JUFA 全日本大学サッカー連盟

総理大臣杯
『2024年度 第48回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』2回戦マッチレポート
2024/09/10


 夏の大学日本一を決める全国大会『2024度 第48回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』の2回戦8試合が、9月6日(金)に宮城県、岩手県の2地域4会場で行われた。


 2回戦へと駒を進めたのは、関東8チーム、北信越2チーム、東海2チーム、関西2チーム、中国1チーム、九州1チームの計16チーム。2回戦では関東4チームと関西2チームは同地域対決となった。


 "関東対決"の2試合では、奇しくも関東2部リーグ所属の3チームすべてが含まれる形に。筑波大学と神奈川大学の1部2部対決では筑波大がPK戦で辛勝。一方、2部同士の"早慶戦"では早稲田大学が慶應義塾大学に勝利し、2部の神大と慶大は2回戦で姿を消した。


 また関西対決では、阪南大学が大逆転劇で昨年度インカレ準優勝を下して準々決勝に進出。新潟医療福祉大学と常葉大学の"東海・北信越対決"は、新医大が大量5得点を挙げて3大会連続のベスト8入りを決めた。

 残る4試合は関東勢と地方チームの対戦となったが、北信越地区第2代表の松本大学が、一昨年優勝チームの国士舘大学相手に大金星を挙げ、史上初のベスト8入り。その他の3試合はすべて関東勢が勝利を収めた。


 この結果、ベスト8に残ったのは関東5チーム、北信越2チーム、そして関西の1チームとなった。特筆すべきは北信越が無傷で2チーム残っていることだろう。初の準々決勝進出となった東京国際大、松本大以外の5チームはすべてベスト4入りの経験を持つチームばかり。ある意味"順当勝ち"といっていいだろう。

 準々決勝では、どちらも本大会優勝経験のある阪南大学と明治大学の"東西対決"、そしてともに勝てば初のベスト4入りとなる松本大と東京国際大の対戦が注目される。また本大会では初の対戦となる新潟医療福祉大学と日本大学、関東1部・2部対決となる筑波大学と早稲田大学の試合も見逃せない。


 準決勝4試合は、9月9日(月)にセイホクパーク石巻フットボール場、いわぎんスタジアムBで開催される。



2回戦 全結果・トーナメント表







マッチレポート




京都産業大学 3(2-1)4 阪南大学 @いわぎんスタジアムB

 関西地区代表としての生き残りを懸けた"関西対決"。京都産業大学(関西地区第2代表)と阪南大学(関西地区第6代表)の試合は、同地区対決らしい接戦となった。まずは開始早々の4分、1回戦でハットトリックを達成した金本毅騎のゴールで阪南大が先制。しかし京産大も21分、田代紘が目の覚めるようなミドルシュートを決めて同点に追いつく。京産大は前半終了間際の45+2分、城水晃太の右からのクロスに中田樹音が頭で合わせて逆転に成功。2-1で前半を終了する。

 逆転を許した阪南大は、後半の頭から三好麟大と松井匠の2人を同時に投入。また後半開始すぐの52分に池田陸、61分には森村俊太をピッチに送り出すなど、早めの選手交代で試合の流れを変えようとする。しかし、次の追加点は京産大に。61分、中田がハーフウェイライン近くで放ったロングシュートは、GKの頭上を越えてそのままゴールへ。京産大が3-1とリードを広げた。だがここから阪南大が逆襲を開始する。その7分後の68分、阪南大は左サイドを突破した森村俊太のグラウンダーのクロスを三好が合わせて1点差に詰め寄ると、79分には三好のスルーパスに反応した中田有祐がシュートを突き刺して3-3に。ついに試合を振り出しに戻した。阪南大の勢いは止まらず、83分にはやはり三好のスルーパスを受けた松井がゴール左隅にシュートを決めて3-4に。三好が1ゴール2アシスト、そして後半の3得点すべてに交代選手が絡むなど、交代起用がピタリと的中。阪南大が接戦を制して関西対決に勝利し、6大会ぶりとなるベスト8進出を決めた。



広島大学 2(2-1)4 明治大学 @いわぎんスタジアムB

 昨年度のインカレ王者・明治大学(関東地区第1代表)は中国地区唯一の生き残り・広島大学(中国地区第2代表)に苦しめられた。開始早々の4分、ミドルシュートのこぼれ球を真鍋隼虎が頭で押し込み、幸先のよいスタートを切った明大だったが、32分に広島大・入江大雅に前線への突破を許し失点。同点に追いついた広島大はその4分後にも、瀬口廉太郎が鮮やかなミドルシュートを決めて追加点を挙げる。広島大が逆転に成功し、2-1とリードして試合を折り返した。

 1点のビハインドを負った明大は64分、桒原陸人のクロスに宇水聖凌が頭で合わせて同点に追いつく。するとその直後の65分、明大は得点者の真鍋、宇水、そして小林亮太の3人を下げて藤森颯太、中村草太、林晴己を一気に投入。連戦のため温存していたと思われる"エース級"3人がピッチに入ると、試合の流れは明大に大きく傾き始める。76分には藤森のフリーキックを木内達也が頭で合わせ、最後は島野怜が蹴り込んで再びリードを奪うと、その4分後にも藤森のクロスを桒原が収めてGKとの1対1をかわして逆サイドへ。それを林が押し込んで追加点。同点から怒涛の3ゴールで広島大を突き放した明大が2-4で勝利し、準々決勝進出を決めた。



