JUFA 全日本大学サッカー連盟

全日本大学選抜
『第30回ユニバーシアード競技大会(2019/ナポリ)』準々決勝戦(vs韓国)マッチレポート(監督、選手コメント)
2019/07/11

 前回大会に続く二連覇、7度目の優勝を目指すユニバーシアード日本代表の前に立ちはだかったのは、永遠のライバル・韓国。3月に韓国で行われた『DENSO CUP SOCCER 大学日韓(韓日)定期戦では、先制しながらも逆転負けを喫した。その試合で先制点を挙げたキャプテンの旗手怜央は「2度、同じ相手に負けるわけにはいかない」と、強い気持ちでこの準々決勝に臨んだ。



 試合は立ち上がりから日本が主導権を握る展開となった。三笘薫、紺野和也、そして両サイドバックの中村帆高、森下龍矢らを中心としたサイドからの突破で、たびたびチャンスを演出。そんな日本に対し、韓国は守りを固めて日本の攻撃を跳ね返す。“日韓戦”らしいラフなプレーが続く中、時折り韓国がカウンターから攻撃を仕掛けるものの、試合は日本優位のまま進んだ。23分には、森下、三笘とつないで旗手がシュート。しかしこれはGKに防がれてゴールならず。40分の紺野が右サイドからカットイン。そのまま左足を振り抜くがシュートはバーの上。また前半終了間際には、旗手が振り向きざまのシュートを放つが、こちらもわずかにゴール左に逸れて、得点にはつながらない。「日韓戦は戦術とは別の、局面での戦いが勝負を決める」(松本直也監督)との言葉どおり、日本は攻め込みながらも決めきれず、0-0で試合を折り返した。



 「後半は、相手が前からくるのはわかっていた」(旗手)との予測どおり、後半は少しずつ韓国がボールを奪う時間が増え、日本が守備に回る場面も。しかし「前半は少し中盤が間延びしていたので、リスクはあるが前につけて中盤をコンパクトにした」というボランチ・山本悠樹らのプレーが功を奏し、再び日本が韓国のゴールに押し込む展開に。そんな中、三笘、上田綺世がゴールを決めるも、これはいずれもオフサイドでノーゴールに。たびたびの決定機も枠をとらえきれず、無得点のまま時間だけがすぎる。それでも78分には三笘、旗手、山本の3人によるコンビネーションからゴール前を崩すも、三笘のシュートはゴール右外に。どうしてもゴールを割ることができない。

 3試合連続スタメン出場の旗手は疲れが見え始め、ベンチは小柏剛を投入する準備を始める。「小柏が交代の準備をしているのは見えていた。たぶん下がるのは自分だとわかっていたので、最後の最後に点を決めてやろうとは思った」(旗手)。そんな旗手にチャンスが訪れたのは79分。右サイドの中村からセンターバックの田中駿汰に戻されたボールを、田中は山本に展開。山本からボールを受けた三笘は「怜央が斜めに入ってくるのはわかっていた」と旗手へとラストパスを送る。それを「ゴールは見えなかったが、ニア上なら相手が取れないと思って」感覚だけで押し込む。「気持ちで押し込んだゴール」がついに韓国のゴールネットを揺らし、日本が先制点を挙げる。



 ゴール後、旗手はすぐに小柏と交代。ピッチに送り出された小柏は、得意のスピードで韓国守備陣を翻弄する。87分にはゴール前に抜け出すと、三笘からのパスをそのままゴールに突き刺し追加点。試合を決定づける2点目を挙げる。アディショナルタイムには韓国にゴール前へと攻め込まれるが、交代したばかりの角田涼太朗が好判断でこれをクリアー。ほどなくタイムアップの笛がなり、終盤に2得点を挙げた日本が完封勝利で春のリベンジを果たしてベスト4進出を決めた。



 準決勝は7月11日(木)、Stadio Arechiで21:00(現地時間、日本時間7/12 04:00)キックオフ予定。日本は開催国で前々回大会優勝のイタリアと対戦する。イタリアとはこの3大会連続で対戦し、勝敗は1勝1敗。遡れば2003年、2005年には決勝戦で、2007年には準々決勝、2009年には準決勝で対戦するなど、何度となく熱戦を繰り広げてきた相手だ。「完全アウェーだとは思うが、自分たちのサッカーで勝ちたい」。次なるライバルを前に、旗手はそう準決勝戦に向けて意気込んだ。


松本直也監督



 今日は本当によくやってくれました。3月の日韓定期戦の試合映像を見せて、球際のところをしっかりすること、無駄なファウルをしないということは意識させました。日韓戦は戦術以上の、局面での戦いが勝負を決めるのですが、そこで負けていなかったのが大きかったと思います。今日は前半の立ち上がりから集中して入り、チャンスを何度も作れていました。守備も全員でしっかりやってくれたというのが大きいですね。本当は、もう少し早くに点が入っていたら楽な試合になったと思いますが、そこは日韓戦ですからね。
オフサイドなどもあって、うまくいかなかった。
 (旗手)怜央は3試合連続出場でだいぶ疲れていたので、そろそろ交代だと思っていたところ、最後の最後に仕事をしてくれて。さすがキャプテンだと思いました。(小柏)剛の2点目もよかった。サブのメンバーも短い時間でしっかり結果を出してくれたのが大きかったと思います。
 韓国に勝って、開催国のイタリアに勝って優勝するというのは、当初に描いていたシナリオどおりの展開です。ですから今日の試合に出たメンバー、サブメンバーも含めた20名がまたしっかりと準備して、次も絶対に勝って決勝に進みたいと思います。


