『2017年度第41回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』は4日(月)、中2日で2回戦を迎えた。シードチームである8大学が登場した2回戦では、関東第1代表で前回大会準優勝の順天堂大学が、東海第3代表の東海学園大学に敗れる波乱も。また、東海第2代表の中京大学が昨年度インカレ優勝校の筑波大学相手に延長戦まで持ち込むなど、東海勢の健闘が光った。
■関西大学 0(0-0)2 流通経済大学
1回戦では終了間際に決勝点を挙げた関西大学だったが、2回戦では流通経済大学の猛攻に耐えきれず後半に失点。アディショナルタイムにも失点を重ね、力尽きた。
やや低調な滑り出しとなった試合は、後半一気に動いた。流経大が押し込む展開が続いていた79分、新垣貴之が左からあげたクロスに渡邉新太がドリブルで抜け出し、左足でシュート。流経大が先制点をあげる。するとアディショナルタイム終盤の90+6分には、この試合はベンチスタートだったジャーメイン良がドリブルで中央を突破。そこから出たボールを立花歩夢が決めて、ダメ押しの2点目をマーク。前後半あわせて、関西大のシュートをわずか2本におさえた流経大が、あぶなげない展開で準々決勝進出を決めた。
■順天堂大学 1(0-2)2 東海学園大学
昨年のリベンジをはたすべく大会に臨んだ昨年度準優勝校・順天堂大学。しかし、結果はまさかの初戦敗退。1回戦で宮崎産業経営大に快勝した、東海第3代表の東海学園大学の前に沈むこととなった。
試合が動いたのは32分。決めたのは、東海リーグ得点ランキングトップ・武田拓真だった。中盤でボールをカットした榎本大輝がドリブルでそのままゴール前へ。そのボールを受けた武田が、左足でシュートを突き刺し東園大が先制する。さらに東園大は前半終了間際の45+1分、榎本がドリブルで前線まで独走。そのまま左足を振り抜いて追加点をあげ、2-0のスコアで前半を折り返した。
2点のビハインドを負った順大は、後半に一気に反撃にでる。50分には米田隼也が1点を返して1点差に迫ると、その後も次々とシュートを放って東園大ゴールに迫る。後半、東園大のシュートは0とほぼ防戦一方となったが、集中した守りで順大の猛攻を死守。順大は後半だけで10本のシュートを放ちながらも追加点があげられず、東園大が1点差を守りきってタイムアップ。ユニバーシアード代表の3選手をスタメン起用して挑んだ順大だったが、東海の“伏兵”の前に敗れた。
■神奈川大学 0(0-0)1 常葉大学浜松キャンパス
これが初戦となる関東第3代表の神奈川大学は、9年ぶりの総理大臣杯出場。対戦相手は1回戦、延長戦で北海道教育大岩見沢校を下した、東海第1代表の常葉大学浜松キャンパスだ。
やや優勢に試合を進めていた常葉大は、後半序盤の57分に土井智之からのパスを杉本マテウスが決めて先制点をあげる。杉本はその後も積極的にゴールを狙うが、追加点まではいたらず。しかし神大もゴールを奪うことなく、常葉大が先制点を守りきって試合終了。常葉大が準々決勝に駒を進めた。
■明治大学 3(0-0)0 関西学院大学
2015年度大会の決勝と同カードとなる、2回戦の注目カードだ。前大会優勝の明治大学は、関東地域最後の枠、第7代表として出場。1回戦は松山大学に4-0で快勝し、2回戦に臨む。対するは関西第2代表の関西学院大学。2年前の決勝では、関学大が明治大を下し2015年度の王者に輝いた。
リベンジに燃える明大と、2年ぶりの優勝を目指す関学大。しかし、試合は意外な形で動いた。スコアレスドローで迎えた後半の56分、交代直後の明治大・小柏剛が右からパスを出すと、これが相手プレーヤーにあたりオウンゴールに。明治大がラッキーな形で先制点を得る。明大はさらに62分、フリーキックのチャンスを得ると、金原唯斗がこれを直接決めて追加点。リードを2点に広げると、73分にも櫻井敬基の右コーナーキックをセンターバックの鳥海晃司が頭で合わせ、ダメ押しの3点目を挙げる。
反撃に出たい関学大だったが、明大が主導権を握る展開を覆せず、3-0のまま試合終了。明大が2年前のリベンジをはたすとともに、連覇に向けて2つ目の勝利を挙げた。
■青山学院大学 2(0-1)3 大阪体育大学
