JUFA 全日本大学サッカー連盟

インカレ
『平成30年度 第67回全日本大学サッカー選手権大会』2回戦マッチレポート
2018/12/16


 『平成30年度 第67回全日本大学サッカー選手権大会』の2回戦は、シード校8チームが加わって12月15日(土)に8試合が行われた。

早稲田大学 1-0 北海道教育大学岩見沢校 @味の素フィールド西が丘



 初戦敗退に終わった総理大臣杯の雪辱を果たしたい早稲田大学(関東地区第1代表・3年ぶり33回目)と、1回戦を突破した勢いでシード校撃破を狙う北海道教育大学岩見沢校(北海道地区第1代表・5年連続8回目)の一戦。

 早大は主将で10番の岡田優希(町田内定)と、名古屋内定のエース・11番・相馬勇紀の注目2選手をベンチスタートで温存。3年生以下の選手を中心に北教大戦に臨んだ。前半は、北教大が自陣に引いてブロックを敷き、早大がボールを保持する展開が続く。早大は8番・栗島健太を中心としたサイドチェンジから活路を見出すが、フィニッシュまでが遠い。互いに大きな見せ場も少なく、前半はスコアレスで終了した。
 早大は後半開始から10番・岡田と11番・相馬を同時投入し、攻撃のギアを上げる。すると、Jクラブ内定コンビが早大に待望の先制点をもたらした。51分、11番・相馬がペナルティーエリア内でドリブル突破を図ると、相手のファウルを誘いペナルティーキックを獲得する。このペナルティーキックを10番・岡田が冷静に決め、早大が先制に成功する。しかしビハインドを負った北教大は、ここから反撃に出る。向かい風に苦しむ早大に対し、風上に立つ優位性を活かして次々とロングボールを放ち、チャンスを窺う。裏に抜け出した20番・下田友也がペナルティーエリア内で強烈なシュートを放つが、これは惜しくもクロスバーを直撃。最後まで攻め続けた北教大だったが、後半アディショナルタイムには、これまで最前線で身体を張り続けていた9番・佐賀俊之輔が2度目の警告を受けて退場。万事休すとなり、虎の子の1点を守りきった早大が準々決勝へと駒を進めた。




順天堂大学 2-1 関西大学 @味の素フィールド西が丘



 昨年のインカレで関西大に敗れたリベンジを果たしたい順天堂大学(関東地区第6代表・5年連続23回目)と、昨年に引き続き白星を狙う関西大学(関西地区第3代表・3年連続24回目)の一戦。

 ともにJリーグ内定選手を擁する注目の好カード。順大は10番・名古新太郎(鹿島内定)とU-21代表の11番・旗手怜央(2020年川崎内定)、関大は4番・荒木隼人(広島内定)と12番・黒川圭介(2020年G大阪内定)に注目が集まった。試合は、キックオフ直後から関大が猛攻を仕掛ける展開となった。関大は開始早々の4分に6番・塩谷仁がペナルティーエリアに侵入すると、順大DFのファウルを誘いペナルティーキックを獲得。6番・塩谷自身がキッカーを務めるが、これを順大GK1番・佐藤久弥がファインセーブ。順大は絶体絶命のピンチを免れるが、試合はその後も関大ペースで進み、関大は何度も決定的なチャンスを作る。しかし順大も守備陣がギリギリのところで体を張って得点を許さない。すると37分、今度は順大にチャンスが訪れる。相手DFのボールを3番・三國スティビアエブスがカットし、ドリブルからのクロスを上げると、これを11番・旗手がダイレクトで合わせ先制点。順大が1-0でリードし、前半は終了する。
 しかし寛大も後半開始早々に反撃に出る。46分、11番・牧野寛太が相手の意表を突くロングシュートを打ち、そのままゴールに吸い込まれスコアは1-1に。試合を振り出しに戻した。その後は両チームともに追加点を得るべく一進一退の攻防戦が繰り広げられたが、再び試合を動かしたのは順大。57分、右サイドバックの2番・柳澤亘が縦への突破でチャンスを作ると、グラウンダーのクロスを3番・三國がスルー。ボールはフリーの11番・旗手の足元に渡り、11番・旗手が左足で決めて順大が勝ち越し点を決める。その後は関大も追いつこうと果敢に攻めるが、順大も堅い守備でこれに対応。試合終盤にはパワープレーを試みる関大だったが、ゴールを決めることはできずタイムアップ。2-1で順大の勝利を収め、昨年のリベンジを果たしてベスト8に残った。




