JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
2017年度第41回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント 準々決勝戦レポート
2017/09/07
 『2017年度第41回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』は9月6日(水)、ベスト4をかけて関東4、東海2、関西2の計8チームが激突した。


■常葉大学浜松キャンパス 0(0-0)1 明治大学


 ここまで7得点無失点と順調に駒を進めてきた、前回大会の王者・明治大学。2回戦では関西学院大学を3-0と完勝で下し、2年前の決勝で敗れたリベンジをはたした。主将の木戸皓貴も怪我から復帰し、チーム全体の調子があがってきている。対する常葉大学浜松キャンパスは初戦の北海道教育大岩見沢校を延長戦で制し、2回戦の神大は1-0で勝利するなど僅差の戦いをモノにしてきたチームだ。
 試合は、そんな常葉大のしたたかさが随所に出る立ち上がりとなった。「常葉大さんがウチをよく分析していたし、集中していた」(明大・栗田大輔監督)というように、王者・明大は徹底した守りに苦戦。連戦も考えて「今日は中村(健人)と小野(雅史)のふたりでやるつもりだった」というダブルボランチの一角、中村の怪我の具合が思わしくなく、43分には柴戸海に交代。常葉大にチャンスこそつくらせなかったものの「相手の狙いどおりのサッカーをさせてしまった」(明大・木戸皓貴)。
 それでも「もっと自分たちのサッカーの本質を見つめ直そう」(木戸)と迎えた後半は「人もボールも動くようになった」(栗田監督)が、ゴールだけが遠い。左サイドの佐藤亮、途中出場の櫻井敬基らが突破を見せるがシュートまで持ち込めない。しかし、このまま延長戦突入かと思われた終盤にエースが動いた。87分、自らボールをゴール前に持ち込むと、ボランチの柴戸とのワンツーからダイレクトシュートを叩き込んでゴール。「木戸がよくやってくれた」と指揮官も胸をなでおろす得点が決勝点となり、明大が勝利を収めた。


■東海学園大学 1(1-2)2 流通経済大学

 昨年度準優勝校で関東第1代表の順天堂大学を下して、初のベスト4入りを目指す東海学園大学。対するは2013年、2014年に連覇をはたし“トーナメントの流経”の異名をとる流通経済大学。試合は、前回大会で出場を逃して今年こそタイトル奪還狙う流経大が、貫禄の試合運びを見せる結果となった。
 流経大は初戦にベンチスタートだったユニバーシアード代表のジャーメイン良をスタメンで起用。前半はそのジャーメインが躍動し、試合を大きく動かした。まず15分、小池裕太の左コーナーキックにヘディングシュートで合わせて先制点を挙げると、23分にも右サイドを突破。「ジャーメインはユニバ代表だが、流経大の中ではFWとして1番目のセレクトではない」(流経大・中野監督)として、この日の試合では右サイドでの出場となったジャーメイン。しかし、持ち前のスピードで相手のファウルを誘い、流経大がフリーキックを獲得する。キッカーは小池。「小池から早くて強いボールがくると思ってニアに詰めていた」(ジャーメイン)ところ、GKの弾いたボールが目の前に。それを押し込んで追加点とし、流経大が早くもリードを2点に広げる。
 2点を先取した流経大は36分、怪我明けの主将、石田和希を下げて相澤祥太を投入。しかしこの交代で「ゲームコントロールがうまくいかなくなってしまった」と、流経大・中野監督。東園大に中盤でボールを奪われる場面が増え、38分にはフリーキックを与えてしまう。東園大・仲啓輔のキックは、それをクリアーしようとした流経大選手を経てそのままゴールへ。東園大がオウンゴールで1点を返し、2-1で試合を折り返す。
 後半は両チーム一進一退の攻防を繰り広げた。東園大はここまで2得点1アシストの武田拓真や、榎本大輝のドリブルで前線突破をはかるが、「ドリブルなど個の力での突破が基本で、パスで崩すということはなかったので(対応として)難しくはなかった」(守田英正)と流経大を崩しきれない。ここまで2アシストの渡邊柊斗が順大戦で負傷したことの影響も小さくはなかった。一方の流経大も71分、ジャーメインのシュートが左ポストを叩くなど、決定機を決めきれずに後半はノーゴールに。さらにアディショナルタイムの90+4分には、右サイドバックの関大和が2枚目の警告で退場。「サイドバックはあまり(バックアップが)いない。彼の退場は本当に痛い」(中野監督)と次戦に不安を残る状況だったが、スコアは動かず2-1のままタイムアップ。流経大が勝利し、2年ぶりの準々決勝進出を決めた。