初戦で札幌大に6-0と圧勝した関東第6代表の青山学院大学は、これが大会初戦となる関西第3代表の大阪体育大学と対戦。試合は、終了間際まで両チームに得点が入る熱戦となった。
拮抗した試合を先に動かしたのは大体大。16分、小川明の左からのクロスに林大地が合わせて大体大が先制する。しかし青学大も後半開始早々の51分、山田武典の浮き球を、初戦でハットトリックを達成した小田寛貴が収め、ドリブルで突破。そのままシュートを放ち、同点に追いつく。
試合は振り出しにもどったが、63分には再び小川のクロスに林がヘディングシュートを決めて大体大が2-1とリードを奪う。大体大はさらに、アディショナルタイムに突入した90+3分にPKを獲得。これを西田恵が決めて、3-1と青学大を突き放した。
このまま試合終了かと思われたが、最後の最後に青学大が意地を見せた。終了間際の90+4分、尾ノ上幸生のフリーキックに椿健太郎が合わせて、青学大が追加点。しかしこれ以上の反撃は許されずほどなくタイムアップ。3-2のスコアで、大体大が青学大を下した。
■筑波大学 4(2EX0)2 中京大学
昨年度インカレ優勝校で、今年度天皇杯で大学勢唯一のラウンド16生き残りチームとして注目を集める筑波大学。対戦相手は、福岡大学をPK戦で下した中京大学。昨年度のインカレでは筑波大に0-5の大敗を喫しているだけに、この再戦を「楽しみにしていた」(朝倉吉彦監督)。
ユニバーシアード代表の中野誠也、戸嶋祥郎、三笘薫をベンチに置いてスタートしたものの、タレントを多数擁する筑波大が圧倒するかと思われたが、試合はゴールを取って取られるシーソーゲームに。90分では決着がつかず、勝負は延長戦へと持ち越されることとなった。
先制点は開始8分。左サイドでボールをキープした藤島樹騎也からのパスに、水野翔太が抜け出してゴールを決める。しかし筑波大も26分、北川柊斗が近藤太からの浮き球に反応してGKとの1対1を抜いて同点弾を決めると、31分にも会津雄生が追加点。あっという間に筑波大が逆転に成功して試合を折り返す。
後半もスコアは動かず、筑波大は56分に三笘、81分に中野、戸嶋の“ユニバ組”を投入。盤石の体制を整えるが、その直後にまさかの失点。83分、中京大は左の大谷晃平からパスを受けた西村仁志が、豪快なミドルを放ち同点に追いつく。勢いにのった中京大はその後の筑波大の攻撃も跳ね返し、延長戦へ突入する。
だが、1回戦でも延長を戦っている中京大にとって延長戦突入は不利な状況だったのかもしれない。加えて筑波大は“休養あけ”のユニバ組が躍動。96分には三笘が右サイドからドリブルで仕掛けてシュートを放つが、これはGKが弾く。しかしこぼれ球を戸嶋が押し込み、再び筑波大が勝ち越しに成功。さらには延長前半アディショナルタイムの100+3分、3点目と同じくドリブルで持ち上がった三笘のシュートのこぼれを、こちらも同じく戸嶋が押し込んで、決定的な4点目をあげる。
中京大は、延長後半にこの2点差においつくこと叶わず4-2のままタイムアップ。タレント軍団の筑波大を追い詰めた中京大だったが、延長戦で力尽きた。
■法政大学 3(1-0)0 九州産業大学
九州勢唯一の生き残りとなった九州産業大学は、関東第4代表の法政大学と対戦。九産大もコンパクトなサッカーで法大にわたりあったが、最終的には“試合巧者”な展開で得点を重ねた法大に完敗する結果に終わった。
試合は立ち上がり、九産大が攻め込む展開だったが、法大は右サイドの武藤友樹、紺野和也を中心に攻め込み、次第に主導権を奪取。20分すぎから上田綺世、ディサロ燦シルヴァーノらが決定機をつくりはじめる。32分には、ボランチの末木裕也が前に抜け出し、ゴール前に挙げたクロスにディサロが頭で合わせてゴール。「(末木)裕也と目があって、ボールをくれるような気がしていた」というディサロの得点で、法大が先制。すると九産大は37分、39分と立て続けに選手を交代し、試合の流れを変えようとする。
法大の1点リードで迎えた後半は、九産大が積極的に仕掛ける展開に。関恭範、末永巧らがチャンスをつくるがゴールには結びつかない。逆に66分、法大はディサロがゴール前に抜け出したプレーからコーナーキックを獲得。キッカー・青柳燎汰の右からのキックを前谷崇博が落とし、それを「意外に冷静にゴールが見えた」というディサロが蹴りこみ追加点。法大が2-0とリードを広げる。
