JUFA 全日本大学サッカー連盟

全日本大学選抜
『第30回ユニバーシアード競技大会(2019/ナポリ)』第1戦(vsアルゼンチン)マッチレポート(選手コメント)
2019/07/06

 ついに、サッカー競技としては最後のユニバーシアードとなる『第30回ユニバーシアード競技大会(2019/ナポリ)』が7月2日から始まった。今大会は12チームを3チームずつの4グループに分ける変則的な組分けとなったため、日本の初戦は“第2戦”に相当する5日に行われることになった。対戦相手のアルゼンチンは、すでにロシアと対戦して0-2で敗れているため、この試合に勝てなければノックアウトステージに進むことができない。“負けられない”アルゼンチンと初戦の固さのある日本。そんな状況の中、試合はイエロカードが飛び交う、荒れた雰囲気の中で進められた。




 立ち上がりから主導権を握ったのは日本。開始早々の4分にはボランチの明本考浩がミドルシュートを放つが、これはポストを直撃。まずはアルゼンチンに名刺代わりの一撃を浴びせかける。以降も紺野和也と山原怜音の右サイドのホットラインから何度となく攻撃を仕掛け、20分には上田綺世がゴール前に抜け出すなど多数のチャンスを演出するも、アルゼンチンのラフなプレーに苦戦し、なかなかゴールを割ることができない。逆に30分にはペナルティエリア内で倒された上田がシミュレーションでイエローカード。42分には主将の旗手怜央が相手選手を倒して警告を受けるなど、少しずつ浮足だっった雰囲気になる。それでも日本は「今日はFWでもボランチでもない、相手にとって嫌な位置にいるよう意識した」という旗手がフリーポジションで相手を撹乱し、少しずつ試合を落ち着かせて自身もゴールを狙う。

 しかし、両チームゴールを決めきれないままアディショナルタイムに突入。このまま前半が終わるかと思われた45+1分に、ついに試合が動いた。中盤から出たパスに旗手が反応。しかし「パスが少し強かったのでシュートは打てない」と判断。「なんとなく中に上田選手がいると思っていたので」と逆サイドに浮き玉のパスを送ると、その読みどおりに上田が頭で合わせて先制点を決める。



 前半終了間際の先制点で固さの取れた日本は、後半、さらに攻撃のギアをあげて両サイドから果敢に攻め込む。すると56分、日本はフリーキックを獲得。「少し距離のある、自分としては得意な位置からのフリーキック」を上田が直接決め、日本が2-0とリードを広げる。日本はその後もサイドを起点に攻撃を仕掛け、右サイドの紺野、左サイドの森下龍矢が躍動。特に紺野がボールをもつと会場が沸き、紺野がピッチを去るときには、会場から大きな拍手が送られた。


 76分には、紺野と交代で入った金子拓郎選手が出場早々にゴールを決めるが、これはオフサイド。79分には、上田と代わって入った林大地選手が、GKのこぼれ球に詰めて得点するも、こちらはハンドの判定でまたもやノーゴールに。なかなか3点目が奪うことができない。その後も林のほか小柏剛、角田涼太朗といった交代出場の選手がチャンスを作るが、追加点までいたらず試合はアディショナルタイムに突入。すると90+3分に林選手が放ったシュートが相手DFにあたってオウンゴールに。最後にダメ押しの3点目を決めた日本がアルゼンチンを3-0で下し、完封勝利。難しい初戦を快勝で終え、早々にファーストラウンド突破を決めた。

 日本は2日の7月7日、18時(日本時間翌8日深夜1時)より、ファーストラウンド首位突破を懸けてロシアと対戦する。



旗手怜央(4年・FW・順天堂大)



まずは勝つということが前提で臨んだ試合でした。初戦ということで固さ見える中、前半の終了間際には自分たちが理想としているサイドから中に合わせるという形でゴールできたのはよかった。後半はみんなの緊張も解けてきて、伸び伸びとプレーができました。もう少し点がとれたとは思うのですが、初戦ですし。いい形で試合を終えることができたとは思います。

 1点目については(山本)悠樹がボールをもったとき、パスが出るというのは感じていました。ただ少しパスが強くてシュートは打てなかった。その時になんとなく「(上田)綺世が中にいる」と思ったので、速いボールというよりは浮き玉をファーに送りました。綺世の姿が見えたわけではなかったんですけど、綺世はファーに動くことが多いのを日頃から見ていたので。
とっさに下した判断がゴールにつながってよかったです

 今日は4-4-2の布陣でしたが、自分のポジションは相手を見て動かないといけないと思っていました。だからボランチでもFWでもない、相手にとっては嫌な位置を意識してプレーしました。今日の試合は日本にとって初戦だということに加え、相手が南米というのもあるし、なかなか難しい展開になったことは確かです。ただ、自分は主将としてチームを落ち着かせないといけない。また前回大会も、世代別代表も経験しているのだから、そういう部分は求められていると思っています。


上田綺世(3年・FW・法政大)



