ベスト8が出揃った『2019年度 第43回 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント』。9月3日(火)にはベスト4をかけた準々決勝戦が行われ、関東4、関西3、九州1の8チームが激突した。
2年ぶりの出場となった関西大と、九州代表唯一の生き残り・福岡大の試合は、拮抗した展開のままスコアレスで前半を終了。後半に入り、先に動いたのは福岡大だった。55分、コーナーキックを得た福岡大は、6番・河原創のキックに10番・梅田魁人が頭で合わせて先制点を挙げる。しかし関西大もその2分後の57分、19番・松本歩夢の突破から、4番・奥野圭亮がつなぎ最後は15番・福原涼太が決めて、すぐさま同点に追いつく。その後は関西大が優勢に試合を進めながらも、福岡大の粘り強い守備を崩しきれず90分が終了。試合は延長戦に突入した。
再びスコアが動いたのは、延長戦開始直後の91分。後半の終盤に交代出場した関西大の27番・宮脇和輝が、右サイドバックの2番・坂口貴哉からのパスを蹴り込んでゴールネットを揺らす。逆転に成功した関西大は、延長戦後半の103分にも27番・宮脇がこぼれ球に詰めて試合を決定づける3点目。延長戦までもつれこんだ試合は、27番・宮脇の2ゴールで福岡大を突き放した関西大が、3-1で勝利を収めた。
昨年度王者・明治大と、関東第6代表・順天堂大の関東対決。準々決勝唯一の同地域対決となったこの試合は、順大が王者を追い詰めながらも、明大がその試合巧者ぶりで1点を守り切る展開となった。
ともによく知る相手との対戦とあって、試合は序盤から拮抗した展開となった。激しい球際の攻防戦を繰り広げる中、41分には明大のDF、12番・常本佳吾がロングボールを前線に入れる。するとこれをFC東京内定の2番・中村帆高がトラップして収め、細かいタッチで相手DFをかわすと左足でシュート。「攻守の切り替えのところにチャンスがあると思って意識していた」という2番・中村が、狙いどおりの鮮やかなカウンターから先制点を挙げる。明大は前半終了間際にDFの3番・佐藤瑶大が負傷交代するなど、アクシデントに見舞われながらも1点リードで試合を折り返した。
「後半、順大が前に来るのはわかっていた」(明大・栗田大輔監督)との言葉通り、後半は立ち上がりから順大が積極的に攻撃を仕掛ける。約1ケ月前には、前期リーグの最終戦で対戦していた両チーム。そのときは2-0で明大が完勝したが、選手たちは「あの試合とはまるで違う。順大は相当修正してきた」と口を揃える。早めの交代で前線を活性化する順大に対し、明大もFC東京内定の9番・安部柊斗、サガン鳥栖内定の8番・森下龍矢、10番・小柏剛らを次々と投入。「守備のギアをあげるとともに、ゴールを狙いにいこうとした」(栗田監督)という交代だったが、決定的なシーンは作れないまま。逆に88分にはGKの1番・早川友基がこぼれ球を詰められ、明大は絶体絶命のピンチに。しかしこれは13番・蓮川雄大が寸前のところでヘディングでクリアーし、順大は同点弾ならず。厳しいプレスと激しい球際での攻防戦を繰り広げた90分は、明大が先制点を守りきってタイムアップ。明大が関東対決を制し、5年連続のベスト4進出を決めた。準決勝の相手は、定期戦の"明関戦"で毎年対戦している関西大。今年の7月にも対戦し、そのときは3-2で明大が勝利している。栗田監督は「攻撃の時のボールの動かし方、背後への抜け出し方などが非常に細やか」と相手を警戒しながらも「歴史のある対戦。独特な雰囲気になると思う」と次戦を向けて意気込んだ。
初出場ながらベスト8進出をはたした立正大と、昨年度準優勝の雪辱を期する大阪体育大。初顔合わせとなった対戦は、双方突破口を見い出せないまま無得点で試合を折り返した。後半に入っても、しばらくは立正大がボールを保持する時間帯が続いたが、大体大は61分に9番・アフラギマハディ、20番・岩切拳心のふたりを一気に投入。「ふたりを入れるタイミングが勝負どころだった」(大体大・松尾元太監督)との言葉どおり、試合の流れは次第に大体大へ。すると79分、大体大は鮮やかなカウンターからサガン鳥栖内定の10番・林大地がゴール前に抜け出すと、これを立正大の5番・中塩大貴がファウルで阻止。大体大がペナルティーキックを獲得する。このチャンスに10番・林自身がゴール右上に決めて、大体大が待望の先制点を挙げる。
立正大も9番・小川大智らを投入して巻き返しを狙うが、大体大の固い守備に阻まれてゴールならず、0-1のままタイムアップ。「前半は相手にボールをもたれてもいいと思っていた」(松尾監督)という大体大が、2回戦同様後半の勝負どころを逃さず2年連続となるベスト4に進出。松尾監督は「縦に速く、攻撃力のある相手に対して、よくゼロに抑えられた」と振り返り、「守備は戦術的によくがんばった。守備力で勝ったと思う」と勝因を語った。
一昨年度の王者・法政大と関西チャンピオン・びわこ成蹊スポーツ大の対戦は、思わぬ大差がつく結果となった。立ち上がりから試合の主導権を握った法大は9分、右サイドバックの23番・関口正大が上げたクロスに9番・松澤彰が右足で合わせて先制。その後も法大が優勢にゲームを運び、22分には14番・森俊貴のシュートのこぼれ球を、再び9番・松澤が詰めて2-0に。さらには31分、25番・田部井涼からの右コーナーキックを、2番・森岡陸が頭で合わせて3点目。法大は前半だけで3点のリードを奪い、試合を折り返した。
3点という大きなビハインドを負ったびわこ大は、ハーフタイムに14番・千川原慎、22番・泉柊椰のふたりを同時に投入。巻き返しを図るが、法大から主導権を奪うことができない。法大は63分、交代したばかりの20番・佐藤大樹が2試合連続となるゴールで4点目をマーク。70分にはびわこ大の19番・小畑翔太郎に1点を返されるものの、77分には途中出場の30番・飯島陸が、20番・佐藤のパスに右足を振り抜き5点目を決めて勝負あり。30番・飯島は79分にもヘディングシュートでダメ押しの6点目を挙げ、リードを5点差に広げる。試合は6-1で法大がびわこ大に圧勝。法大がシュート25本を放ったのに対し、びわこ大は3本と、スコア・内容ともに圧倒する展開で、法大が準決勝に駒を進めた。
準々決勝戦の結果、九州地域代表が敗退し、関東2、関西2の4チームのベスト4進出が決定した。 準決勝戦は9月5日(木)にヤンマーフィールド長居で開催。15:30からの第1試合は、昨年決勝戦で敗れた雪辱を誓う大阪体育大と、一昨年王者・法政大が対戦。18:00からの第2試合は、連覇を狙う昨年度王者・明治大が関西の雄・関西大との“明関戦”を戦う。準決勝に残った4チームは、いずれも2000年以降に優勝経験のある強豪ばかり。はたしてその中で、ファイナリストに名乗りを上げるのはどのチームか。