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2017年度第41回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント 準決勝戦レポート
2017/09/09
ついにベスト4が出揃った『2017年度第41回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』。前回大会同様、関東4校の対戦となった準決勝だが、昨季王者の明治大学以外、顔ぶれはほぼ一新。連覇を目指す明治大のほか、3年ぶりの優勝を目指す流通経済大学、天皇杯ラウンド16進出で注目を集める筑波大学、3年前の決勝で流経大に敗れた法政大学といった実力派チームが、決勝進出をかけて準決勝を戦った。
■筑波大学 0(0-0)1 法政大学
今季の関東大学リーグを首位で折り返し、天皇杯でもJ1~J3のプロクラブを撃破するなど、“大学最強”の呼び声高い筑波大学。昨季のインカレ優勝に続き、今季初のタイトルを狙う筑波大に、同じ関東代表の法政大学が“待った”をかけた。
「お互いにこれまで何度も対戦している相手なので、試合が動かない感じはした」という法大・武藤友樹の言葉どおり、スロースタートとなったこの試合。立ち上がりは筑波大が持ち前のパスワークで攻め込むが、シュートにまで持ち込めない。逆に法大は少ないチャンスながらも決定機を作り、29分にはコーナーキックから前戦2得点の上田綺世がヘディングシュート。これは惜しくもポストを叩いたものの、その5分後にも上田がゴール前に飛び込むなど、法大のチャンスが続く。
すると39分、法大は紺野和也が右サイドからクロスをゴール前へ。上田が合わせたシュートはGKに弾かれるが、そこに詰めていたのが武藤だった。「そのままダイレクトで打とうかと思ったが、余裕があったのでトラップして冷静に打てた」(武藤)という狙い済ましたシュートがゴールに突き刺さり、法大が先制点を挙げる。
1点を追う形となった筑波大はハーフタイムに長澤皓祐を投入。ボランチの鈴木徳真らが中盤からの展開で好機を狙うがなかなかゴールに結びつかない。66分には「後半出してくると思っていた」と法大・長山和也監督が警戒していたユニバーシアード代表の中野誠也、三笘薫を同時に投入。三笘のドリブルで筑波大が何度となくチャンスを作るが、法大のディフェンスも冷静に対応し、ゴールを割らせない。
法大は82分、左サイドバックの黒崎隼人が2回目の警告で退場となり、数的に不利な状況となったが「却って割り切ることができたと思う」(法大・長山監督)と先制点を守りきってタイムアップ。優勝の有力候補の筑波大が敗れ、法大が3年ぶりの決勝進出をはたした。
法大の長山監督は「前半はトップへのボールの入れ方や、(右サイドの攻撃など)ウチのストロングポイントが徹底できていた」と試合を振り返り「筑波大は後半、中野や三笘を入れてくるだろうから先に点を取ることが重要だった。それがうまくプラスに働いた」と満足顔。準々決勝では、阪南大に「最後、ぽろりとやられた」ためPK戦にまで持ち込まれたが、この試合では退場者を出しながらも無失点で守りきった。
「これまで九州第1代表(九州産業大学)、関西第1代表(阪南大学)と倒してきて、ここで関東前期リーグ首位の筑波大学と当たることになった。筑波大は大学の中では間違いなくトップの力をもったチーム。そこと対戦することで、自分たちの今の実力が図れると思った」と長山監督。関東の前期リーグでの対戦では0-3で完敗、本大会の予選も兼ねる「アミノバイタル®」カップでも0-1と破れている法大が「3度目の正直」で手に入れた勝利。しかし、3年前の決勝で優勝を逃した指揮官は、「大切なのは次。決勝に勝つと負けるでは評価がまるで違う。力を問われる一戦になる」とコメント。決勝に向けて、気を引き締め直した。
■流通経済大学 1(0-1)2 明治大学
2年前の準決勝、三連覇を目指す流通経済大学の決勝進出の望みを打ち砕いたのが明治大学だった。「あの時のリベンジをしたい」。中野雄二監督をはじめ、流経大の選手もそう口を揃えて臨んだこの試合。しかし、9分に先制点を決めた2年前の試合同様、先に試合を動かしたのは明大だった。明大は試合序盤の8分、佐藤亮の左コーナーキックから、ゴール前が混戦となる。そこにこぼれてきたボールを、土居柊太が蹴り込んで先制する。「去年の準決勝もこぼれ球から(決勝点となった)ゴールを決めたし、セットプレーからの練習もしてきた。その成果が出た」(土居)という狙い通りのゴール。その後も「明大らしいハイプレスとショートカウンターが決まって、うまくゲームに入れた」(土居)という明大だったが、互いをよく知る関東勢同士だけに、次第に両チーム“固い”試合運びに。チャンスをつくりながらも、追加点が生まれないまま後半を迎えた。