旗手怜央(FW・4年・順天堂大)



 (三笘)薫からパスがきたときには、シュートコースがなかったのですが、ニア上を狙えば取れないかな、と思って。ゴールは見えていませんでしたが、感覚で。あとは気持ちで押し込みました。薫からああいうパスがきてシュートを打つのは得意な形。それでゴールができたのはよかったです。
 韓国には今年の3月に日韓定期戦で負けていたので、負けたくない、勝つしかないと思っていました。それを選手全員で共有できた。同じ相手に2度負けたくないし、世界大会で勝てばこちらの勝ちだとも思っていました。それが実現できて本当によかったと思います。
 ただ、韓国もゴール前で体を張った守りをしていたので、簡単に点が入らないだろうな、とは思っていました。それでもチームとしてしっかり我慢をすること、後ろの選手が体をはってくれていたのは本当に大きいと思います。
 今のチームは選手たちが自分の力を発揮していて、個々の特色がチーム全体としてまとまっていると思います。次の準決勝は開催国のイタリアが相手で、日本にとってはアウェーになるとは思いますが、自分たちのサッカーそして勝ちたいと思います。


三笘薫(MF・4年・筑波大)



 タフな試合でしたけど、勝つことが大事だったので、僅差でも勝ててよかったと思います。(旗手)怜央の動きはいつも見ているし、あそこで彼が斜めにくるのはわかっていました。それでもやはり、彼があそこからシュートを決めてくれて感謝しています。
 日韓戦は球際で負けないこと、そして相手のセットプレーが脅威だったので、それを与えないといことを意識していました。少しファウルが多くなったのは反省点でしたが、しっかりと自分たちプレーをできたのは評価できる点かな、と思います。
 得点シーンについては、時間的に相手も疲れていたし、間、間でボールを受ければチャンスは作れると思っていました。もちろん、その前に僕が決定機を作れていればもっと楽だったとは思いますが、そこに至るまでの過程があってからこそのゴールだと思っています。
 プレーについては、ようやく息が合ってきたというか、自分のプレーや距離感が周りにわかってきてもらえてきたような気がします。今日はサイドからの自分の仕掛けの面で特長が出せたので、そこはチームメイトに感謝したいです。
 前回も今回も優勝がノルマだと思っています。前回のチームや雰囲気を知っている、特にチームを引っ張っていくことが求められていると思うので、そこは怜央と一緒に担っていきたいと思っています。


小柏剛(FW・3年・明治大)



ワンチャンスはあると思っていました。ボールが自分のところにきたときは、すぐにゴールを見て振り抜きました。それが得点につながってよかったです。準決勝のイタリア戦でもどんどんシュートを打って、自分の得点でチームの勝利に貢献したいです。


阿部航斗(GK・4年・筑波大)



 枠内シュート自体はあまりなかったので、自分が無失点に抑えたというよりは、フィールドの選手のおかげで抑えられたのだとは思います。やる前から相手のカウンターはわかっていたのですが、実際に試合になったら、思っていた以上に圧力があって。ちょっとピンチになるシーンはあったけれど、結果的にゼロだったのでよかったと思います。
 アルゼンチン戦もそうでしたが、自分たちが攻撃をしたり、ボールを保持する時間が多いので、守備の機会が少ない。それが難しい部分でもありますが、90分を通して集中力を切らせないというのが、2試合とも無失点で負えられた要因ではないかと思っています。
 今シーズン、試合の流れでもPKについては、練習試合も含めて3本くらい止めているのですが、PK戦ではあまり止めていないので……やはりPK戦までいかずに試合を決めるのが一番だとは思っています。
 プレー面でいえば、シュートレンジというか。自分が予想していな部分からでも足を振ってくる、シュートされることが多いので、そういうところはいい教訓になっていると思います。ピッチ外では、いろんなトラブルやアクシデントがあっても、高いパフォーマンスを示さなければならないという難しさもあるので。そういう意味では3試合、3連勝できているので、あと2試合続けていきたいと思います。


山本悠樹(MF・4年・関西学院大)



 日韓戦は初めてでしたが、球際が強いというのはわかっていたので。あとはセットプレーをもらわれるというのは、自分たちにとっていちばんイヤな展開だったので、できる限りをそれを避けようと思いました。ただ、相手にそれほど技術があるとは感じなかったので、自分たちのストロングがしっかり出せればチャンスは作れると思いました。
 ゴールシーンは、(旗手)怜央にそのまま出すという判断もあったとは思うのですが、真ん中(の守備)が固いと思ったのと(三笘)薫が見えたので。薫のところから仕掛けてもらおうと。最終的には怜央がいきましたが、自分もああいう形で入っていけたらとは思っていたので。
 この大会では、走ることがとても多くなった。自分みたいなプレーヤーは運動量が必要になると思うし、あとは走る量と質と。目に見える結果としてはまだまだ物足りないとは思うので、得点とアシストにこだわっていきたいと思います。