松本大学 1(1-0)0 国士舘大学 @みやぎ生協めぐみ野サッカー場B

 2回戦最大の波乱となったのが、松本大学(北信越地区第2代表)と国士舘大学(関東地区第3代表)の対戦だ。3回目の出場にして初の2回戦進出を果たした松本大は16分、コーナーキックのクリアボールを河越大が叩き込んで先制。するとこの1点を最後まで守りきって1-0で勝利。初のベスト8入りを果たした。またこの結果、一昨年度王者の国士大は、2回戦で姿を消すこととなった。



中京大学 1(0-2)2 東京国際大学 @みやぎ生協めぐみ野サッカー場B

 初戦で関東代表の流通経済大学を撃破した中京大学(東海地区第3代表)は、アディショナルタイムのゴールで辛勝した東京国際大学(関東地区第7代表)と対戦。1回戦では終了間際まで得点が生まれず辛勝した東国大だったが、この試合では30分に吉田桂介が鮮やかなミドルシュートを決めて先制。42分にも古澤ナベル慈宇が個人技でネットを揺らし、0-2とリードを広げて試合を折り返した。

 中京大も後半、那須健一が倒されてペナルティーキックを獲得。57分、有働夢叶がこれを決めて1点を返すが、その後は東国大が危なげない試合運びでリードを守りきり1-2で勝利。東国大が初の2回戦突破を果たした。



新潟医療福祉大学 5(1-1)2 常葉大学 @遠野運動公園 陸上競技場

 新潟医療福祉大学(北信越地区第1代表)と常葉大学(東海地区第2代表)の"東海・北信越対決"は北信越第1代表、新医大が大量5得点を挙げて快勝した。試合は開始早々の2分、常葉大がゴール前での連携から向川典伽が蹴り込んで先制。対する新医大は前半終了間際に松本天夢が倒されてペナルティーキックを獲得。これを松本自身が沈めて1-1に追いついた。

 1-1で迎えた後半、新医大は49分に松本がドリブルでゴール前までボールを持ち込むと、そのままシュートを突き刺して逆転に成功。新医大はその4分後にも、ロングスローを秋元琉星が頭でつなぎ吉田晃盛がダイビングヘッド。3-1とリードを広げた。常葉大も70分、コーナーキックを三橋春希が頭で合わせて1点を返して1点差に詰め寄る。だが新医大は83分、コーナーキックからのこぼれ球を吉田が押し込んで常葉大を突き放すと、85分、交代出場したばかりの森駿人がGKの弾いたボールを押し込んでダメ押しの5点目をマーク。終わってみれば5-2と新医大が大勝し、3大会連続のベスト8入りを果たした。



日本大学 3(2-1)1 日本文理大学 @遠野運動公園 陸上競技場

 初戦で大量9得点を挙げた日本大学(関東地区第2代表)は、九州地区唯一の生き残り、日本文理大学(九州地区第3代表)と対戦。先にスコアを動かしたのは日大。12分、平尾勇人がジャンピングボレーを決めて先制すると、30分にも阿部水帆がミドルシュートでネットを揺らして追加点。文理大もその3分後、小野駿斗がこちらもミドルを決めて1点を返すが、その後は両チーム追加点のないまま後半へ。

 後半は拮抗した展開となるが、日大は74分、熊倉弘貴のコーナーキックを齋藤慈英が押し込んで試合を決定づける3点目。3-1と文理大を突き放した日大が、21大会ぶりに準々決勝へと駒を進めた。


神奈川大学 0(5PK6)0 筑波大学 @セイホクパーク石巻フットボール場


 セイホクパーク石巻フットボール場での2試合は、いずれも"関東対決"となった。現在関東1部リーグ首位の筑波大学(関東地区第5代表)は、同2部リーグ5位の神奈川大学(関東地区第8代表)に苦戦。筑波大は立ち上がりから神大に押し込まれる展開となり、なかなか決定機を作ることができない。さらに後半開始直後には、神大・藤田仁朗が倒されて神大がペナルティーキックを獲得。しかし藤田のキックはGK・佐藤瑠星が弾き出して、筑波大は絶体絶命のピンチを切り抜けた。筑波大はその後、池谷銀姿郎、田村蒼生、内野航太郎を投入して攻撃に厚みをもたせるが、スコアレスのまま90分が終了。延長戦でも両チームゴールを割ることができず、勝敗はPK戦に委ねられた。

 PK戦ではともに5人目のキッカーまでが成功させるが、神大の6人目のキックを、筑波大GK・佐藤が防ぐ。対して筑波大は6人目のキッカー・池田春汰が成功させて試合終了。GK佐藤が2本のPKを止める大殊勲の活躍で筑波大が準々決勝に駒を進めた。





早稲田大学 2(1-1)1 慶應義塾大学 @セイホクパーク石巻フットボール場


 もう1試合の"関東対決"は早稲田大学(関東地区第10代表9と慶應義塾大学(関東地区第4代表)の2部チーム同士の対戦となった。約10日前にも伝統の"早慶定期戦"で対戦した両チーム。その試合では早大が4-0で圧勝したが、この試合では開始早々の4分に慶大が先制。左サイドを突破した齋藤真之介のクロスに、香山達明が頭で合わせてネットを揺らした。このまま慶大が試合を優位に進めるかと思われたが、すぐさま早大が試合の主導権を奪取。41分にはこぼれ球を拾った西凜誓が押し込んで早大が同点に追いついた。

 振り出しに戻った後半は両チーム一進一退に。すると74分、早大は慶大のボールを奪うと駒沢直哉が約30メートルのロングシュートを決めて逆転に成功。早大は10日前に行われた"早慶定期戦"に続き慶大に2連勝を挙げた。