相手はマンツーマンで自分についてきたので、前半は相手の癖の観察を含めて隙を狙っていました。絶対に隙はあると思っていたし、1点目は旗手選手からいいボールがきたので決めるだけでした。コパ・アメリカでチームの合流が遅れましたが、ずっとやってきたチームなので問題はありませんでした。自分の中ではコパ・アメリカとこの大会をつなげるつもりはなく、今はこのナポリで、大学生のチームとしてユニバーシアードで優勝することを大切に考えています。コパでストライカーとしての自分を見失ったわけでもなければ、今日のゴールで取替したわけでもない。この大会はこの大会としてがんばるだけ。そういうこを気にするより、まずはこのチームで優勝を狙いたい。

ただ、コパ・アメリカで感じたこと、あの雰囲気とスピード、感覚を味わったことからこそこの試合で活躍できた部分はあると思っています。


林大地(4年・FW・大阪体育大)



自分はベンチスタートでしたが、試合に出たら得点という形でチームに貢献したいと準備をしていました。チャンスはあったので、もう少し前の時間帯に得点を決められたらもっとよかったのですが……。試合前からスタートメンバー、ベンチメンバー変わりなく声が出ていて、雰囲気も非常によかったと思います。


田中駿汰(4年・FW・大阪体育大)



――昨日の試合の感想を。
 固さがあって、前半は全然うまくいかずに、でもハーフタイムは自分たちで話し合って。後半はうまくいかなかったところが修正できたので。自分たちで修正をするということは、試合をやってく中で大事なことなので。それができたことはよかったと思います。

――前半はかなり前につけてプレーしていました。
 スペースがあったので。センターバックが持ち上がって前にボールを供給するというは試合中に前の選手からも要求されていました。それは意識していました。

――アルゼンチンはどういう相手でした?
 前線に2枚大きな選手がいて、そこにボールを放りこんでくるチーム。それはミーティングの時にも言われていて、その部分はチャレンジ&カバーで対応できていたと思います。

――前半は少し荒れた展開になってしまいましたが、相手のラフなところは感じましたか?

 そうですね。でもそれは想定内でした。相手も負けたら終わりという状況で、ガツガツくるのはわかっていたので。冷静にやろうといいつつ、こちらもイエローとか出てしまいましたが(笑)。

――トゥーロン国際大会での経験が今回にフィードバックされた部分は?
 余裕がもてるようになったというか。今大会でも、そんなに焦らずにプレーできているので。特に決勝、ブラジル戦での経験が今に活きていると思います。ブラジルはうまいし強かった。

――この大会で目標とする収穫は?
 まずは自分のポジションとしては守備。無失点で終えるということを目標にしています。そのうえでプラスアルファ、攻撃につなげていくことを意識したい。それができれば、札幌でJリーグの試合に出ることがあっても活きてくると思います。でも、まずは無失点で終えること。それが僕の目標です。


森下龍矢(4年・MF・明治大)


――昨日の試合を振り返って。
 一番の収穫は0で抑えられたということ。初戦が難しくなることはわかっていたので、手堅くいけたことは自分たちにとっての収穫だと思います。

――サイドバックでの出場でしたが。
 代表に選ばれたときから、サイドバックでいくかもしれないということは言われていました。そこは準備していました。明治大学でもウイングバックをやっていたから、攻撃も守備も対応できる。だから、その点での問題はありませんでした。

――ただ、明大の場合は3バック、昨日の試合では4バックという違いがありました。
 こちらにきて、ブラジル代表と練習試合をしたときは、明大の3バックのウイングくらい高い位置をとってしまっていました。リスク管理という意味ですごく甘かったんですね。でもその練習試合の分析をして修正をした結果、サイドバックらしい感じにはなっていたかと思います(笑)。

――これまでならクロスを上げるような場面でも、昨日は自らシュートに持ち込むシーンも目立ちました。
 それは相当意識していますね。山原(怜音)に比べると、自分のクロスは少し劣ると思うんです。そう考えると、自分はシュートを打ち切ることまでできるサイドバックというところが、(中村)帆高や山原とは違うところだと思っているので。守備だからそこを甘くするのではなく、自分の長所を出せたらと思ってプレーしました。

――では、先日の試合は割と満足のいく内容だった?
 守備については、特に今シーズンいちばんよかったのではないかな、と思います。

――荒いプレーも多い相手でしたが。
 明大にも常本(佳吾)みたいな選手がいるので(笑)。そういう選手を見ながら学んだり、盗んだものを昨日の試合では出せたと思います。

――明大は天皇杯も残念でした。
 マジでくやしいです。僕が出ても同じ結果だったとは思うのですが、あの結果を他人事にはしたくない。やはりオール明治なので。僕自身の課題でもあると思ったから。それをナポリでぶつけようというモチベーションで、今大会には臨んでいます。世界一はマスト。そのうえで、何を持って帰れるか、ということを意識してやっています。

【試合結果詳細】
http://www.jufa.jp/news/news.php?kn=957

【フォトレポート】 https://photos.app.goo.gl/przzi3Vxm7Ssxg4s7