したばかりのユニバーシアード代表、柴戸海をベンチに、岩武克弥をベント外に置いてスタート。しかし、関東でも屈指の選手層の厚さを誇る明大は主力の欠場にも影響を受けず、試合序盤の10分にスローインからのこぼれ球を、村田航一が詰めて先制。その後も松山大を圧倒し、後半開始早々の56分には左サイドバック、袴田裕太郎からのクロスを土居柊太が頭で叩き込み追加点。さらにその2分後の58分にも、牛之濱容、佐藤亮とつないで、最後は後半から出場の木戸皓貴が決めて3点目。立て続けのゴールで松山大とのリードを広げる。
 明大は試合終盤の84分にもスローインから途中出場の河辺駿太郎がダメ押しの4点目。4-0、シュート数23対5の完勝で前回王者が危なげなく1回戦を突破した。


■中京大学 0(5PK4)0 福岡大学

 東海地域の古豪・中京大と2009年度の総理大臣杯チャンピオンで九州地域の強豪・福岡大。総理大臣杯の常連校同士の対戦は、延長戦でも勝負がつかずPK戦で2回戦進出チームを決めることとなった。
 両チーム、立ち上がりは低調な動き出しとなった。中京大、福岡大ともにボールを奪って前線につけるシーンはあるものの、なかなかシュートにまではもちこめない。それでも序盤は福岡大が、30分過ぎからは中京大がチャンスをつくるが、結局スコアレスのまま前半を終了する。
 後半は中京大が攻め込む展開となった。中京大は藤島樹騎也の突破を中心に、坂本広大、西村仁志らがゴール前に絡むが、福岡大もゴールを死守。31分には「あれが入っていれば」と朝倉吉彦監督が嘆いたシュートがポストを叩くなど、どうしてもゴールが遠い。
 結局、両チーム決め手がなくスコアレスドローで延長戦に突入。しかし延長戦でもゴールを割ることなくPK戦に突入した。
 PK戦では、ユニバーシアード代表で決勝戦から中2日で出場の福岡大GK・永石拓海が、中京大1番手・東家聡樹のキックをストップ。しかし福岡大は2番手の古川愛基がシュートを外してしまう。その後は両チームとも成功し、PK戦はサドンデスへ。すると福岡大の6人目・青山生のシュートを、中京大GKの川村慎がポストに当てる形でストップ。「(GKの川村には)上半分は捨てていい。その代わり下半分は絶対に(止めに)いけ、と伝えた」という中京大・朝倉監督の狙いがピタリと的中した。「今季はこれまで公式戦で3回、親善試合で2回PK戦をやっている」ため「もう、誰を選んでも(過去に)外している」と、朝倉監督は笑う。そのため、1本目を相手に止められても動揺がなかったかもしれない。
 2回戦の相手は、昨年度のインカレで0-5の大敗を喫した筑波大。今日の試合は「インカレで攻撃的にいって筑波大にやられた」ことの反省から守備的に入ったという。その反省をもとに筑波大へのリベンジに臨む。「せっかく全国大会に出るのだから、筑波大のような強いチームとやって、刺激を受けたい」と2回戦のカードに、すでに臨戦態勢だ。
 一方、敗れた福岡大の乾真寛監督は「シュートを枠に入れることからはじめないと」と、攻撃の課題を口にした。GKの永石は「最初に止めたあとはPKを止られず、キッカーを楽にすることができなかった」と唇を噛んだ。勝てば、ユニバーシアード代表でのチームメイトがいる筑波大との対戦だっただけに「本当に悔しい。サチ(戸嶋祥郎)と対戦してみたかった」。乾監督は「まずは全国大会への復帰。あとはインカレで」と、冬の全国大会に含みを残して会場を去った。


■青山学院大学 6(3-0)0 札幌大学

 関東2部所属ながら、総理大臣杯には多数出場経験のある青山学院大学は、北海道第2代表の札幌大学と対戦。試合は思わぬ大差がつく結果となった。
 先制点は「ふだんならとらないような」(青学大・流郷吐夢監督)というセットプレーだった。青学大は小泉佳穂の左コーナーキックを、菅原大雅が頭でつなぎ、最後は池庭諒耶がヘディングシュートを放ちゴール。「あれで波に乗ったのかもしれない」という青学大は、31分にも相手GKのボールをカットした小田寛貴がドリブルでそのまま持ち込み追加点。「相手のミスもあったけれど、いい形でGKとの1対1をかわすことができた」と小田。さらに41分には、小泉が左サイドから突破してコーナーキックを獲得。小泉が蹴ったキックを、中島康輔が左足で合わせて、スコアを3-0とする。
 3点のリードを得ても青学大の攻撃は止まらない。51分、左サイドバックの椿健太郎、窪園大地とつないで、最後は小田が合わせて4点目。「椿のパスがうまく出て、窪園にわたったところで相手をうまく釣り出せた。(自分の)1点目と2点目は、チームメイトにとらせてもらった点」(小田)。
 札幌大も丁寧にボールをつなぎ、両サイドをオープンに開いて攻撃の起点をつくろうとするが「蹴られるより、かえって守備がはまりやすかった」(小田)のも青学大には幸いした。69分に、小泉が放ったシュートのバーの跳ね返りを瀬川泰樹が詰めて試合を決定的な5点目をあげると、青学大は連戦を見越して選手交代で主力を休ませる形に。それでも最後まで得点チャンスを狙い、アディショナルタイムに突入した90+2分には、左サイドからカットインした小田が、そのまま右足を振り抜いてダメ押しの6点目。「ずっと練習していた固いだが、これまではうまくいかなかった。けれど昨日の代表戦でゴールした井手口(陽介)選手が、軽く枠を狙うようなことを言っていたので、力を入れずに蹴ったら入った」(小田)。最後の最後に小田がハットトリックを達成し、青学大が6-0の完勝で2回戦に駒を進めた。
 「これまで(ゲームの)入り方が課題だったが、今日は高いインテンシティーで入れたことが6-0という結果に結びついた」と小田が振り返れば、流郷監督も「先制点をとるといい戦いができるのはわかっている」とコメント。それだけに次の大阪体育大学戦は先制点をどちらがとるかが試合の鍵となりそうだ。「関東2部の我々はチャレンジャー。リーグ戦開幕前に、大体大のような強い相手と戦えるのはラッキーだと思っている」(同監督)という青学大が、どこまでこの勢いを維持できか。


