JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
【レポート】『2018年度第42回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』準々決勝戦レポート
2018/09/06

 『2018年度第42回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』は9月5日(水)に準々決勝を迎え、ベスト4をかけて関東4、東海1、関西2、九州1の8チームが激突した。





大阪体育大学 3(2-1、EX1-0)2 駒澤大学



 ともに総理大臣杯優勝経験のあるチーム同士の東西対決。
 試合は早い時間帯に動いた。11分、大阪体育大学は9番・林大地、20番・西田恵のパスで抜け出すと、最後は28番・アフラギ マハディが決めて先制する。駒大も速い攻撃でチャンスを作り、30分には9番・高橋潤哉が10番・中野輝のフリーキックを頭で合わせて同点に。9番・高橋の2試合連続弾で、試合を振り出しに戻した。
 しかしその後、駒大はセンターバックの4番・伊勢渉が負傷。治療のためピッチ内がひとり少なくなったスキを大体大が突いた。39分、ゴール前での混線の中、大体大の20番・西田がこぼれ球を押し込んで追加点。大体大が再びリードを奪い、前半を終了した。
 後半はビハインドを負った駒大が押し込む展開となった。9番・高橋、10番・中原、11番・室町仁紀が次々と攻撃を仕掛けるが、大体大のゴール前の守備に跳ね返されてゴールネットを揺らすことができない。だが、このまま大体大が逃げ切るかと思われたアディショナルタイム、ついに壁が破られた。90+3分、9番・高橋に代わって入った18番・矢崎一輝の放ったシュートが、相手選手にあたりオウンゴールに。土壇場で駒大が大体大に追いついた。
 試合は延長戦に突入。ともに一進一退の攻防戦を繰り広げるが、次第に大体大が攻撃のリズムをつかみはじめる。すると延長戦後半の108分に、7番・浅野雄也が左サイドを突破。ゴール前に送ったパスを8番・堀内颯が受けてシュート。一度はGKに弾かれるものの、そのこぼれ球を突き刺して大体大がゴール。間もなく試合は終了し、大体大がベスト4に残った。
 大体大の松尾元太監督は「4年生がやっと決めてくれた」と8番・堀内の決勝点に笑顔を見せながらも「自分たちのやりたいことができているわけではない」と厳しい言葉。この試合については「前半は(28番の)マハディが相手の良さをつぶしてくれたが、後半は逆に相手の良さがいきる展開になった」との反省も。それでも「交代選手が結果を出して、勝ち上がっているのは大きい」とコメント。「まずはひとつ関東を倒したいと思っていたが、このあとは頂点をとって“日本一”を残したい」と準決勝に意気込んだ。





中京大学 3(3-1)1 専修大学



 2回戦で前年度優勝校の法政大学を破った東海地域唯一の生き残り、中京大学。対戦相手の専修大学は、2回戦で桃山学院大学を4-2で下すなど攻撃に勢いが出てきたところ。しかし中京大は立ち上がりから主導権を握り、次々とゴールを重ねて専修大を突き放した。
 先制点は8分。15番・市川兼伍が右サイドからゴール前に入れたボールを、混線の中で11番・東家聡樹が突き刺す。その後も攻め続ける中京大は24分、8番・大谷晃平のCKを5番・及川純平が押し込んで追加点。さらに31分、6番・青木天良からのパスを11番・東家が流し込んで3点目。専修大に攻撃らしい攻撃をさせず、中京大が3-0と大きくリードを広げる。専修大も前半終盤の43分、今大会初スタメンの18番・下田悠哉が、11番・中山克広のクロスを頭で合わせて1点を返すも、前半の反撃は1点に留まった。
 専修大はハーフタイムに7番・葛谷将平と25番・安野蓮のふたりを一気に投入。巻き返しを図るが、中京大の安定した守備を崩しきれないまま3-1で試合終了。11番・東家の2得点で勝利を収めた中京大が、10年ぶりとなる準決勝進出を決めた。





