JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
【レポート】『2018年度第42回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』準決勝戦レポート
2018/09/08

 ここ2大会は、関東地域の代表が独占していたベスト4。しかし、今大会では関東、東海、関西と多くの地域の代表が準決勝に進出。優勝経験のある大阪体育大学や明治大学が残った一方、初優勝を狙う中京大学、勝てば初の決勝進出となる大阪学院大学など、多彩な顔ぶれが決勝進出をかけて火花を散らした。




明治大学 3(1-0)0 大阪学院大学



 初の決勝進出を目指す大阪学院大学は、ケガで準決勝はベンチ外だった主将の14番・三木水都が復帰。対する明治大学は、ここまで3ゴールの31番・森下龍矢、1ゴール2アシストの18番・小柏剛という好調ふたりをベンチに置いてのスタートとなった。
 試合は立ち上がりから明大が主導権を握る展開となった。「明大らしい、ハイプレスをかけてビルドアップと縦への推進力を強めて、切り替えの速く球際の強いサッカーをしようと入った」という栗田大輔監督の言葉どおり、たびたびゴール前でチャンスを作るが、なかなかゴールにはいたらない。20分過ぎには、大院大も14番・三木を起点に7番・和田幸之佑、11番・杉山蒼太らが攻撃を仕掛けるが、明大も中盤からの厳しい寄せでこれに対応。29分には、8番・渡辺悠雅が右からサイドチェンジの浮き玉のパス。それを今大会初スタメンの14番・中村健人が収め、上げたクロスに6番・安部柊斗が頭で合わせて明大が先制する。
 1-0の明大リードで迎えた後半も、依然として明大ペース。しかし、大院大の粘り強い守備に、なかなか追加点が奪えない。だが「大院大はこの2試合、後半の60分ごろ以降に失点をしている」と睨んだ明大・栗田監督は「残り30分に勝負をするつもりだった」。60分に18番・小柏、63分に31番・森下、69分に11番・佐藤を立て続けに投入。前戦でPK戦まで戦った大院大に揺さぶりをかける。大院大もハーフタイムに18番・松岡翔輝を送り出し、80分に20番・伊集院雷、22番・尾野匡祐を投入するが、試合の流れを変えることはできない。逆に84分には、5番・袴田裕太郎からのスルーパスをキープした18番・小柏がドリブルで突破。「相手がスライディングでシュートブロックにきているのはわかっていたから」と、すばやく右足を振り抜きゴール左スミにシュートを突き刺し追加点。さらにアディショナルタイムに突入した90+2分には、「(左サイドバックの5番)袴田さんからいいボールがきたから勝負するだけだった」というボールをゴールに叩き込み、大院大を突き放す。「全日本選抜に選ばれて自信がついた」(栗田監督)と指揮官も評価する2年生が試合を決定づける2ゴールを挙げ、3-0とリードを広げてタイムアップ。明大が4年連続となる決勝進出を決めた。
 だが、4年連続の決勝進出のうち優勝したのは一度きり。それだけに選手たちには悔しい思いのほうが強い。「今年の4年生は勝ちも負けもすべて経験している」と栗田監督。その歓喜と悔しさの経験を、決勝戦にぶつけて昨年の雪辱を果たす。





中京大学 1(0-1)2 大阪体育大学



 勝てば10年ぶり、2度目の決勝進出となる中京大学は、7年ぶりの決勝進出・優勝を狙う大阪体育大学と対戦。中京大は10番・藤島樹騎也が今大会初スタメン。対する大体大は「準々決勝の駒澤大学と中京大学は戦い方が違う。それをメッセージとして伝えるため」(大体大・松尾元太監督)に5人の選手を入れ替えて試合に臨んだ。
 中京大はベスト4に残った中で、唯一シード校ではないチーム。1回戦からの連戦で体力的な問題があるかと思われたが、立ち上がりは中京大が攻撃のリズムをつかんだ。「前半は気持ちのゆるさがあって押し込まれてしまった」(6番・平田健人)と苦戦を強いられた大体大だったが、「ボールを保持されるのは、いつものこと」と松尾監督。高さのあるセンターバックコンビが押さえ込んで中京大にゴールを許さず、「前半は0でしのいで、後半ワンチャンスをモノにできれば」(4番・菊池流帆)との狙いもあった。そんな大体大のうれしい“誤算”が起こったのは前半アディショナルタイムの45+1分。3番・小川明のロングスローを4番・菊池が競り落とし、最後は13番・古城優が左足を振り抜きゴール。前半終了間際に大体大が先制点を挙げる。
 後半に入ると、建て直しを図った大体大が主導権を握り52分に追加点。大院大のGK、1番・立川小太郎のロングキックを、13番・古城がヘディングでつなぐと、DFの裏に抜けた11番・大田賢生がGKをかわしてシュート。リードを2点に広げた。準々決勝戦では延長後半残り5分からの出場ながら勝利に貢献した11番・大田が、この試合でも結果を出した。
 中京大もサイドから攻撃の起点をつくり、74分には7番・大城佑斗がペナルティエリアに切り込んだところを倒されてペナルティーキックを獲得。これを7番・大城自身が決めて1点差まで追いつくが、反撃はここまで。大体大が1点差を守りきり、7年ぶりの決勝進出を決めた。
 「この3試合、楽な試合はひとつもなかった」と、大体大・松尾監督。この試合も「技術的には相手のほうが上だった」とコメント。6番・平田も「チーム的にいえば、決していいゲームとはいえない」と認めながらも「トーナメントでは勝つこと大切」という意識は共有している。「次も総力戦になるだろう」(松尾監督)という決勝戦を戦い抜き、関西に3年ぶりの優勝杯を持ち帰りたい。






 決勝戦は7年ぶり4回目の優勝を目指す大阪体育大学と、2年ぶり2回目のタイトルを狙う明治大学の“東西対決”となった。過去に決勝進出は5回、うち3回を優勝している大体大だが決勝で敗れたのは最初の2回のみ。最近の3回はすべて優勝するなど、決勝戦での勝負強さには定評がある。一方、4年連続5回目の決勝進出となった明大は、過去4回の通算成績は1勝3敗と分が悪い。はたして、数字どおりの展開で大体大が有利となるのか、それとも明大が新たな歴史を開くのか。

 「関西代表として負けられない」(大体大・菊池)。
 「去年は何もできないまま負けた。今年は結果を出したい」(明大・小柏)。

 両者一歩も譲れない戦いの幕は、9月9日(日)18時からキンチョウスタジアムで切り落とされる。

【試合結果詳細】
  http://www.jufa.jp/news/news.php?kn=841

【フォトレポート】
  ○明治大 対 大阪学院大

  ○中京大 対 大阪体育大