流経大は後半「全体的にボランチの位置が低すぎた」(中野雄二監督)という中盤を修正。渡邉新太、小池裕太の突破から前線の立花歩夢にもボールが入るなどして攻勢に出る。「流経大の攻撃を受ける形になってきた」(栗田監督)という明大は64分、小柏剛を投入。前がかりになる流経大の「背後を狙う」形で状況の打開をはかった明大はさらに71分、「展開次第で使おうと思っていた」という、主将の木戸皓貴を投入。この木戸の投入が、再び試合を動かした。73分、流経大DFのクリアしたボールを木戸は、そのままボールをキープすると、ペナルティエリア前から狙い済ましたミドルシュートを放ち、追加点。「本当にいいところにボールがこぼれてきたので、丁寧にいこうと思った」という木戸のファーストプレーでのゴールで、明大が2-0と流経大を引き離す。
しかし流経大も意地を見せる。73分、新垣貴之は明大DFを振り切ると、右サイドを強引に突破。ゴール前に出したパスを、立花が豪快に蹴り込んで流経大が1点を返す。3年前の準決勝では、アディショナルタイムに同点に追いついた流経大。この試合でも、4分と表示されたアディショナルタイムまで怒涛の攻撃を展開するが、どうしても明大のゴールを割ることができない。小池のフリーキックや、ジャーメイン良のシュートも枠の外。結局、攻め切れないまま試合終了となり、2-1で明大が勝利。3年連続で決勝へと駒を進めた。
敗れた流経大の中野監督は「サイドバックがいない。本村(武揚)が怪我で使えず、準々決勝でサイドバックの関大和が退場になり、本来であればボランチに使いたかった小野原和哉をディフェンスで使わざるを得なかった」というチーム事情を口にしながらも「立ち上がりの先制点が痛かった。あまりにもおそまつすぎた」と、チームのミスに言及。「今日のウチの出来からすれば、妥当な結果だと思う」とコメントした。しかし無失点だった明大からゴールを奪ったことは「大きな収穫」とも。また大会が始まる前は大量失点を重ねていただけに「3試合で2失点はチームとしての成長」とした。来週末からは関東大学リーグが再開するだけに「早く切り替えて、今度はインカレ出場を目指す。この借りは、インカレで返したい」と語った。
一方、勝った明大の栗田監督は「流経大は強いし、関東でもライバルチームとしてお互いに意識している。気迫のこもったタフなゲームになることは想像していたので、その試合に勝ったことは自信になる」と笑顔を見せた。3年連続の決勝進出で連覇を狙うが「今年はリーグを7位で折り返し、この大会でも関東7位の枠で出場した。明大は今年、まだ何も成し遂げていない。法大にはリーグ戦でも負けているし、次に勝たないと意味はない」ときっぱり。主将の木戸も「次は決勝戦だけど、5回戦のつもりで戦う」ときっぱり。「自分のゴールでチームを決勝に導けたことはうれしいが、まだ何も成し遂げていない。それをもう一度チームに落とし込みたい」と、気を緩めることなく決勝に焦点を定めていた。
決勝戦は3年連続の決勝進出で連覇を目指す、ディフェンディングチャンピオンの明治大学と、3年ぶりの決勝進出で35年ぶりの優勝を狙う法政大学の対戦となった。
昨季王者ながら、関東第7代表というギリギリの枠で本大会に出場した明大は、シード権を得られず決勝戦が5試合目となる。しかしこれまで多くの選手を起用して疲労をコントロールし、わずか1失点に抑えるなど選手層の厚さを見せつけている。本大会で怪我から本格的に復帰した、主将・木戸も好調で、死角を見つけにくいチームだ。
対する法大は、右サイドの武藤友樹・紺野和也の右サイドが絶好調で、サイドを起点として攻撃が予想される。さらに得点感覚鋭い1年生FWの上田綺世が爆発すれば、王者の死角をつくチャンスはある。
夏の大学日本一に輝くのは、明大か法大か。ついに今季の総理大臣杯もラストマッチ。9月10日(日)18時、ヤンマースタジアム長居にて決勝戦の幕が切って落とされる!
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