■筑波大学 3(2-1)2 大阪体育大学

 昨年度インカレ優勝校、そして大学勢唯一の天皇杯のラウンド16進出と波に乗る筑波大学。大会前から優勝候補の一角に目されていたが、初戦では延長戦に持ち込まれるなど、トーナメント大会ならではの難しさに直面した。
 この試合では、初戦ベンチスタートだったユニバーシアード代表の3選手をスタメン起用して臨んだが、先制点を挙げたのは対戦相手の大阪体育大学だった。16分、2回戦で2得点を挙げている林大地が田中駿汰からの縦パスに抜け出す。ゴール前にあがったクロスに西田恵が合わせて、大体大がまずは先手を取る。しかしその8分後の24分、今度は筑波大が反撃に出る。戸嶋祥郎、三笘薫とつなぎ、最後は中野誠也が右足を振り抜いてゴール。“ユニバ”組の連携プレーからエース・中野の一撃で、筑波大が同点に追いつく。
 筑波大はさらに33分、中野がゴール前にあげたクロスに、今度は長澤皓祐が頭で合わせ追加点。わずかな時間帯に逆転に成功する。
 追う立場となった大体大はハーフタイムに立川嶺に代えて古城優を投入。巻き返しを図るが、53分に失点。筑波大は左サイドを三笘、野口航と崩し、最後は野口のクロスに、今度は中野が頭で合わせて3点目。中野の、この試合2点目となるゴールで大体大を突き放す。3-1と
 大体大は失点直後の57分に浅野雄也を投入。61分には、林が獲得したペナルティーキックを浅野が決めて筑波大を1点差にまで追い詰める。追いつきたい大体大は終盤にはパワープレーで猛攻を仕掛けるが、あと一歩が及ばなかった。集中した守備で1点差を守りきった筑波大が、2年ぶりに準決勝へと進出した。


■法政大学 3(4PK3)3 阪南大学

 同会場の第1試合で大阪体育大学が敗れたことにより、最後の関西代表となってしまった阪南大学は、2014年の準優勝校・法政大学と対戦。「(監督就任後)これまで以上の成績を、というと、もう優勝しかない」(法大・長山一也監督)という法大と、2012年以来の優勝で関西代表としての意地を見せたい阪南大。第1試合と同じく東西対決となった試合は、激しいゴールの奪い合いのうえ、PK戦までもつれこむ熱戦となった。
 前半、先にチャンスをつくったのは阪南大だった。開始早々の5分、2回戦で決勝点をあげた山口拓真のクロスに、草野侑己が右足で合わせて先制。24分には、重廣卓也、脇坂泰斗が左サイドを崩してゴール前にパスを出すと、最後は山口一真が決めて追加点。阪南大が早々に2-0とリードを広げる。
 この展開に法大は27分、突破力のある紺野和也を投入。試合のターニングポイントとなったのはこの紺野の投入と、前半終了間の阪南大・山口一真の負傷退場だった。44分、ファウルで負傷した山口一真は無念の交代。法大は相手チームのキーマンが抜けた隙を逃さず、前半アディショナルタイムの45+1分、左サイドバック・黒崎隼人のパスに反応して抜け出した紺野が、そのまま左足を振り抜いて1点を返す。
 1点を返して迎えた後半、法大はハーフタイムに末木裕也を投入。さらに57分にはFWの上田綺世をピッチに送り出し、総力戦に出る。すると63分、その末木のアシストで上田綺世がゴールを決めて同点に追いつくと、70分にも右サイドバック・武藤友樹からのクロスを、上田が頭で押し込んで追加点。交代起用がピタリと的中した法大は、上田の2ゴールで3-2とて逆転に成功する。
 追いつきたい阪南大も猛攻を仕掛けるがゴールにはいたらず、試合はこのまま法大が勝ち越すかと思われた。だが、アディショナルタイムに突入した90+3分に劇的な展開が待っていた。阪南大・重廣が放ったシュートのこぼれ球を、真瀬拓海が押し込んで土壇場で阪南大が追いつく。
 3-3の激戦となった試合は、延長戦でも決着がつかずPK戦に突入することとなった。しかし、先攻の阪南大は最初のキッカーである岡部拓実が失敗。さらに3人目の和田凌のキックも、法大GKの吉田舜に止められてしまう。阪南大GK・渡邉健太郎は法大4人目のキッカー・大西遼太郎のキックをセーブするものの、その後を止められず、PK戦4-3で法大が準決勝に進出。関東・関西のプライドをかけた熱戦は幕を閉じた。



 昨年と同様ベスト4には関東4チームが残り、8月8日(金)にヤンマースタジアム長居で行われる準決勝戦は、関東勢同士の対戦となった。第1試合の筑波大学対法政大学は、今季の関東リーグで筑波大が3-0で法大を下している。第2試合は流通経済大学対明治大学。今季リーグでは明大が3-1で勝利。そのうえ流経大は2年前のこの大会、準決勝で明大に敗れて3連覇を逃しているだけに「この大会での借りは、この大会で返す」と選手、スタッフが口を揃える。
 はたして決勝に駒を進めるのはどのチームか。夏の大学王者を決める本大会も残り3試合。ますます熱い戦いが繰り広げられる。