■高知大学 0(0-2)3 九州産業大学

 出場回数27回を誇り、2009年度には四国代表として初めて決勝進出をはたした高知大学が、初戦で九州第1代表の九州産業大学に完敗を喫した。
 九産大は序盤から攻め込むと、8分に末永巧から出たパスに関恭範が反応。ゴール前中央までドリブルで突破すると、そのまま右足を振り抜いて先制点を挙げる。九産大はその後、35分にペナルティーキックを獲得。これを赤木翼が決め、前半だけで2点をリードして折り返す。
 反撃に出たい高知大はハーフタイムに柏木悠弥を投入。巻き返しを図るが、逆に65分には3失点目。左コーナーキックを得た九産大は、末永が上げた浮き球を中島圭大が叩き込んで高知大を突き放す。
 試合は九産大が3点のリードを守ったままタイムアップ。高知大が初戦敗退となり、九産大が九州勢唯一の生き残りとして2回戦進出を決めた。


■仙台大学 6(3-0)1 金沢星稜大学

 東北地域の雄・仙台大学が3年ぶりの出場となる北信越代表の金沢星稜大学を大差で下した。
 まずは開始早々の4分、FWの宮澤弘がドリブルで一気に突破してゴールを決めて仙台大が先制する。その後は一進一退の攻防が続いたが、33分に仙台大がセットプレーからの混戦の中を、川口大翔が左足で押し込んで追加点をあげると、41分にも相手のボールを奪取した宮澤が3点目をマーク。仙台大が前半だけで3点のリードを奪って試合を折り返した。
 後半に入っても仙台大は得点を重ね続けた。54分、 昨年度の高校選手権得点王・鳴海彰人からのパスに、ゴール前に抜け出した宮澤が4点目を挙げて自身のハットトリックを達成する。63分には途中出場の本吉佑多が、宮澤のフリーキックに頭で合わせてダメ押しの5点目。
 星稜大も74分、スローインの流れから米倉拓巳がヘディングシュートを決めて一矢報いるが、反撃はここまで。その4分後の78分に、仙台大のルーキー人見大地が6点目をゲット。再度、星稜大との差を広げて勝利を収めた。
 星稜大は米倉を中心にチャンスをつくり、仙台大とのシュート数に大きな違いはなかったが、結果は6-1。宮澤をはじめとする仙台大の決定力の前に破れる形となった。



 1回戦の結果、北海道、北信越、中国、四国の各地域代表が敗退。東北、関東、関西、東海、九州の各代表が2回戦へと駒を進めた。東海は代表3大学がすべて残り、九州は九州産業大学が唯一の生き残りとなった。
 2回戦からは関東・関西のシード校8チームが登場。さらに厳しい戦いが予想される。なかでも九州勢唯一の生き残りとなった九州産業大に注目したい。また、出場3チームすべてが2回戦進出となった東海地域代表の常葉大学浜松キャンパス、中京大学、東海学園大学の躍進にも期待がかかる。
 2回戦は8月4日(月)に行われる。キンチョウスタジアムで関西大学対流通経済大学、順天堂大学対東海学園大学、西京極総合運動公園陸上競技場で神奈川大学対常葉大学浜松キャンパス、明治大学対関西学院大学の2試合がそれぞれ行われる。またJ-GREEN堺・メインフィールドでは青山学院大学対大阪体育大学と筑波大学対中京大学の試合が行われ、ヤンマーフィールド長居では法政大学と九州産業大学、仙台大学と阪南大学が対戦する。
 キックオフ時間はすべて第1試合が15:30で、第2試合が18:00。シード校が加わり、夏の大学王者の座をかけた熱い戦いが繰り広げられる!



【試合結果詳細】
http://www.jufa.jp/news/news.php?kn=683

【フォトレポート】

○中京大学 対 福岡大学    https://goo.gl/photos/B2ZDik2wFvQycKb79
○青山学院大学 対 札幌大学  https://goo.gl/photos/2at6wT9j8H7mwexG8