九産大は85分、ディフェンダーの行武誠萌が2枚目の警告で退場。数的優位に立った法大は終了間際の89分、交代出場の長谷川元希がドリブルで前線までもちこみ、そのまま豪快なシュートを放ち、ダメ押しの3点目。「前後半の最初のうちは耐えて、交代選手で仕留める」(法大・長山一也監督)という狙いどおりの展開で、法大が初戦突破をはたした。
■仙台大学 0(0EX1)1 阪南大学
関西第2代表の阪南大学は、東北地方の雄・仙台大学を相手に苦しい初戦を戦うことになった。
1回戦、ハットトリックを達成した宮澤弘らの活躍で6-1の快勝を収めた仙台大は、その宮澤と、同じく1回戦でスタメンだった鳴海彰人をベンチに置いてこの試合に臨んだ。試合は両チーム一進一退の攻防を展開。阪南大が圧倒的にボールを保持するものの、仙台大も鋭い仕掛けでチャンスをつくる。そのうえで阪南大は「ボールを大切にしすぎ、思い切りがない」ことから決定機を逃してしまう。
すると31分、仙台大は1回戦で活躍した宮澤と鳴海と2トップを同時に投入。「予想以上に(ふたりに)疲れが残っていたので」(仙台大・吉井秀邦監督)と、序盤をベンチで“休ませる”作戦に、敵将の阪南大・須佐徹太郎監督も「予想していなかった」と驚くばかり。しかし後半に入っても状況は大きく変わらない。阪南大・山口一真が何度となくすばらしい突破を見せるが「踏み込みが悪い、力みすぎ」(須佐監督)と、“ゴールの匂いのしない”時間帯が続く。結局、スコアレスのまま試合は延長戦へと突入した。
先に動いたのは仙台大だった。延長後半の102分、鳴海に代えて松尾祐介を投入。「警戒していた」(阪南大・須佐監督)という快速の松尾は、投入早々に左サイドをドリブルで突破。阪南大をひやりとさせるが、ディフェンスラインが冷静に対応する。これに対し、阪南大は104分、重廣卓也に代えて山口拓真を投入。沈滞ムードの中、この“異物”ともいえる山口拓の投入が、試合を大きく動かした。
「拓真が入ると右にも左にも動くので、いい意味でポジションが崩れる。何か変わるという期待はあった」と主将の脇坂泰人。その言葉どおり、投入直後の105分、山口拓がいきなり大仕事をやってのける。これまで何度も右サイドをえぐってきた田中彰馬が、ゴール前にクロスをあげると、左からこれに飛び込んできた山口拓がヘディングで押し込みゴール。ついに仙台大の固いゴールの扉をこじあけた。この得点が決勝点となり、阪南大が1-0で延長戦を制し、準々決勝に進出となった。
一方、敗れはしたものの奮闘を見せた仙台大。阪南大とはこれで3度目の対戦となり「最初は0-2、去年のインカレでは1-2、そして今日の試合は延長で0-1」(仙台大・吉井監督)着実に相手との距離を縮めている。この試合では「ギリギリのところで守れたし、チャンスはつくれた。ただ、後半以降はシュートが打てないなど勝負ができなかった」と、収穫と課題を手にした。それでも「GKの井岡(海都)や鳴海、嵯峨(理久)など日本一になった選手が多く、その経験がチームの中で醸成されてきた」と吉井監督。関西きっての強豪をあと一歩まで追い詰めた東北の雄は「日本一を狙えるチームになってきた」とその手応を胸に大阪を去った。
この結果、東北代表、九州代表がさり、準々決勝に駒を進めたのは関東4、東海2、関西2の8チームとなった。関東・関西以外の地域代表が次々と敗退する中、関東2チームを下して残った東海代表2チームの躍進が注目される。
準々決勝は9月6日(水)に行われる。J-GREEN堺・メインフィールドでは常葉大学浜松キャンパス対明治大学、東海学園大学対流通経済大学が対戦、ヤンマーフィールド長居では筑波大学対大阪体育大学、法政大学vs阪南大学の試合が行われる。
関東vs東海、関東vs関西とわかれた準々決勝戦。ベスト4に生き残るのはどのチームか。
【試合結果詳細】
http://www.jufa.jp/news/news.php?kn=685
【フォトレポート】
○法政大学 対 九州産業大学
https://goo.gl/photos/D53jLjWGi2uZgjQX9
○仙台大学 対 阪南大学
https://goo.gl/photos/8GwKNi1RZYNCha62A