新潟医療福祉大学 2-3 法政大学 @浦安市運動公園陸上競技場



 1回戦で東海覇者・東海学園大学を破った勢いを見せたい新潟医療福祉大学(北信越地区代表・2年連続5回目)と、この試合が初戦となる昨年度準優勝校・法政大学(関東地区第3代表・3年連続30回目)の一戦。

 強風の中で始まった試合は前半開始から試合が動いた。19分、医福大はフリーキックを獲得。10番・上米良柊人のキックはいったん相手にクリアされるものの、こぼれ球が10番・上米良の足元へ。前半に風上をとった医福祉大の10番・上米良のシュートは強風に乗り、相手GKの頭上を越えてそのままゴールイン。医福大が先制点を挙げる。その後は、「これだけの強風はまったくの想定外。準備してきたことがすべて吹き飛んだ」(長山一也監督)という法大に対し、医福大が優位勢に試合を進めるが追加点が奪えないまま前半を終了。
 後半に入ると、「あえて後半に風上をとった」(3番・前谷崇博)という法大が反撃に出る。前半終了間際に投入されたボランチの5番・大西遼太郎が起点となって中盤でボールを動かし始めると一気に攻勢を強め、57分には8番・紺野和也のコーナーキックに3番・前谷崇博が頭で合わせて同点に追いつく。しかしその1分後の58分、今度は医福大の9番・矢村健が、主将の5番・池田友樹からのパスにゴール前へと抜け出し、左足でシュートを放ち2-1と再びリードを奪う。試合の主導権を握りながらも決めきれない法大は66分、10番・青柳燎汰に代えて11番・森俊貴を投入。「トーナメント方式の大会では、途中から出る選手がキーになる」という長山監督の言葉どおり、この11番・森の起用が的中した。まずは77分、11番・森が左サイドからペナルティーエリア内にカットインしたところを、止めようとした医福大の3番・鶴田雄佑がハンドをおかし法大がペナルティーキックを獲得。これを20番・上田綺世が冷静に決めて法大が再び同点に追いつく。このゴールで勢いに乗った法大は次々と攻撃を仕掛け、85分に5番・大西がドリブルで前線までボールを運ぶと、パスを受けた11番・森が冷静にボールを収め、左足でシュート。ついに法大が逆転に成功する。その後は、医福大が猛攻を仕掛けるも、法大の堅い守備の前にゴールを奪うことができず、2-3で試合終了。「苦戦はしたが、次につながる勝利だった」(長山監督)という法大が、優勝に向けての第一歩を踏み出した。




関西学院大学 3-2 東洋大学 @浦安市運動公園陸上競技場



 これが初戦となる関西の雄・関西学院大学(関西地区第2代表・2年ぶり21回目)と、今大会唯一の初出場チームながら1回戦に勝利した東洋大学(関東地区第7代表・初出場)の一戦。

 試合は前半から互いに良さの出た展開となった。東洋大は10番・坂元達裕を、関学大は29番・山本悠樹を基点として攻撃でゴールには迫るが、あと1歩のところでゴールネットを揺らすことができない。スコアレスのままを折り返すと思われたが、前半終盤の43分に試合が動く。関学大10番・中野克哉が14番・藤原樹とのコンビネーションで抜け出し、先制点を挙げる。
 後半に入るとスコアが一気に動き始めた。まずは56分、東洋大がフリーキックのチャンスを得ると、これを5番・渡辺星夢が豪快なシュートで叩き込み同点に追いつく。さらに76分には、14番・野本幸太が鋭いカウンターからサイドを崩すと、そのまま左足で流しこみ、あっという間に逆転に成功する。しかし関学大も試合終盤に関西の雄としての意地を見せる。途中交代の13番・高尾瑠を起点に29番・山本悠樹がボールをつなぎ、最後はこれまた途中交代の18番・林部晃己がヘディングシュートを叩き込み、今度は関学大が同点に追いついた。
 試合は90分では決着がつかず、延長戦へ突入。すると105分、関学大の13番・高尾が倒されてペナルティーキックを獲得する。これを29番・山本悠樹がきっちりと決め、関学大が逆転に成功。その後、東洋大も猛攻を仕掛けるが一歩及ばず試合終了。3-2で関学大が接戦をモノにし、4年ぶりの優勝に向けて初戦に勝利した。




