1回戦から中2日となる9月3日(月)、関東・関西のシード8校が参戦して『2018年度第42回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』の2回戦が行われた。
2回戦では、昨年度王者で関東第1代表でもある法政大学と、現在関東1部リーグを首位で折り返している早稲田大学がそろって初戦敗退となる大波乱も。東海、九州地域代表各校の健闘が光り、ベスト8には関東4、東海1、関西2、九州1と例年より多くの地域の代表が残ることとなった。
1回戦では主導権を握りながらも追加点を取れなかった専修大学だが、2回戦でその攻撃力をいかんなく発揮した。キーマンとなったのはヴァンフォーレ甲府入りが内定している、左サイドバックの6番・小林岩魚。1回戦をベンチから出ることなく終えた専大の主将は、全4得点に絡む活躍でチームをベスト8に導いた。
試合が動いたのは15分。6番・小林の左サイドからの突破に、11番・中山が応えて専大が先制点を挙げると、その4分後には6番・小林のクロスに15番・鹿沼直生が右足で合わせて追加点。15番・鹿沼の2試合連続ゴールで専大がリードを広げる。専大は33分にも6番・小林のCKから15番・鹿沼がこの試合2得点目となるヘディングを決めて3-0とし、前半を終了した。
この試合が初戦となる関西第3代表の桃山学院大学も、防戦一方というわけではなく何度かシュートチャンスをつくるものの得点が決まらない。ハーフタイムには7番・佐藤碧を投入して流れを変えようとするが、専大も33番・小川匠、18番・下田悠哉、12番・菊地紘平らフレッシュな選手を立て続けに投入し、得点を許さない。
ともに追加点を得られないまま試合は終盤に突入。すると85分、専大は6番・小林のクロスを起点に、ゴール前で混線になったところをGKが弾いたボールを11番・中山克広が押し込んでダメ押しの4点目をあげる。
桃学大も試合終了間際の89分にはPKを獲得。これを9番・毎熊晟矢が決めて1点を返し、90分には途中出場の32番・上西健也が16番・徳網勇晟のクロスを頭で合わせて2点目を挙げるが、時すでに遅し。シュート数は8対9と専大を上回りながらも、決定機を確実にゴールに結びつけた専大が4-2で4年ぶりの準々決勝進出を決めた。
昨年度王者で関東第1代表の法政大学がまさかの初戦敗退。中京大学が一度は追いつかれながらも再度リードを奪い、そのまま逃げ切って前回覇者から大金星を挙げた。
中京大は序盤の13分、8番・大谷晃平のパスに7番・大城佑斗が右合わせて先制。しかしその4分後には法大も14番・高木友也のクロスを10番・青栁燎汰が決めて同点に。試合を振り出しに戻して前半を終える。
法大はハーフタイムに25番・飯島陸、15番・服部剛大を下げて9番・ディサロ燦シルヴァーノ、16番・長谷川元希を送り込むが、なかなかシュートまで持ち込めない。さらには59分、13番・末木裕也を投入し2点目を狙う。対する中京大学は55分に10番・ 藤島樹騎也を投入。15番・藤島を入れることで攻撃のギアをあげると、79分には15番・市川兼伍の放ったシュートの、バーの返りを18番・辻泰志が押し込んで追加点。スコアを2-1とする。
ビハインドを負った法大はその後、セットプレーからチャンスを狙うがゴールネットを揺らすことなくタイムアップ。中京大が勝利し、5年ぶりにベスト8に残った。
これが初戦となる大阪体育大学は、福岡大学の堅固な守備に苦戦。何度となく好機をつくりながらも決めきれない。ハーフタイムには両チーム選手を一人ずつ代えて流れを変えようとするが、試合は動かずスコアレスのまま延長戦に突入した。
しかし、均衡は思わぬ形で破られた。94分、大体大はPKを獲得すると、これを9番・林大地が決めて大体大が先制。前後半合わせてシュート3本、延長に入ってからシュート0本という福岡大に反撃の手立てはなく、そのまま1点を守りきった大体大が初戦突破をはたした。