明治学院大学 1(1-1)2 明治大学



 関東勢どうしの対戦となったこの試合は、関東予選の再戦カードでもあった。関東予選の準決勝では、3-3という壮絶なゴールの奪い合いのうえ、PK戦で勝った明治学院大学が決勝に進出。都リーグ所属チームの“ジャイアントキリング”は関東大会のトピックとなった。
 そのときの雪辱に燃えるのが、前年度大会準優勝校の明治大学。立ち上がりから圧倒的な勢いで明学大ゴールを攻め立てた。しかし明学大は2回戦同様、主将でセンターバックの5番・高橋龍世、GKの1番・松田健太郎を中心に明大の攻撃を防ぐ。しかし29分、右サイドバックの12番・中村帆高からのクロスがゴール前に入ると、9番・村田航一が拾ったボールを31番・森下龍矢が合わせて明大が先制点を挙げる。しかし明学大も少しずつ明大からボールを奪い始めると、前半終盤の42分、関東予選でも活躍した17番・武田義臣がドリブルで突破。ゴール前の混線の中のこぼれ球を蹴り込んで、同点に追いつく。
 1-1で迎えた後半、明学大は21番・鳥谷部嵩也と31番・浅貝崇裕を投入。後半に勝負を懸ける明学大の必勝パターンでゴールを狙うが、逆に後半開始早々の49分に明大が追加点。18番・小柏剛からのパスを受けた31番・森下がドリブルで相手をかわすと、GKの頭上を抜くシュートで自身の2点目となる勝ち越し点をマークする。
 関東予選では、その後2度にわたる同点を許した明大だったが、同じ轍を2度は踏まなかった。1点のリードを得意とする堅い守備で守りきり、そのままタイムアップ。4年連続の準決勝進出を決めた。





鹿屋体育大学 1(0-0、PK4-5)1 大阪学院大学



 九州地区唯一の生き残り・鹿屋体育大学と、関西チャンピオン・大阪学院大学の対戦。試合は拮抗した展開のままスコアレスで折返し、後半を迎えた。
 前半、そして後半の序盤はどちらかといえば鹿屋大のペース。59分には、25番・根本凌が右サイドを突破。ファウルを受けてFKを獲得すると、これを10番・樋口雄太が直接決めて鹿屋大がまずは先手を取る。しかし「途中で相手の足が止まってきた」と大院大・藤原義三監督が振り返ったように、1回戦から戦い、2回戦も延長戦だった鹿屋大は体力が一気に下降。それを見た大院大は88番・川崎健太郎を中心に11番・杉山蒼太、そして途中出場の18番・松岡翔輝らが鹿屋大ゴール前に一気に攻め込む。しかし、鹿屋大もそれを必死に跳ね返し、試合は終盤へ。そのままタイムアップかと思われた90分に再び試合が動く。8番・川崎の右CKに、9番・井上泰斗が右足で合わせて同点に。ラストチャンスで大院大が追いつき、延長戦へと突入した。
 延長戦では、追いついた大院大が積極的に攻め込むが、追加点を奪えず勝負はPK戦へと委ねられた。3人目までは両チーム着実にPKを成功させたが、鹿屋大の4番目、7番・森川和命のキックが枠を外れてしまう。対する大院大は残り選手も全員が決め、4-5でPK戦を制した大院大がベスト4に残った。
 大院大・藤原監督は「試合開始時には大阪体育大学の結果がわからなかったから、ここで関西が2つとも負けるわけにはいかないという気持ちだけだった」とコメント。この試合では「毎試合、徹底して全員が守り切る」という大院大のサッカーをやり遂げたことに手応えを感じながらも「セットプレーからの失点は仕方ないにしても、ファウルを与える場所がよくない」との修正点も
 キャプテンの14番・三木水都が2回戦のケガでベンチ入りもできない状況の中で得たこの勝利。代わりにキャプテンマークを巻いた6番・生藤弘樹は、主将のユニフォームを掲げながらスタンドの応援団に準決勝の勝利を約束していた。






 この試合の結果、九州地域代表が敗退し、関東1、東海1、関西2の3地域の代表がベスト4に残り、準決勝戦を戦うことになった。昨年、一昨年とベスト4を独占し、4年連続で優勝している関東勢だが残っているのは明大のみ。また中京大が10年ぶりに準決勝進出をはたすなど躍進を見せた。
 準々決勝は9月7日(金)に開催。またヤンマースタジアム長居で、15:30から明治大学対大阪学院大学、18:00から中京大学対大阪体育大学の試合が行われる。

 ラストマッチ、決勝戦に駒を進めるのはどの大学か。波乱含みの今大会だけに、準決勝でも何かが起こる可能性は高い。最後まで目が離せない試合が続きそうだ。

【試合結果詳細】
  http://www.jufa.jp/news/news.php?kn=837

【フォトレポート】
  ○大阪体育大 対 駒澤大

  ○中京大 対 専修大

  ○明治学院大 対 明治大

  ○鹿屋体育大 対 大阪学院大