筑波大学 4-1 仙台大学 @柏の葉公園総合競技場


 一昨年以来となる優勝を狙う筑波大学(関東地区第2代表・3年連続37回目)と、東北の雄・仙台大学(東北地区代表・18年連続35回目)の一戦。

 試合は開始から筑波大が有利に展開していった。筑波大は7番・三笘薫を中心に左サイドから仙台大ゴールに迫ると、13分にその7番・三笘からのクロスが仙台大のオウンゴールを誘い、筑波大が先制する。筑波大はその後も積極的にゴール前までボールを運び、22分にまたもや7番・三笘が左サイドを突破。その折り返しを3番・小笠原佳祐が合わせるが、これは相手GKが弾く。しかしこぼれ球をサイド3番・小笠原が押し込んで筑波大が追加点。さらに筑波大はその3分後の25分、右サイドの15番・池谷祐輔のクロスからのこぼれ球を17番・渡邊陽が決め、3-0に。仙台大を大きく突き放して前半を終えた。
 巻き返したい仙台大は後半開始から果敢に攻め、徐々にリズムを掴み始める。すると58分、8番・嵯峨理久が11番・齋藤雄大の右サイドからのクロスに右足で合わせて1点を返し、意地を見せる。この得点を機に、その後は仙台大がチャンスを量産するが、筑波大はわずかな好機を逃さなかった。9番・長澤皓祐のパスを途中出場の8番・高嶺朋樹が前方に送り込むと、そこに走り込んできたのは7番・三笘。左足からのシュートがゴールネットを揺らし、筑波大が4点目をあげ、試合を決定づける。結果、仙台大の反撃は届かず4-1で筑波大が勝利し、優勝に向けてまずは初戦突破を果たした。




桃山学院大学 1-4 駒澤大学 @柏の葉公園総合競技場


 関西地区代表最後の枠に滑り込み、1回戦を快勝した桃山学院大学(関西地区第4代表・3年ぶり8回目)と、8年ぶりのインカレ出場で12年ぶりの優勝を狙う名門・駒澤大学(関東地区第4代表・8年ぶり15回目)の一戦。

 試合開始から桃山大がボールを保持する時間が続くが、駒大の堅守の前になかなかチャンスをつくることができない。対する駒大は、ゴール前に速くボールを運ぶ攻撃を仕掛けてカウンターを狙う。すると30分、相手パスをカットした駒大13番・鈴木隆作のパスを10番・中原輝がドリブルで突破し、ゴール前にクロスを上げる。これを7番・安藤翼が右足で合わせ、駒大が先制点を挙げて前半を終える。
 後半も前半終盤の勢いのまま駒大がペースを握る展開となった。駒大は60分、14番・坂本和雅のクロスが相手選手のハンドを誘い、ペナルティーキックを獲得。これを主将の6番・大塲淳矢がしっかりと決めて、追加点。さらに6分後の66分には、交代出場直後の9番・高橋潤哉が相手GKのこぼれ球を押し込んで0-3に。桃山大を大きく突き放す。その後も駒大の猛攻は続き、83分には10番・中原が途中出場の18番・矢崎一輝に預けたボールを受け取り、左足でシュート。試合を決定づける4点目を決め、リードを広げた。桃山大も後半終了間際の89分に、9番・毎熊晟矢がヘディングシュートを決めて一矢報いるが、反撃もここまで。1-4という圧勝で駒大が桃山大を下し、準々決勝に駒を進めた。