1回戦で東北学院大学に4-0と大勝し、勢いに乗る仙台大学は4年ぶりの出場となった駒澤大学と対戦。試合は両チームとも積極的にゴールを狙う展開となった。
先制点は駒大。前半終盤の40分、9番・高橋潤哉のパスにルーキーの24 番・荒木駿太が右足で合わせる。対する仙台大はハーフタイムに5番・藤岡優也、9番・本吉佑多を一気に投入。78分には、この途中出場の9番・本吉が18番・志村弘樹からのクロスを決めて同点弾。9番・本吉の2試合連続ゴールで駒大に追いついた。
攻守ともに拮抗した展開となった試合は、そのまま延長戦に突入。なかなかゴールが入らずにPK戦かと思われた終了間際の110分、駒大の9番・高橋が混線の中で押し込み待望の追加点をゲット。このゴールが決勝点となり、駒大が接戦をものにした。
初戦は劇的なアディショナルタイムのゴールで2回戦進出をはたしたIPU・環太平洋大学だったが、2回戦では昨年度準優勝校・明治大学に大差をつけられる結果となった。
序盤から主導権を握った明大だったが、初戦の緊張もあってかなかなかゴールまでは結び付けられない。30分過ぎには環太大にチャンスを作られるが「試合前から選手が疲労していた」(環太大・桂秀樹監督)という環太大もゴールを決めきれない。
試合が動いたのは39分、1番・長沢祐弥のロングキックに走り込んだ10番・小野雅史が鮮やかなミドルシュートを放ち先制。「コース的には狙っていたが、予想をはるか上を行った」と、10番・小野自身が驚くシュートで明大が先制する。「次の1点が大事」と明大・栗田大輔監督が考えていた2点目は、後半序盤の53分。18番・小柏剛が9番・村田航一とのワンツーから抜け出してゴール。60分には、主将で浦和内定の2番・岩武克弥が負傷退場するというアクシデントはあったものの、62分に途中出場の31番・森下龍矢、65分には9番・村田が立て続けに追加点を挙げて4-0と環太平大を大きく引き離す。
環太大も終了間際の87分、9番・滝川皓也が強引にゴール前まで突破。GKに弾かれたボールを自ら押し込んで1点を返したが、反撃はここまで。「相手云々より自分たちのコンディションの問題。本来の力の半分も出せなかった」(桂監督)という環太平大にとっては悔しい2回戦敗退となった。
一方、危なげなく初戦を突破した明大だが栗田監督は「失点の仕方がよくなかった」との反省点も。次戦の相手は、関東予選で敗れた明治学院大学。雪辱を果たすとともに、2年ぶりの優勝を狙う。
東京都リーグ所属ながら、関東予選ではなみいる1部の強豪校を倒して関東第2代表の座を射止めた明治学院大学。関東地区最大のサプライズの初戦は、Jリーグ内定選手3名を擁する東海学園大学との対戦となった。
前半は東海学園大が圧倒する展開となった。1回戦で0-3から試合をひっくり返し、勢いに乗る東海学園大は17番・榎本啓吾、9番・神門滉人、28番・加藤大貴の3トップがたびたびペナルティエリアに侵入してゴールを狙うが、明学大も主将でセンターバックの5番・高橋龍世が中心とした堅固な守備でゴールを割らせない。
スコアレスで前半を終えると、防戦一方だった明学大が攻撃に出る。ハーフタイムに突破力のある21番・鳥谷部嵩也を投入して左サイドから崩し始めると、69分に9番・黒石川瑛、77分に11番・土屋真輝を次々と投入。東海学園大が初戦で延長戦まで戦ったことから「後半に流れがくるのはわかっていた。ギアを上げるためにキープレーヤーを残しておいた」と明学大・鈴木修人監督。その言葉どおり、後半は明学大が攻める展開となったが、あと少しの差でゴールを決めきれない。
結局スコアレスのまま試合は延長戦に突入。延長戦では東海学園大も流れをつかみ、ゴールチャンスを得るがこちらもわずかにゴールネットを揺らせず。結局勝負はPK戦にもつれこむこととなった。
PK戦では東海学園大の2番手のキッカー、6番・松本直也が枠を大きく外し、続く4番・鹿山拓真のキックも、明学大のGK、1番・松田健太郎がストップ。しかしその直後、今度は東海学園大のGK、21番・高橋巧が明学大の31番・新間侑雅のキックをストップ。さらに明学大は5番・高橋が外してサドンデスに突入した。「一番決めてほしかったふたり」(明学大・鈴木監督)という4年生センターバックコンビのPK失敗に、GK・松田が奮起。21番・鳥谷部の成功を見届けると、東海学園大の6人目、名古屋内定の11番・榎本大輝のキックを左足で弾いた。「中学時代にも、彼のPKを止めたことがある」(1番・松田)という不思議なめぐり合わせをモノにし、明学大が準々決勝へと駒を進めた。
1回戦で関西の雄・阪南大学を倒した鹿屋体育大学が、今度は現在関東リーグ首位の早稲田大学を倒した。
早大はU-21代表としてアジア大会に参加していたGKの1番・小島亨介、特別指定選手として先週末の名古屋の試合に出場していた11番・相馬勇紀をスタメンにそろえ、万全の体制で初戦に臨んだ。開始早々の9分には、その11番・相馬が得意のドリブルから先制点を挙げるが、16分には鹿屋大も7番・森川和命の仕掛けに14番・岡田浩平が反応して同点に追いつく。しかし早大は前半終了間際の45分、4番・鍬先祐弥のパスを受けた10番・石神佑基が押し込んで再びリード。
早大はハーフタイムに、後半からのゴールゲッター・主将の29番・岡田優希を投入して鹿屋大を突き放しにかかるが、逆に60分には16番・渡邊宥也がゴールを決め、再び同点に追いつく。点の取り合いはまだまだ終わらない。10分後の70分には、早大の11番・相馬が14番・藤沢和也からのパスを受けて3点目。またもやリードを奪うが、終始積極的にゴールを狙い続ける鹿屋体大がアディショナルタイムの90+3分、途中出場の20番・藤本一輝が26番・五十嵐理人のクロスをあわせて、三度同点に追いついた。
試合は3-3のまま延長戦に突入。このシーソーゲームに終止符が打たれたのは延長後半の105分。相手選手のクリアボールを拾った20番・藤本が押し込んで、鹿屋体大がこの試合初のリードを奪う。鹿屋体大はこのリードを守りきってタイムアップ。優勝候補の早大を粘り強く追い、ついには延長で逆転勝利を収め、準決勝に進出。次戦に勝利し、5年ぶりとなるベスト4を狙う。
1回戦、松本大学に4-1と快勝した日本文理大学は、関西チャンピオンの大阪学院大学と対戦した。立ち上がりは日本文理大が積極的な攻撃を展開。しかし大院大はこの攻撃に的確に対応。17分には14番・三木水都が負傷退場するアクシデントに見舞われるもの、日本文理大の攻撃を封じ、28分には8番・川崎健太郎のCKに11番・杉山蒼太が左足で合わせて先制する。大院大は後半序盤の57分にも15番・見野龍太郎が追加点。少ない決定機を確実にモノにして、2-0とリードを広げた。
追いつきたい日本文理大は、大院大の倍以上のシュート数を放つなどして押し込むが、どうしてもゴールを奪うことができない。それでも終了間際の88分に、8番・山田大地の右サイドからのシュートが決まり1点差に。しかし大院大が残り時間をきっちりと守りきり、タイムアップ。“勝負どころ”に長けた大院大が初戦突破し、準々決勝に進出を決めた。
2回戦の結果、東北、中国地域代表が敗退し、ベスト8には関東、東海、関西、九州の4地域の代表が残った。
準々決勝は9月5日(水)に開催。キンチョウスタジアムでは大阪体育大学対駒澤大学、中京大学対専修大学の2試合を実施。またヤンマーフィールド長居では明治学院大学対明治大学の関東対決、鹿屋体育大学対大阪学院大学の対戦が行われる。
キックオフ時間はすべて第1試合が15:30で、第2試合が18:00。1回戦、2回戦と波乱続きの今大会。準々決勝でも予想外の展開はおきるのか。ベスト4を目指す8校の戦いに注目したい。
【試合結果詳細】
http://www.jufa.jp/news/news.php?kn=834
【フォトレポート】
○IPU・環太平洋大 対 明治大学
○明治学院大 対 東海学園大