静岡産業大学 0-2 大阪体育大学 @熊谷スポーツ文化公園陸上競技場


 東海地域唯一の生き残りとなった静岡産業大学(東海地区第2代表・3年連続13回目)と、総理大臣杯の決勝で敗れた雪辱をインカレで果たしたい関西覇者・大阪体育大学(関西地区第1代表・6年連続21回目)の一戦。

 試合は序盤から大体大が主導権を握る展開となった。山形加入内定の10番・末吉塁、水戸内定の7番・浅野雄也ら攻撃陣が積極的にシュートを放ち攻勢に出るが、静産大も主将の5番・諏訪部徹を中心とする堅守で応戦。前半は互いに目立ったチャンスはなく、スコアレスで試合を折り返した。
 後半も試合の流れは変わらず大体大が主導権を握り、ダブルボランチの6番・平田健人や8番・堀内颯人がゴール前に飛び出してはチャンスを演出。しかし静産大も高い集中力を保ち、ゴール前を死守。一方で静産大は21番・栗田マークら投入して攻撃の活性化を試みるが得点には至らない。スコアレスのまま90分が終了し、試合は15分ハーフの延長戦に突入した。
 試合が動いたのは、延長前半終了間際の105+1分。大体大の9番・林大地を静産大の5番・諏訪部が倒したことで、大体大がペナルティーキックを獲得。これを9番・林自身が冷静に決め、大体大がついに待望の先制点を挙げる。さらに延長後半終了間際の119分にも大体大にチャンスが訪れる。途中出場の20番・西田恵の右サイドからのクロスを受けた7番・浅野がドリブルで突破。左足でシュートを放ち、追加点をマークする。2-0と静産大を突き放したところでタイムアップ。関西の覇者・大体大が苦しみながらも最後は力の差を見せつける形で準々決勝に駒を進めた。




明治大学 0-1 福岡大学 @熊谷スポーツ文化公園陸上競技場


 全国大会2冠を目指す、総理大臣杯王者の明治大学(関東地区第5代表・10年連続18回目)と、九州の覇者、福岡大学(九州地区第1代表・2年連続42回目)の一戦。

 試合は序盤から明大が支配し、6番・安部柊斗や10番・小野雅史らを中心にボールを動かしていく。明大は9番・村田航一、18番・小柏剛のツートップが果敢にゴールに狙うが、福大も全体をコンパクトに保ってゴール前を死守。10番・梅田魁人、17番・梅木翼らが強靭なフィジカルを活かしてカウンターからチャンスを狙う。しかし、両チーム決定機を作れず前半はスコアレスで終了。
 後半になっても流れは変わらず、攻める明大、守る福大という構図に。しかし、先に決定機を迎えたのは福大だった。66分、中央から10番・梅田が右サイドへとボールを展開。するとパスを受けた22番・河原創が上げたクロスに途中出場の14番・今田源紀が反応。頭で合わせ、ついに先制点を挙げる。追う立場となった明大は、その後8番・渡辺悠雅、17番・河邉駿太郎、19番・中川諒真ら攻撃的な選手を次々と投入。福大は猛攻にさらされるが、このピンチを得意の堅守で守り切って試合終了。夏の王者・明大を破り、福大が準々決勝進出を決めた。





 準々決勝は、12月17日(月)に味の素フィールド西が丘にて早稲田大学と順天堂大学が対戦。浦安市運動公園陸上競技場では関西学院大学と法政大学が、柏の葉公園総合競技場にて筑波大学と駒澤大学が、また熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で福岡大学と大阪体育大学の試合が行われる。

 シードチームの8大学が登場した2回戦。関東リーグ覇者の早大と関西リーグ覇者の大体大が順当に勝ち進む一方で、夏の王者である総理大臣杯の優勝校の明治大学が2年連続で初戦敗退という波乱も。この結果、準々決勝に挑むのは関東5チーム、関西2チーム、九州1チームとなった。さらに厳しい戦いが予想される準々決勝戦。この熱戦勝ち抜き、ベスト4に残るのはどのチームか。